映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「オン・ザ・ロック」 ソフィア・コッポラ&ビル・マーレイ&ラシダ・ジョーンズ

2020-10-16 09:51:30 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「オン・ザ・ロック」を映画館で観てきました。

「オン・ザ・ロック」ソフィア・コッポラ監督の新作である。往年の名作「ロスト・イン・トランスレーション」でコンビを組んだビル・マーレイが出演する。夫が同僚の女性と浮気をしているのではと疑う妻が父親と相談し、夫の尾行をするという話である。


娘がいる身からすると、この題材は気になる。毎度のことながらソフィア・コッポラ監督作品の音楽のセンスは抜群で、女流監督らしいきめの細かい映画作りはハイセンスだ。ニューヨークの街を縦横無尽に走り回る2人の姿は滑稽である。しかも、最後に向けては父娘でメキシコのリゾート地にも行ってしまうのだ。

ニューヨークに住むライターのローラ(ラシダ・ジョーンズ)はアフリカ系アメリカ人のディーン(マーロン・ウェイアンズ)と結婚し、2人の子供にも恵まれた。ところが、新しく夫のアシスタントになった女性フィオナと残業を繰り返すようになり帰宅も遅くなり、夫婦関係も疎遠になってきた。良からぬことが起こっているのでと疑いを抱く。

そこで、ローラは自分の父親のフェリックス(ビル・マーレイ)に相談を持ち掛ける。フェリックス は母親以外の女性とも浮名をずいぶんと流していた。フェリックスはこれは怪しいとローラにこの事態を調査すべきだとアドバイスする。しまいには子供を預けて父娘2人で真っ赤なオープンカーに乗って夜のニューヨークへと繰り出すのであるが。。。

1.滑稽な登場人物
シドニー・ポワティエ主演の「招かれざる客」という名作はあるが、黒人男性と白人女性のカップルの映画はめずらしい。その黒人男性が浮気していると疑われる女性もアジア系だ。人種のるつぼニューヨークらしい感じはある。映画を見るまで知らなかったが、ラシダ・ジョーンズクインシー・ジョーンズの娘と確認し驚いた。当然アフリカ系の血が入っているわけで、彼女の起用はなるほどと感じる。子ども2人の頭の毛はチリチリだ。


  いつもながらビル・マーレイ のパフォーマンスはここでも滑稽だ。「ロスト・イン・トランスレーション」 で演じた俳優役がすっとぼけていていい感じだったのを思い出す。いつもは運転手付きのベンツでニューヨークを闊歩する。でも、2人で夫が乗ったタクシーを追うときは真っ赤なアルファロメオのオープンカーを自ら運転する。運転は荒い。セカンド発進でぶっ飛ばしてパトカーに追いかけられる。捕まった後、警官をけむに巻いてうまく手なずける話術が傑作だ。気が付くと、警官がオープンカーを押している。


あと、ローラのママ友でよくしゃべる女を何度も登場させる。ローラが夫のことで気をとられているのに一人でべらべら喋りまくる。ピント外れのこんな女っているね。この女の使い方にソフィアコッポラのしゃれっ気を感じる。

2.父娘の関係
ローラは相談した後で、何度も父親と会う。ハンフリーボガードローレン・パコールと食事した場所やいろんなところへ行く。父親はいつもアポイントなしでふらっとローラの前に現れる。調査をする手はずを知っているせいか、夫のディーンがカルティエで買い物をしたとか、いまどこのレストランで食事をしているなんてこともわかっている。しまいにはメキシコのリゾート地のホテルを予約していることまで調べてしまい、2人で乗り込んでいくのだ。


娘から相談を持ち掛けるなんてことはあまりない。よくぞまあ在宅勤務が続くというくらい今期に入ってから会社に行っていない。それなので、時折食事に出かける。妻には言っていない。娘はスポーツクラブに通っているのでジャージ姿で出かけてこっそり外で会う。気の利いたところへ昼食に出かけたり散歩に出たりする。前は肉というと、娘はしゃぶしゃぶ専門だったが、最近は高級焼肉だ。

あとは四川系中華そしてタンドリーチキンに辛いカレー系、妻はコロナ恐怖症で外へ出たがらないので娘と2人で行く。KINTANやチャンピオンが多い。娘に限らず最近の女は肉好きだ。

この映画のテーマは何かにかこつけて娘と会いたがる父親の愛情ということなのであろう。ビルマーレイを見ながら自分の中に共通するものを感じた。
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映画「エマ、愛の罠」 マリアーナ·ディ·ジローラモ&パブロ・ラライン

2020-10-04 10:03:09 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「エマ、愛の罠」を映画館で観てきました。


「エマ 愛の罠」はチリ映画、予告編を映画館で観てラテン系独特の色彩感覚に触発され映画館に足を運んだ作品である。チリ映画といえば、2019年日本公開作品の中でもナチュラルウーマン(記事)にはその素晴らしい映像美に魅せられた。トランスジェンダーが題材とすると変な偏見を持ってしまうが、行ったことのないサンティエゴの街も美しく視覚的な快感を覚えた。アカデミー賞最優秀外国映画賞にも輝いている。エマの監督のパブロ・ララインは「ナチュラルウーマン」の制作にも名を連ねている。それ自体も見に行きたくなる要因であった。

映画は始まってすぐに、燃え上がる信号を映し出す。横には火炎放射器を持っている人の影が。


何これ?といった感じで始まる。派手な色彩の舞台が映り、異次元世界に入ったようなダンスを見せつけられる。やたらまくし立てる男女の言葉の内容はよくわからない。ダンスチームの中でもピカイチの美貌を持つ金髪のエマのパフォーマンスが普通じゃない。性的匂いをプンプンさせるダンスは超セクシーだ。ストーリーはぼんやりこういうことなんだろうなあといった感じでつかむ。地球の裏側にはこういう世界があるのかと感じさせるヴィヴィッドな映画だ。

気の利いたカフェバーで大画面でBGM的にみるのも悪くないのでは?


あえて作品情報のストーリーをそのまま引用する。その後に感じたままをネタバレ気味に追ってみる。

若く美しいダンサーのエマ(マリアーナ·ディ·ジローラモ)はある悲しい事件によって打ちのめされ、 振付師の夫ガストン(ガエル·ガルシア·ベルナル)との結婚生活が破綻してしまう。 家庭も仕事も失い、 絶望のどん底に突き落とされたエマは、 ある思惑を秘めて中年の女性弁護士ラケルと親密な関係になっていく。 さらにラケルの夫で消防士のアニバルを誘惑したエマは、 彼女への未練を引きずる別居中のガストンまでも挑発し始める。 3人の男女をことごとく手玉に取り、 妖しい魅力で虜にしていくエマの真意は何なのか。 その不可解なまでに奔放な行動の裏には、 ある驚くべき秘密が隠されていた……。(作品情報より引用)

⒈エマの大胆な行動力
エマが所属するダンスチームを指導しているのが夫のガストンだ。夫は不能で子供が生まれない。なので、小学生くらいの男の子ポロを養子にもらったが、ポロのいたずらでエマの姉がやけどする事件が起き施設に預かられ、結局ある夫婦のもとに預けられる。

エマは夫との離婚訴訟ということで、女性弁護士ラケルに相談に行く。金がないので弁護料はないとラケルにいい、打合せテーブルの上でダンスを踊りながら、他のことで埋め合わせをするという。実はラケルが預けられた先の妻だというのを確認しての行動だ。


その後、エマは火炎放射器でわざと自分のクルマを燃やして消防を呼ぶ。消防士はラケルの夫のアニバルだ。彼に接近するための口実だ。アニバルがバイトする店にダンサー仲間といったり、エマはじわりじわりとアニバルを誘惑していく。そして2人は体を合わせるようになるのだ。その上で、離婚するとは言え同じダンスチームのガストンにはつれなくしているが、他のチーム員がガストンに近づこうとすると思い出したかのように近づき抱き合う。

エマはラケルとレズビアンのような深い関係になり性的に満足させる。加えて夫のアニバルとも強く合体するのだ。その後、エマはある学校にダンスの教師として雇ってくれと頼み、校長に気に入られて採用される。その学校にはポロがいるのだ。授業で出会った時にポロを外に連れ出してしまう。そのあとは肝なので語らないが、女性であることを武器にしたこの大胆さと行動力には驚く。

⒉vividな色彩感覚と美しいバルパライソの街
予告編でスペインのペドロアルモドバル監督のような色彩感覚を感じたが、期待を裏切らなかった。金髪でどこか神秘的なムードもあるエマは美しい。ダンス仲間との行動はとても理性的には思えない。仕事以外でも、仲間たちとダンスしたり、性欲を発散するが如くに男だけでなく女性とも自由に交わる。


そういうエマを映し出す色彩設計は抜群だ。海辺の港町が舞台になり、ゆったりとした丘のような立地に建物が並んでいる。建物の外壁はカラフルで色鮮やかだ。メイン道路には路面電車が走り、ケーブルカーで高所へ登れる。いずれにもエマを放ち華麗な映像コンテをつくる。


夜の場面では、海から勾配のある坂のように成り立っている街の灯りがとてもきれいだ。こんなの見たことない。


これ、いったいどこ?って映画を観ているときずっと思っていた。チリの街バルパライソである。太平洋のはるか先にこんなに美しい街があったんだ。恥ずかしながら知らなかった。なんと世界遺産になっているという。日本でいうと、港を囲む街の地形は長崎に近く、路面電車やロープウェイで函館をイメージする部分もあるが、見た限りでは日本の両方の街を凌駕する。「ナチュラルウーマン」の時にサンディエゴの街の美しさに感嘆したが、それと同様の感動を得た。


地球の裏側のこれまで知らなかった素敵な港町で、日本人の既成概念とはほど遠い価値観を持つエマという女性を自由奔放にふるまわせた。その映像を見るだけで満足である。
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映画「ジュディ」レネー・ゼルウィガー

2020-09-21 17:59:56 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「ジュディ」は2020年日本公開の米国映画


映画「ジュディ」レネー・ゼルウィガーはアカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞した。個人的には好きな女優である。しばらくお休みしていた時期もあってかこの受賞はうれしい。運悪く3月のコロナ渦で映画館に行けず、DVDスルーとなる。一瞬2回目の主演女優賞かと思ったけど、2002年度最優秀作品賞を受賞したミュージカル映画「シカゴ」ではノミネートのみである。

翌2003年「コールドマウンテン」で最優秀助演女優賞を受賞しているが、さほど活躍しているとも思えず、前年の残念賞的な受賞という印象を持った。それを考えると、堂々たる受賞だ。「ジュディ」レネー・ゼルウィガーのワンマンショー的な映画で映画の質が極度に高いとも思えない。でも、後半戦には胸がジーンとする場面も用意されている。

ジュディガーランドの伝記物というよりも47歳で亡くなる半年前のむしろ落ちぶれた姿をフォーカスする。え!これはレネーゼルウィガーが演じているとは思えないなあという位のメイクである。50代といってもおかしくない。かなり老けて見える。でも、ショーのパフォーマンスは一部堕落したシーンを除いてはいい感じである。


1968年、往年の大スター47才になったジュディ・ガーランド(レネー・ゼルウィガー)はクラブでのショーに出演するために、子供たちを元夫に預け、単身ロンドンに向かう。アメリカではドサ回りの家なき金欠生活だったが、イギリスでは注目を浴びクラブは連日満席の盛況だった。しかし、それまでの堕落した生活に戻るかのように睡眠薬とアルコールの量が増えていった。


ジュディは、アメリカから会いに来た実業家ミッキー(フィン・ウィットロック)の励ましで元気を取り戻し、2人は結婚する。しかし、アメリカに戻ってステージをというミッキーの案がご破算になる。ジュディはまた精神の安定を崩した状態でステージに立ち、観客とトラブルを起こしてしまうのであるが。。。

⒈転落する人生
オズの魔法使いは1939年である。さぞかし、チヤホヤされたであろう。その後は結婚と離婚を繰り返している。それに加えての酒とドラッグ狂いである。ここでも、子供と一緒にホテルに行っても宿泊料未払いで、宿泊を拒否される場面からスタートだ。金には困っているのであろう。結局は元夫のところに行くしかない。親権は自分にと主張してもお金がない。


どうも浪費家のようだ。ロンドンへのコンサートツアーをやったりするわけだから、カネが全然入らないわけじゃないだろう。子ども2人をつれていこうとするが、本当に大丈夫なのかと思ってしまう。

⒉意外性のある場面
長期公演の話があってロンドンに向かう。アメリカとは違いちゃんと周囲がスター扱いをしてくれる。ジュディガーランドというに昔の名声が生きているのである。現地で若き女性マネジャーもつく。でも、リハーサル会場に向かい、そこにはバンドマスターであるピアニストがいるが、まったく歌おうとはしない。すぐその場を立ち去る。

大丈夫かと周囲は思っている中で、本人はステージフライト状態だ。それでも会場には正装に身を固めた観客で一杯。なかなか現れないジュディに煮を切らしたマネジャーが来て、無理やりステージに立たせる。初日には評論家も来るらしい。


これじゃ歌えないんだろうなあ、無理なんだろうなあとわれわれに思わせておいて、いざステージに登ると素敵な歌声を聴かせる。一瞬の予想を裏切る意外性のある場面だ。いい感じである。ステージも順調に運び、娘のライザミネリも出席したパーティで知り合ったミッキーもロンドンに来てご機嫌だ。でも、続かない。こういった落差が続く展開だ。

3.若き日の再現映像
若き日の再現映像が何度か出てくる。名プロデューサーと思しき人に、君より美しい子はいくらでもいる。でも、君の美声はすばらしい。それを生かしてちゃんとやるんだよ。と諭されたりする。いかにも転落という現在の場面が出た後で、そういった再現映像が何度もでてくる。

1日18時間働き詰めでクタクタという場面で思いっきりプールに飛び込むシーンは愛嬌がある。いずれも、そういう記憶がよみがえったことで一時的な復活を果たす。でもダメ。


堕ちていく姿を見るのは悲しい。でも、ゲイの男カップルとの交情やマネジャーやピアニストから慰労をうける場面など優しさにあふれたシーンもある。そういう積み重ねで最後に向けては予想もしない胸から湧き上がる何かがあった。
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映画「パパと娘のハネムーン」クリスティン・ベル

2020-08-16 18:11:32 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「パパと娘のハネムーン」は2018年のNetflix映画

Netflixの作品を見ていてちょっと気になる題名がある。「パパと娘のハネムーン」「アナと雪の女王」でアナの声を吹き替えるクリスティン・ベル主演である。


結婚式でお互い誓いをいう寸前に花婿にダメ!できない!と言われた花嫁が、長年疎遠だった実父と式場で再会する。夜娘グチを聞いているうちに気がつくとハネムーンクルーズの旅に一緒に旅立つという話だ。英題は「Like father」である。娘を持つ父親として気になるのでつい見てしまう。映画のレベルはあくまで普通、ありえない話であるが、おとぎ話を見るが如くに最後まで見てしまう。

広告会社に勤めるワーカーホリックな主人公レイチェル(クリスティン・ベル)は常にクライアントのフォローで忙しい。それでも、結婚式を迎え久々の休暇でハネムーンクルーズの旅を予約していた。ところが、大学時代からの腐れ縁である花婿がお互いに誓いあう場面で、自分は無理だと言い出す。最初はジョークと思ったけどマジとわかり周りは唖然、レイチェルは戸惑いその場を逃げ出す。その式場には5歳から再会することがなかった実父ハリー(ケルシー・グラマー)も出席していた。


翌日、営業進行中であったポテトチップのCMは予定通り受注できることになったが、自分の情けなさに落胆して社内で荒れてしまい、机もぐちゃぐちゃにしてしまう。その夜気がつくと父親と大酒を飲んでしまうことになった。そして、朝気がつくと、クルーズ船上のベットで寝ているのであった。


船上の周囲はハネムーン客や熟年夫婦がほとんどで、父と別の部屋に移ろうと思っても移れない。クルーズ船の最初の停泊場所であるジャマイカに2日後に着くので、飛行機でニューヨークに戻る段取りをとる。船上でゲイカップルや黒人の再婚同士のカップル、初老の熟年カップルと知り合う。彼女は退屈でうろうろしている時に、独身のジェフと知り合い気が合う。

クルーズ船のナイトショーでは、親子でステージに上がって楽しみながら、ジャマイカに到着する。滝つぼの周囲で泳ぎながら、船上で知り合ったカップルたちと水遊びを楽しむ。でもレイチェルは戻ってからの仕事の段取りでスマホをにらめっこ、それをみて父親がスマホを奪い取って水没させてしまうのであるが。。。


⒈ワーカーホリックなやり手女
とにかくせわしない。スマホは離さず、クライアントにまめに電話。結婚式会場で入場する前にも電話は終わらない。入場したら、え!という感じになるが、落ち着かない女だ。年齢は30歳という想定。広告会社勤務で自分の部屋を与えられている。裁量もかなりあるようだ。映画の設定だけど、きっと実績があるのかな?なんて思ってしまう。でも、SEX好き、17歳の時から男とはやりまくっているという。「英雄色を好む」の女性版、アメリカにはこんな女いるんだ。


⒉突然現れる父親
5歳の時に両親が離婚して、それ以来音信不通という設定。母親はすでに亡くなっている。よく自分が結婚するのわかったね。と父親に尋ねると、今はネットで検索するとわかるという。SNSで結婚するよなんて発信すれば、確かにわかるかもしれない。こんなことあるかいな?!という設定だが、考えていることも似ているせいかなぜかそのまま一緒に旅にでてしてしまう。ただ、この父親肝心なこと隠していた。それは見てのお楽しみ。


⒊在宅勤務続きのわが娘
レイチェルのようなやり手女を見ると、ウチの娘とはあまりの大違いで驚く。娘は4月からずっと在宅勤務である。何度かお前本当に会社大丈夫かという話もしたが、そろそろ出社かなといったタイミングで、感染者数の急増で振り出しに戻る繰り返しだ。男性社員は車に乗ってお得意様に行くことあるようだが、電車禁止令で電車に乗らずカーシェアで行くという。娘はそういうのはなく出社も外出もない。。とりあえず、月曜日は朝礼やって会社がある日は朝から晩まで何か作業をしている。たまに電話かかってくる。


でも、そこまで厳重にやっているのに同じ部門で感染者が出たという。当然、会社に行っていないから娘は濃厚接触者でもない。自分の周囲を見ると、むしろ厳重にやっているような会社で感染者がでている印象を受ける。自分の会社は皆無。自分は東京のど真ん中に休日以外毎日通っている。酒は3週間近く飲んでいないが、取引先の人ともよく会っている。わからないもんだね。どっちがいいか。



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映画「立派な子どもの育て方」トニ・コレット&マシュー・グッド

2020-08-12 07:59:02 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「立派な子どもの育て方」は2017年のカナダ映画


Netflixに面白そうな題材がある。人間の成長に大きく影響するのは遺伝的要素か?訓練努力か?現在の日本でも常に議論が交わされている。2人の科学者は、生まれたばかりの子どもが親の気質と反対の才能を伸ばせるかの実験を試みる。そのために2人養子をとり、自分の子供とともに3人の子育てにトライアルするという話である。

映画「立派な子どもの育て方」はカナダ映画でトニ・コレット以外はメジャーな俳優はでていない。この手の類の本はずいぶん読んでいて、題材が気になるのでつい見てしまう。見る前にはこの企みが成功するかどうかまったく予測がつかなかったが、思春期に入る頃に自我が目覚めた彼らを意図通りに育てるのに難儀してしまう。

それぞれの家系が科学者の血筋というキャサリン(トニ・コレット)とベン(マシュー・グッド)の科学者夫婦が、自分の子供ルークを科学者でなく芸術家に、あまり頭がよくない家系の娘マヤを勉強のできる女の子に、怒りっぽい男の子モーリスを平穏な子に育てようとする計画を考えた。富豪で科学財団を作っているガーツ(マイケルスマイリー)にプレゼンすると、大ノリで2人のスポンサーになってくれる。

2人はベンの祖父が持っている山奥の別荘にこもって、元ソ連の射撃選手で児童教育が専門のサムとともに子育てすることにした。赤ちゃんの時から全員にクラッシック音楽を聴かせ、学校の教育課程の内容は2人が教えて、それに加えてそれぞれの将来に向けての個別教育をしてきた。


12 年が経ち、スポンサーのガーツが成果を確かめに視察にやってきた。それなりの進歩はあっても、一歩抜けた才能を示す子はいなかった。ガーツとしてはこの先不安だ。元々の契約書には、うまくいかなかった時には、これまでかかった費用は全部ベンとキャサリンもちと記載があった。キャサリンとベンは徐々に焦ってくる。ガーツからは、ポルトガルで同じような試みをして成功している事例があると聞く。その一方で3人揃って反抗期に入っていうことも聞かなくなったのであるが。。。


1.根拠になる実験
白ネズミと戯れるのが好きな幼児に、白ネズミに触るたびに音を立てるようにする。次第にさわらなくなり、最終的にまったく見向きもしないようになる1920年の実験結果がある。それをもとに、育つ環境を整えて、特別な才能教育で元来の資質と違うように育てようとするのだ。


2.家庭崩壊の兆し
スポンサーのガーツが焦らせることを言うもんだから、自由に育ってきたのに、TVを取り上げたり、大好きな雑誌は高尚な読み物に変えたりして子どもたちは窮屈で仕方ない。しまいには3人揃って爆発してしまうのであるが。。。


3.遺伝か?その後の努力か?
この映画の結末がどうなるのかはお楽しみ。

でも、言えるのは無理は通用しないといった感じか。数年前から作家の橘玲は新書「言ってはいけない」などで、どんなに自己啓発したとしても、遺伝でかなりの素質は決まっているわけだから、そうは簡単にはうまくいかないなんてことを言っている。橘玲のネタ本は慶應義塾大学の安藤寿康教授の本でこれは自分も読んだ。この一方で遺伝だけで説明がつかないとする書物も多い。論文の題材にもなる名著アンダース・エリクソン「超一流になるのは才能か努力か?」なんて本は努力派、デイヴィッド・シェンク「天才を考察する」では才能と環境は相互作用としている。これは偏りない本である。








⒋遺伝子の強さ
昔から競馬馬の血統の良し悪しをやたら言うのに、人間はその後の努力で変わってくるといった話にずっと抵抗を持っている。橘玲がいくつかの本でいくら頑張っても無理なものは無理だということをはっきり言ってくれたのはいいことだと思う。犯罪者の子どもが同じようになってしまう議論もあるが、ここではやめよう。


単に頭脳の遺伝ということだけをとってみる。自分の同僚に2人東大出がいる。2人とも御三家と言われる別々の名門高校の出身である。片方の息子は日本の最高学府のしかも偏差値の頂点に入学、オヤジはどこの学校へ行ったか語りたがらなかったが、類推で聞いていくと結末はそうだった。普通は自慢しまくるがここのところは違う。もう一方の娘は東大理系と同等あるいはそれ以上と言われる国立医学部を出て医者になっている。この事実を見せつけられた時に、やっぱり遺伝なんだなあと思った。

自分も受験勉強それなりにやったけど、このあたりのレベルにはかすりもしなかった。ただ、2人とも世のサラリーマンの中ではいい方だけど、頂点ではない。賢くそつのない仕事をする。でもサラリーマンのトップになるのは容易ではない。それを悟ったのか、子どもを医学部に進めた。逆にそうさせることをできるのが優性遺伝のたまものだと感じる。
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映画「タルーラ」エレン・ペイジ&アリソン・ジャネイ

2020-08-09 19:10:31 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「タルーラ」は2016年のNetflix映画

ジュノ」「ローラーステートダイアリー」で愛くるしい姿を見せてくれたエレンペイジの今度の役柄は、赤ちゃんを図らずも持ち去ってしまう誘拐犯人役である。ふとしたはずみで赤ちゃんのベビーシッターになった女の子が、子どもをそっちのけにして男遊びをする母親に呆れて、そのまま赤ちゃんを連れ去ってしまうのだ。


タルーラ(エレン・ペイジ)は恋人のニコとワゴン車に乗って全米各地を回りながら暮らしていた。2年もこんな生活をしているので、ニコがいったんニューヨークの母親の元へ帰りたいと告げる。それが原因でケンカしてしまい、朝目覚めるとニコが飛び出してしまっていた。きっと実家に帰っているはずだと、タルーラはニューヨークに向かいニコの実家に寄ってみる。玄関口で2年戻っていないよと母親のマーゴ(アリソン・ジャネイ)から門前払いをくらう。

無一文のタルーラはホテルに飛び込み、客室の入り口に置いてあるルームサービスの食べ物をつまみ食いしていた。その時ふと扉を開けたキャロラインはタルーラをホテルの従業員に間違えて声をかける。部屋にはキャロラインの娘の1歳の女の子がいた。部屋は散らかり放題でタミーは子育てが苦手な様子、今夜ベビーシッターをやってくれないかとチップを渡され、派手な服に身を包んだタミーは男に会いに出ていく。


夜になり、タミーは泥酔状態で帰ってきてそのままぶっ倒れる。そんなアバズレで無責任な母親に腹を立て、タルーラは赤ちゃんを連れて自分のワゴン車に戻る。

朝になり、キャロラインが目を覚ますと娘のマディソンがいない。部屋中探してもいないので慌てて警察を呼ぶ。タルーラは赤ちゃんとワゴン車で一晩過ごしたあとそのままホテルの部屋に赤ちゃん連れて戻ろうとした。ところが、フロントに警察が来ているのを一瞥して、ヤバイとホテルを飛び出す。

行く宛のないタルーラは再度ニコの実家に向かう。赤ちゃんを抱きながら、マーゴにこの子はニコと私の子だというと、驚いて2人を部屋に入れてくれた。


どんな経緯でこれまでニコと生活していた一部始終をマーゴから聞かれる。本当の子ではないとは言えない。最初は一晩だけ泊まる約束だったが、気がつくと3人で暮らすようになるのであるが。。。


⒈家庭環境に恵まれないタルーラと不幸なインテリの恋人の母親マーゴ
タルーラはワゴン車住まいという定住地を持たない路上生活を恋人ニコと続けている。いきなり「何で金がないのに遊ぶんだ」と罵られタルーラが博打場から飛び出す姿が映し出される。親にはちゃんと育てられていない。たくさん買ってきたレモンを台所のジューサーでレモネードを作り、自分のワゴン車の手前でニューヨーカーたちに売り飛ばしている。生活力だけは旺盛だ。


一方でマーゴは大学院出のインテリ、家庭関係に関する著作物も多い。管理人もいるニューヨークのアパートに住んでいる。高価な家具や絨毯の調度品が備わった素敵な部屋だ。夫とは学生時代からの付き合いだったが、離婚届をつき付けられてガッカリ、夫はゲイで男性の恋人がいるようだ。息子は飛び出したきり帰ってこないし、1人暮らしの慰めになる可愛がっていた小さい亀も死んでしまう。決して幸せではない。

そんな対照的な2人には、行方不明の息子が作った赤ちゃんを媒介にした関係ができる。タルーラは育ちの悪いのが見え見えで、マーゴから見ると、信じられない言動ばかりで呆れてしまう。マーゴがこの絵がきにいらないといっていたのを覚えていて、タルーラが部屋に飾っている高価な絵を描き直しているのをみてビックリ仰天だ。

それでも、何となく気があい暮らしていく。しかし、世間では赤ちゃんが誘拐される話がテレビや新聞で騒がれるようになり、タルーラはバレてしまわないかと焦る。


⒉赤ちゃんがいながらも男に走る母親タミー
男を挑発するようなバストを強調する派手な服を着て、夜の男との密会のことばかりで頭が一杯である。育児書通りにしているのに、この子が言うことを聞かないと一歳の女の子を責める。何、それ!呆れかえるような女だ。アタマはいかにも弱そう。こういう女は日本でもどっかにいるだろうなあ。


⒊変幻自在のエレン・ペイジとアリソン・ジャネイ
エレン・ペイジが10代で妊娠してしまう役を演じてアカデミー賞候補になった「ジュノ」からもうずいぶん経つんだよね。なんとブログアップ100作目だったんだ。「ローラーステートダイアリー」の爽快感は自分のスポーツ映画のベスト3に入る。この映画撮っているときはまだ20代だったと思うけど、序盤戦ではワゴン車の中で彼氏とメイクラブをしてバストトップを見せる。まったく豊満じゃないけどいいね。

ゴージャスでボリュームたっぷりの美人女優が多い米国映画界で、小さくて華奢でこういう底辺の女の子の役までできてしまうエレンペイジの存在はある意味貴重だ。末永い活躍ができる女優になると思う。


アリソン・ジャネイはどちらかというと、インテリって感じの風貌だよね。大学教授といってもおかしくないくらいの。そういうインテリなのに心に影を持つというこの役にはぴったりである。「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」では恐ろしい母親の役でアカデミー助演女優賞を受賞したけど、彼女エミー賞はいやってほど受賞しているね。

「アイ、トーニャ」はアップし損ねたけど、脅威のスケーターであるトーニャの母さん役は実にうまかった。今回は割とまともな常識人である。社会の底辺にいる車上生活者といわゆる知識人のコントラストが、格差社会を象徴するようでこの映画のテーマの一つだけど、意外に交われるんじゃないという感じだ。
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映画「ハスラーズ」コンスタンス・ウー&ジェニファー・ロペス

2020-08-05 18:59:44 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「ハスラーズ」は2020年公開のアメリカ映画


ジェニファーロペスがストリッパーを演じるということで前評判高い映画だったが、これもコロナでDVDスルー。ストリップクラブで男たちの金をくすねていたストリッパーたちが、徒党を組んでウォール街の金融マンから怪しい手口でカネを強引に奪うという話である。強烈な酔いを助長する薬を入れメロメロにさせて多額の勘定をクレジットカードで決済させるそのやり口は、新宿のボッタクリ飲み屋の悪い手口とたいしてかわりはしない。映画がぼったくり行為を是認しているわけではないが、あまりお行儀の良い映画とは言えないなあ。

クレジットもトップだし、実質的主演はコンスタンスウーである。もう40代後半になるジェニファーロペスはきわどいポールダンスでそそる。エロい雰囲気はまだまだいける。ただ、ジェニファーロペスのバストトップが拝めると期待している男子諸氏は肩透かしを食らうと覚悟しておいた方がいい。

幼少の頃に母に捨てられ、祖母に育てられたデスティニー(コンスタンス・ウー)は、祖母を養うため、ストリップクラブで働き始める。そこでトップダンサーとして活躍するラモーナ(ジェニファー・ロペス)と出会い、協力し合うことで大金を稼ぐようになり、姉妹のように親しい関係になってゆく。ダンサー仲間のダイヤモンド(カーディー・B)からもストリップでの振る舞いをレクチャーされ、デスティニーは祖母とともに安定した生活ができるようになる。


しかし2008年、リーマン・ショックによる影響で世界経済は冷え込み、ストリップクラブで働くダンサーたちにも不況の打撃が押し寄せる。シングルマザーとしての生活費や、収監中の恋人の弁護士費用など、それぞれの差し迫った事情で“お金が必要”というストリッパーたちに、ラモーナは「真面目に働いても生活が苦しいのに、経済危機を引き起こした張本人であるウォール街の金融マンたちは、なぜ相変わらず豊かな暮らしをしているのか」と言い、ウォール街の裕福な男たちから金を騙し取る計画を企てる。(作品情報)

⒈育ちの悪い主人公
60年以上前の映画「私は死にたくない」を取り上げたが、デスティニーも親からの愛に恵まれず、学校もまともに行っていない。あまりいい育ち方をしていないというのは両方に共通。周囲のストリッパーたちもみんな同じレベルだ。

デスティニーは育ててくれた祖母を養うためにも一発稼ごうと、ストリップクラブで働くがチップの身入りはもう一歩。挙げ句の果てはクラブのマネジャーに分け前を取られて手取りが少ない。そんな時、クラブの花形ダンサーであるジェニファーロペス演じるラモーナがチップまみれになって踊っている姿に憧れてしまう。


ラモーナも年下のデスティニーをかわいがり一緒にコンビを組むようになる。それからは運は上向き、リーマンショック前は荒稼ぎできるようになるのだ。

主演のコンスタンス・ウーは台湾系アメリカ人。日本人にも韓国人にも見える。会社の同僚にいてもおかしくない感じだ。ここではアップしなかったが「クレイジーリッチ」にも出ているよね。プロフィルをネットで追うと、親は大学教授で血筋はいいけど、浪費家で一度は自己破産寸前だったとか、この役はうまく演じられるかもしれない。


⒉ストリップクラブのたかりの構造
舞台にはいくつものポールがあってそこで大勢のストリッパーたちが踊っている。かぶりつきでチップをもらうこともあるが、個室でのプライベートダンスでしっかりチップを稼ぐ。ウォール街の金融マンはいいカモが多い。彼らにも重役クラスからケチな下っ端までランクがあり、相手に合わせて作戦を練る。


当初はそれで良かったが、2人だけでは手が回らなくなり同僚ダンサーを仲間に加える。まずはバーで飲んでいる金融マンに目をつけ、4人でバカ騒ぎで飲む。客が酔っているすきに薬をドリンクに入れる。あっという間にメロメロだ。一緒にクラブに入って行くときには足は千鳥足で立てないくらいになっている。個室のVIPルームでぐっすり眠っているところを財布からクレジットカードを取り出してチェック、暗証番号は寝言のように言わせる。悪い奴らだ。

その稼ぎも店の売り上げになるから、店もこの悪さを黙認でグルになって顧客の金をふんだくる。
とはいうもののいつまでも続かない。店は手入れを受け、仲間のダンサーは取調べで収監だ。それでも客宅やホテルで続けるけど、空中分解してしまう運命にある。


意外にも、女の子にクレームの電話が入っても、「あのとき楽しんでいたじゃない」と言われるとそれで済んでしまうことも多いと映画のセリフがある。こういう時、男は奥さんの手前もあるのか大きな問題にはしないそうだ。暴力バー的ぼったくりの摘発以外は日本でもしないかも?日米共通か?

最近コロナ騒ぎでいわゆる接待を伴うお店もすっからかん。「今日もボウズかも?」というので、7月入ってすぐ、気の毒で飲みにいってあげた。他の客はいない。新規ボトルは入れられるはワインは1本開けられるはで気がつくといつもの倍以上の請求を受けてしまう。まあ、しょうがないかと思うけど、実際このウォール街の金融マンたちはしこたま取られたんだろうなあ。
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映画「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」ウディアレン&エル・ファニング&ティモシー・シャラメ

2020-07-17 06:26:18 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」を映画館で観てきました。

ウディアレンの新作である。こればかりは映画館で見るしかない。いつものようにWindsor フォントのタイトルバックで始めると、今回はどんな話なんだろうと心がときめく。郊外の大学に通うカップルがマンハッタンに遊びにいったけれど、2人で楽しい週末を過ごすつもりが思わぬ出来事に遭遇して雨の中で右往左往するという話だ。

ジャジーで洗練された音楽がバックに流れ、大人のおとぎ話のように話が展開する。ウディアレン自身が話すように早口にまくし立てるセリフに映画が始まって一瞬訳がわからなくなるが、毎度お馴染みのムードに心が安らぐ。


ニューヨークの裕福な家庭で育ったギャツビー(ティモシー・シャラメ)は、ブルジョワ好みで嫌いな母親から逃れるために、郊外の大学で学生生活を送っている。ギャツビーにはアリゾナ生まれのアシュレー(エル・ファニング)という恋人がいる。そのアシュレーが学生新聞の記者として、著名な映画監督ポラード(リーヴ・シュレイバー)を取材することが決まり大はしゃぎ。そして、インタビューをするニューヨークに2人で行きロマンチックな週末を過ごそうとしていた。

マンハッタンのプラザホテルに着いたあとに、アシュレーがポラード監督へのインタビューに向かうと、監督と一緒に新作を見ることになってしまう。その時から元々のスケジュールが崩れ始める。その後に、アシュレーは憧れの人気俳優であるフランシスコ・ヴェガ(ディエゴ・ルナ)や脚本家のテッド(ジュード・ロウ)に出会ったり、2人に思いもしなかった出来事が次々と起こるのだった。。。。


主人公の彼はギャツビー、その名前は「華麗なるギャツビー」から引っ張ったのか?ニューヨーク生まれなら、ロングアイランドを舞台にしたギャツビーに引っ掛けてつけてもおかしくない名前だ。アシュレーというと、先日倒産したローラアシュレーを想像するが、違うよね。スペリングが違うもう1人のアシュレイも登場する。そんな主人公2人にいつものようにウディアレンが自らがしゃべっているようにしゃべりまくらせる。

⒈映画人の登場
女性学生記者となるアシュレーにも映画の素養がある。著名な監督の前では、黒澤明の名前も含めて著名監督の固有名詞が次々とでてくる。インタビューをしていると、気に入られて新作を観ないかと誘われる。一気に有頂天のアシュレー。恋人のギャツビーを映画終わったらすぐ戻るからねと言って電話するがそうはいかない。気がつくと、有名スターに会ったり、一緒に行ったパーティーでこれまた売れっ子の脚本家にあったり、もう舞い上がりっぱなし。


一方で空き時間ができたギャツビーがマンハッタンの街に飛び出すと、昔の仲間が路上で撮影しているところに出くわす。この仲間、いかにもウディアレンを連想させる風貌のメガネをかけた映画監督である。これもシャレか。突然映画のエキストラをやってくれと言われ、気がつくとキスシーン。相手はなんと旧知のガールフレンドの妹だ。そこでも足止めをくらい部屋に戻ると、人気俳優に新しい恋人ということでTV画面になんとアシュレーが映っているではないか!


そんなこんなであたふたするが、基調は映画「ミッドナイトインパリ」と似たおとぎ話のようなものだ。ありえない世界に引き込まれる。こんなことたった1日で起こるわけがない。ぎゅう詰めに短時間にハプニング小話を詰め込む。アシュレーと映画人のまったくかみ合わない会話なんかもいい感じ。ギャツビーが1人ぼっちになってホテルのバーで彷徨っているときに、美女と意気投合して実家に帰還してからの母親との会話が映画の見ものだ。

⒉窮地に陥るウディアレン
この映画を見終わって、いくつかネットで検索してウディアレンがプライベートで窮地に陥るのを初めて知った。その昔の性的虐待が問題になっているようだ。なんと、米国で公開されていないという。そんなことあるんだという感じである。ネット記事によれば、出演者のティモシーシャラメエルファニングを始めとしてこの映画に出たことを後悔しているなんて話を聞くと悲しくなる。

この映画でのエルファニングはいかにもウディアレン本人が乗り移ったかのような話し方で軽快に演技しているのにと思ってしまう。ウディアレン映画の往年のヒロイン、ダイアンキートンやスカーレットヨハンソンウディアレンをかばっているというのだけが救われる。


われわれはスカーレットヨハンソン主演の「マッチポイント」で予想もしない結末に唖然とする。この映画の終わり方もらしいと言えばウディアレンらしいとも言える。

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映画「ファイティング・ファミリー」 フローレンス・ピュー

2020-05-04 07:45:39 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「ファイティング・ファミリー」は2019年日本公開の映画


プロレス団体の最高峰WWEの女子プロの世界チャンピオンになったペイジが、英国の小さなレスリング団体の1レスラーから下克上で這い上がっていく姿を描く実話の映画化である。父母がレスラーでジムでレスリングを教えながら芝居小屋のような会場で興業をおこなっているレスリングファミリー。世界チャンピオンになることをひたすら夢見ている少女の奮闘記だ。

英国北部ノーウィッチでレスリング・ジムを営むナイト一家には2人のレスラーの兄妹がいる。13歳の時からリングに立っていた18才のサラヤ(フローレンス・ピュー)は日々ジムに通う子供達にレスリングを教え、いつかはWWE(ワールド・レスリング・エンターテイメント)の試合に出て一家を盛り上げたいと願っている。兄のザック(ジャック・ロウデン)も同じようにプロレスにあけくれている。だが彼は愛する彼女と結婚をし、普通の家庭も持ちたい。そんな兄妹に転機が訪れる。


以前から加わりたいと何度もオファーしていたWWEのトレーナーであるハッチ(ヴィンス・ヴォーン)から連絡があり、英国でのトライアウトに参加することになった。そこで二人が尊敬してやまない、WWE元チャンピオンドウェイン・ジョンソンとの対面を果たすのだ。


会場へ行くとライバルが多数来ている。セレクションでサラヤだけが次のステージに進み、フロリダに行くことが決まる。兄と二人で渡米したいとトレーナーに訴えるサラヤを、ザックが説き伏せる。「家族みんなの為にお前一人でも行ってくれ。」渋々承知したサラヤはリング名を「ペイジ」に決め、大好きな家族と別れてアメリカに渡る。(作品情報より)


1.フロリダのトレーニング
フロリダには大勢のWWEのリングに立とうという志をもったライバルが大勢いた。女子プロレス組でも元モデルやチアガールのブロンド美女たちが3人いる。どうも彼女たちとなじめない。しかも、ハッチが指導するトレーニングはきびしい。これに耐えられないと週5日リングに立つなんて芸当はむりだ。徐々に仲違いしたブロンド美女たちが陰で自分の悪口を言っているんじゃないかと疑心暗鬼する。徐々に心が疲れてきていったん家族のいる英国に戻る。そこでレスリングを通じてふれあい、自分の道を決めていく。


こういうスポーツ映画の定石として、途中での停滞がある。全部うまくいくことはありえない。ブロンド美女が自分より優遇されているんじゃないかと思い、同じようにブロンドヘアに染めて、顔を日焼けさせイメージチェンジを図ったりする。プロレス独特のマイクを持ってのパフォーマンスで相手のしゃべりにうまく返せない。突っ張っているようで、シャイな一面も出す。停滞を抜けての最後の発散に向かっていく。

2.ヴィンスヴォーン
久々にみた気がする。前作は二次大戦の沖縄戦を描いた「ハクソーリッジ」での鬼軍曹役だ。もともとラブコメによく登場している。日本ではアメリカでものすごいヒットしてもコメディ映画はDVDスルーとなることが多い。「ウェディングクラッシャーズ」とか「僕が結婚を決めたワケ」、「フォークリスマス」なんておもしろいんだけど、男前というわけでないから女性の観客をよべないということなのかな?このコーチ役は性に合っている。「ハクソーリッジ」でのきびしいイメージがこの役につながったのであろう。冷徹だけど、心の奥底はやさしい。そんな役柄だ。


3.プロレス題材の映画
プロレスと映画は相性がいい。あえて2つあげればミッキー・ローク主演レスラーロバート・アルドリッチ監督の遺作カリフォルニア・ドールズであろう。特に後者は圧倒的におもしろい。刑事コロンボの名刑事役ピーター・フォーク演じるマネジャーと2人の女子プロレスラーが全米をドサ回りしているときに有名レスラーとメインイベントでの対決でチャンスが訪れるという話である。日本の女子プロレスラーミミ萩原も登場してのプロレスシーンがいい感じだ。


この映画でも、ふんだんにレスリングシーンは登場する。いろいろな停滞場面が続いたあとで1万人強の熱狂的観客の前でチャンピオンと戦う姿を映し出す。ただ、カリフォルニア・ドールズでの感動まではなかったかな?ストーリーでは途中の紆余屈折はあるが、最後の試合は興奮する前に終わってしまった感じがした。
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映画「エイスグレード」 エルシー・フィッシャー

2020-05-03 09:17:30 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「エイスグレード」は2019年公開のアメリカ映画


エイスグレードとは8年生の意味である。アメリカでは中学3年生という言い方はしないようだ。小学校5年、中学3年でちょうど8年生、日本でいえば中学2年生である。性に目覚めた思春期真っ盛りの世代である。クラスではいけてない女の子が自分改革を図ろうとする姿を描く。宣伝文句では各種賞の候補にも挙がりかなり好評ということで映画館にいくつもりが結局いけず、DVDでみた。評判ほどではないなあと思ったが、シングルファザーの父親のやさしさに共感してプラス1点

中学校生活の最後の一週間を迎えたケイラ(エルシー・フィッシャー)は、「学年で最も無口な子」に選ばれてしまう。不器用な自分を変えようと、SNSを駆使してクラスメイト達と繋がろうとする彼女だったが、いくつもの壁が立ちはだかる。人気者のケネディは冷たいし、好きな男の子にもどうやってアプローチして良いか分からない。お節介ばかりしてくるパパはウザイし、待ち受ける高校生活も不安でいっぱいだ。中学卒業を前に、憧れの男子や、クラスで人気者の女子たちに近づこうと頑張るが…。(作品情報より)

1.チャーミングな主人公
日本でいうスクールカーストでは低い地位にいる女の子、ニキビ面でチャーミングだけどちょっと小太りでお腹がバストよりも目立つ。you tubeに自分の人生がよくなるようにと動画をアップしている。本当はみんなと仲良くしたいし、憧れの彼もいるけどうまく振る舞えない。

人気者のケネディのお母さんとケイラのお父さんが仲がよく、お母さんからケネディのバースデイパーティにこないかと誘われる。意地の悪い当のケネディはあまり乗り気ではないが、プレゼントを持ってパーティへ行く。プールのある大豪邸、そこで泳いでいるとケネディのいとこに声をかけられる。変わり者のようだ。


当日カードゲームをケネディにプレゼントするが、反応がない。あまりおもしろくない。それでもyou tubeの動画で語りかけるように自分なりの向上心を持って生きていこうとする。地元の高校の体験入学で先輩たちと知り合う。クラスメイトと違ってみんなやさしい。オリヴィアはケイラのことがお気に入りでかまってくれる。


でも、ある男子が車で送っていくときに後部座席に2人並んでよからぬことをしようとする。微妙な世代なのに主演のエルシー・フィッシャーよく頑張ったなあという印象。

2.シングルファーザー
何でシングルファ-ザーなのかは映画では語られない。別居中だったら母親に会う場面がありそうなものだが、それはない。死に別れなのかもしれない。そんな父親はやさしく娘を見守ってくれる。出かけるときも、友人のところへ行くときも車で送ってくれる。友達とうまくやっているのか心配で仕方がない。高校の体験入学で知り合った先輩たちと会うときにはこっそり遠くから眺めている。この父親をみて共感を覚えた。


この映画をみてみようとしたきっかけは、主人公がうちの娘のプロフィールにとよく似ていると思ったからだ。中学校の時は部活の仲間が仲良くさせてもらっていたが、高校は入学して、本人を入部に誘った部活の同僚の女の子とうまくいかない。この映画のケネディのようにいやな女だ。それを引きずって大学生活も友人は増えないまま終わってしまう。

就職してどうなるかと思ったら、やさしい先輩がいるので一緒に昼メシ食べてくれたり助かっている。最初先輩っていくつくらいなんだいと聞くと20代後半かな?といっていた。娘の世代は人の年齢ってわからないのであろう。人間ドックを受診しているというからもっと上だ。このくらい年が離れると大丈夫なんだろう。この映画の高校の体験入学での先輩のようだ。

いろいろ考えさせられることは多い。ただ、意外な結末、新鮮なアイディアがある映画というとそうではないなあ。
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映画「マリッジ・ストーリー」 スカーレット・ヨハンソン&アダム・ドライバー

2020-04-26 09:16:59 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「マリッジ・ストーリー」は離婚調停に臨んでいる夫婦を描いたNetflix映画

主演のスカーレット・ヨハンソンアダム・ドライバーいずれもこのブログで何度も取り上げた好きな俳優である。ある夫婦の離婚合意への道のりを描いた映画である。2人の言い合いが絶えない映画という記事を読んで後回し、ほんの一瞬映画館でもやっていたが、時間が合わずNetflixスルーとなる。でも観てみると想像よりもおもしろい。

どちらかというと、女の身勝手ばかりが目につく。気分がわるくなる部分もあるが、あえてこちらにそう思わせるくらいのレベルの話に持っていっているんだろう。しかも、スカーレット・ヨハンソンアダム・ドライバーともにむずかしい長回しセリフと演技をこなしている。これは実に見事である。


ニューヨークに住む女優のニコール(スカーレット・ヨハンソン)と舞台監督のチャーリー(アダム・ドライバー)には8歳になる男の子の子供がいる。お互いの生活の行き違いやチャーリーが劇団の若い女優に手を出してしまったことで、二人は離婚への道を選ぼうとしている。ニコールはTVシリーズのオファーが来てロサンゼルスにしばらく行くことになる。そして、そのままニューヨークを離れて実家のあるロサンゼルスで暮らしてみたいという希望があった。

もともと2人は話し合いで離婚後の条件を詰めようというつもりだった。ある人が自分の離婚調停でお世話になった弁護士ノラ(ローラ・ダーン)を紹介してくれた。チャーリーが2人で話そうとしても、すべて弁護士を通じてくれということでノラからの条件を聞くと考えられないような不利な条件だった。弁護士をつけていないチャーリーはあらためて弁護士探しをして、ドライなジェイ弁護士(レオ・リオッタ)を避け老練な弁護士を起用する。

改めて2人と双方の弁護士での話し合いをスタートしたが、まったくかみ合わない。チャーリーは相手側弁護士とニコールの強い要求に対応するため、最初に相談したジェイ弁護士(レオ・リオッタ)を起用し対抗する。さすがのノラ弁護士も相手の実力をしっているだけに身構えるのであるが。。。

1.別れなくてもいいくらいの夫婦
この2人は別れなくてもいいと思える夫婦である。ロサンゼルスに行ったあとにチャーリーに吉報が入り、舞台での功績が認められて助成金をもらうことになる。そのときは心が離れている妻もニコールの母である義母もここぞとばかりの大喜びで抱き合うのである。あれ?日本で同じようなことが起きたら嫉妬で少なくともハグをするなんてことってないよなと感じてしまう。


その一方でこの映画の見どころは2人の強い自己主張で相手へ容赦なく攻撃する夫婦げんか、2人と双方の弁護士が法廷に立ってコテンパンに相手のあら探しをする強い言い合いだろう。こういうのを見せられたら心が折れるかとみるのをためらっていたが、これが真に迫っている。脚本も担当しているノア・バームバック監督は両親の離婚だけでなく、自身も離婚の経験があるという。こういう修羅場もおそらくくぐっていたであろうと感じさせる経験が映画の脚本の中にあふれ出ている。

2.スカーレット・ヨハンソン
スカーレット・ヨハンソンロバートレッドフォード監督主演のモンタナの風に抱かれてなどで子役時代から活躍している。東京新宿を舞台にしたソフィア・コッポラ作品「ロストイントランスレーション」「マッチポイント」をはじめとしたウディ・アレン作品で自分は注目してファンになった。20代前半の活躍からじわりじわり実力をつけてきた。作品が恵まれたらアカデミー賞主演女優賞を受賞するのもそんなに遠いことではないであろう。


別れなくてもいいくらいの夫婦ということを示すシーンがいくつかある。彼が助成金をもらった時元妻が喜ぶシーン。弁護士2人と一緒に2人が話し合いをしている合間に昼食で休憩となったときに、彼が緊張のあまり食事をオーダーできなかったらニコールがすらすら彼の代わりにオーダーするシーン。別居後息子を迎えに来たチャーリーの靴のひもがほどけているのを直してあげるシーンなど。こんなシーンを観ていると別の意味で何で?と思ってしまう。本当は別れなくてもいいのにという監督の思いもあるのか?

3.アダム・ドライバー
もともと風貌からしてインテリな役が似合う。今回は適役なんであろう。一方でパターソンで演じたナイーブなバスの運転手やブラック・クランズマンでの黒人迫害団体に潜入した刑事役などなんでもできる。ただ、この映画ほどシャウトしているアダム・ドライバーは観ていない。最初に離婚に向かう2人のプロフィルを紹介するシーンで、几帳面で家事が得意で妻の愚痴をきいても受け流すけど負けず嫌いなんて紹介があった。今回は観れば観るほど気の毒でしょうがない気持ちを自分は持った。


4.脇役の活躍
デイヴィッド・リンチ監督が好きな自分としては、まさに一連の作品の常連といえるローラ・ダーンがアカデミー賞助演女優賞を受賞したのはうれしい知らせである。ソフトな感じで相手の懐に入り込みながら、巧みに自分のペースに持ち込むノラ弁護士を演じた。ただ、同じ助演賞を受賞した「ワンスアポンアインハリウッド」ブラッド・ピットの強い存在感と比較するとちょっと弱いかなという印象を持つ。


チャーリーとニコールの劇団にいるハゲの老優でウォレス・ショーンが出てきたのをみて、思わずうなった。彼が出てくるたびにこのブログで取りあげる名優である。古くは死刑台のエレベーター」「地下鉄のサジルイ・マル監督がニューヨークでの舞台演出者と売れない俳優の対話を映したmy dinner with andreに出演している。

これは日本で公開されたことがない。高校の恩師からこの映画を紹介された。哲学的な言葉を語る舞台演出者のアンドレとそれを聞く売れない俳優ウォレスとの対話である。先生が苦労して字幕翻訳されたヴィデオクリップは著作権の関係もあり誰にも見せられないが見応えがある。


音楽はランディニューマン、気の利いたバックミュージックだと思ったが、そうなんだ。たまに映画音楽手がけるけど、スリードックナイト「ママ・トールド・ミー」がヒットした1970年前後から50年あまり現役で活躍している。久々に名前をみるとうれしくなる。

そんなベテランの活躍も見逃せない。

この映画をみて思ったのは、これでもかというくらいみんなハグしているということ。ライバル弁護士とハグするのもそうだが、離婚調停で仲わるい人間同士がハグするなんてことは日本だったらありえない。密着度がすごい。欧米でコロナ感染がすごいというのは結局こういうことなのかと妙に納得
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映画「ROMA」アルフォンソ・キュアロン

2020-04-19 20:09:50 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「ROMA」は2019年日本公開のNetflix映画


メガホンをとるアルフォンソ・キュアロン監督は宇宙空間でさまよう「ゼロ・グラビティ」の美しい映像でわれわれをときめかせた。監督が生まれ育った70年代前半のメキシコシティを舞台に富裕層の家で家政婦をしているクレオの目線で描いている。2018年度のアカデミー賞で外国語映画賞・監督賞・撮影賞3部門受賞している。映画館でも公開されていたが、どうもタイミングがわるく結局Netflixスルーといったところか。

末梢神経を刺激するような出来事が起きるというわけでない。淡々とストーリーは進んでいく。かなり練られた映像コンテや当時のメキシコシティを再現したセット?などすべてにおいてレベルが高いと感じる映像であるが、アカデミー賞の作品賞を受賞するほどのものではないかと感じる。

1970年、メキシコシティの医師宅でメキシコ先住民のクレオ(ヤリッツァ・アパリシオ)は住み込みの家政婦として働いていた。同僚のアデラと働く家には、医師のアントニオと妻のソフィアと、4人の子供、ソフィアの母親が暮らしている。クレオは掃除、洗濯、料理、子供たちの世話と忙しい日々を過ごしていた。クレオと子供たちは強い信頼関係があった。アントニオはケベックに出張に行っており、いったん帰宅したが、また家を出ていく。アントニオの心がソフィアから離れているようだ。


休日にクレオは同僚のアデラと一緒にダブルデートをする。それぞれのカップルに分かれアデラの知り合いのフェルミンとホテルに入る。デートのあとしばらくしてクレオは身体の変調に気づく。生理が来ないことをソフィアに相談して病院で検診すると、妊娠していることがわかる。相手の彼は姿をくらましてしまうが、クレオは堕ろさず生むことを決意する。一方で、ソフィアはアントニオの浮気から夫婦仲が険悪になり、家庭崩壊に向かっていた。その後、クレオはフェミニンの行方を捜して会いに行くのであるが。。。

この映画はアルフォンソ・キュアロン監督の自伝的な色彩が濃いという。1970年といえばメキシコオリンピックがあった2年後、それなりの経済成長があったと思われる。映像ではクレオが手洗いで洗濯している。モノクロなのでわからないが、TVも一時代前の形ではないだろうか?それでも家は広々としている。日本の住宅でこの家族が住む洋風豪邸ほどの家に住んでいる人って今そうはいないと思う。こどもたちがレーシングカーのおもちゃで遊んでいるが、これがなつかしい。ちゃんとしたレーシングカーセットはかなり高価でなかなか買ってもらえなかった自分の子供の頃を思い出す。

バックに流れている音楽では、メリーホプキンスの歌で日本でも大ヒットした「悲しき天使」、ポップスヒットチャートでよく聞いた「イエローリバー」などが時代背景を示す。暴動のシーンが妙にリアルで大暴れするデモ隊との対決がリアルに見える。

1.前近代的な女性クレオ
先住民の村から出稼ぎに来ている家政婦ということだ。4人子供がいて、洗濯が手洗いとなると、家政婦の力が必要になってくるだろう。1970年にはまだ自分の家にも家政婦がいた。前近代的な流れで商売やっている家にはいたものだ。70年というのは家政婦がいるいないの分岐点くらいだったかもしれない。アルフォンソ・キュアロン監督の実家もそれなりの家で、クレオのモデルになる家政婦がいたのであろう。


当時のメキシコでは都市部とそれ以外ではかなりの落差があったであろう。クレオはちゃんとした教育を受けてはいないかもしれない。まさに明治の女というべき、控えめな女性である。雇い主に対しても従順だ。男女の地位の差もあるのであろう。あなたの子供よとクレオが子供の父親に会いに行ったときも、男にいきなりまくし立てられておとなしく引っ込む。なんかいやだな。

でも、やるときはやる。そんな場面を最後に向けて見せつける。
この映画はアルフォンソ・キュアロン監督がそのむかし自分の家にいた家政婦に対して抱いた愛情が充満している気がする。やさしい気持ちが映画のなかにずっと流れている。そういう監督のクレオ役への期待に主人公の女性は応えている。好演だと思う。

2.男性器出現
クレオがボーイフレンドのフェルミンとホテルに入る。そこでフェルミンが武道のパフォーマンスをするわけだが、ばっちり包◎のち△こをだす。これには驚いた。日本映画ではなかなか見たときはないが、これってどういうことなんだろう。
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映画「アナと雪の女王2」

2019-11-24 18:04:24 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
映画「アナと雪の女王2」を映画館で観てきました。

娘と2人で見に行ってきました。仕事上でこの作品にからみができて娘を誘った。もちろん前作は鑑賞済み。満員御礼が予想されたので、あらかじめ字幕版で予約した。映画館にはものすごい人がいたので、やばいと思ったけど、これらの子連れはみんな吹き替え版なんだろう。字幕版は比較的観客は多くはなかった。

ストーリーを追っているんだけど、要旨がよくわからない。不思議な歌声に導かれて、いったいこれは何なんだろうと探求する。それだけはわかる。声の先に森があって入り込んでいくのだが、頭がついていけない。映像は楽しめるんだけど、自分の理解度が弱いのかストーリーの根幹がわからない。子供たちがいっぱい来ているけど、わかるのかなあ?もしかして、自分の理解度は幼児以下だったりして。

深い絆で結ばれたアナとエルサの姉妹は、王国を治めながら、失われた少女時代を取り戻すかのように、気の置けない仲間たちと平穏で幸せな日々を送っていた。しかしある日、エルサだけが“不思議な歌声”を聴く。その歌声に導かれ、仲間のクリストフやオラフと共に旅に出たアナとエルサは、エルサの持つ“力”の秘密を解き明かすため、数々の試練に立ち向かう。果たしてなぜ力はエルサだけに与えられたのか。そして姉妹の知られざる過去の“謎”とは? 旅の終わりに、待ち受けるすべての答えとは――。(作品情報より引用)

エルサの吹き替えのイディナ・メンゼルが歌うイントゥ・ジ・アンノウンが流れる。そして、エルサが未知の世界に旅たつ。これには背筋がぞくっとする。なんといい歌なんだろう。バックの映像もよくこれには感動する。でもその先のストーリーがよくわからない。

ただ、映像はなかなかだ。まさに上級者サーフィン大会を思わせるビッグウェイブに立ち向かうエルサを映し出すシーンやアナと雪だるまのオラフが急流のボートに乗るシーンなど映像は見応えがある。超人ハルクを思わせる岩の怪物がでてきたり、ダムをぶち壊してダムの水が川津波のように押し寄せるシーンの迫力は最近台風で被害を受けたばかりなんでアップデートなシーンのように思えた。祖父がダム工事に絡んでいるのはわかったが、今一歩理解がいかなかった。
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映画「天才作家の妻」 グレン・クローズ

2019-10-14 21:59:45 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)

映画「天才作家の妻」は2019年日本公開の作品


グレンクローズといえば危険な情事の不倫騒動で、一度手をつけたマイケルダグラスにつきまとう狂乱のパフォーマンスを思い浮かべる。これはすごかった!すでに30年以上の月日がたち、熟年の役が目立つようになっている。当然演技派の彼女が出るだけで映画が引き締まる。

その彼女がアカデミー賞主演女優賞の最右翼となった作品が「天才作家の妻」(英題:the wife)である。ゴールデングローブ賞は受賞している。タイミング合わずdvdスルーとなったが、ようやく見れた。

まさに今はノーベル賞の受賞者が発表される時期である。受賞の知らせが来たことで夫婦で大喜びするが、実はストーリー立てして書いているのは受賞者の夫ではなく妻だという話である。アカデミー賞の作品賞にはならないだろうなあという部類である。でもさすがグレン・クローズ、ここでも存在感あふれる演技で映画のレベルを引き上げている。話のオチをどうおさめるのか気になってストーリーを最後まで追ってしまう。


小説家ジョゼフ・キャッスルマン(ジョナサン・プライス)と妻ジョーン(グレン・クローズ)のもとに、ノーベル文学賞受賞の電話がスウェーデンよりかかってくる。二人は手を取り合って喜ぶ。そして、2人は授賞式が行われるストックホルムに向かう。搭乗機の中である男に話しかけられる。ジョゼフの伝記を書こうとするナサニエル(クリスチャン・スレーター)である。到着後、ジョーンは気分転換で外出しようとしたらナサニエルに再度声をかけられる。そして話を聞いて、夫と自分の「秘密」について知っているようで動揺する。

元々ジョゼフとジョーンは教授と教え子の関係だった。妻子がいるジョゼフが教え子に手を出してしまったのである。ジョーンは文才に恵まれていたが、自分の名前では誰も小説を読んでくれないとあきらめていた。一方でジョゼフにはジョーンほどの文才がなかった。

授賞式の晴れ舞台に向かおうとしたが、ナサニエルが息子にまで疑惑を語り始めたことを知り、ジョーンは動揺してしまう。また、ジョゼフが現地の女性カメラマンにちょっかいを出したことやこれまでの浮気癖に対する不満や怒りで爆発しはじめるのであるが。。。


1.ゴーストライター
どんな内容が小説で書かれているかは語られない。ここでは回想ということで、若き日の2人の姿を映し出す。若き日のジョーンは小説論を語る教授にあこがれる一人の若き女子学生に過ぎない。最初は娘のベイビーシッターをやってくれとバイトを頼まれるだけだった。


でも研究室で個人教授を受けるとジョゼフは手を出してしまう。そして、妻子を捨て結婚に至る訳である。ここでは、教授の書く小説に対して、登場人物にリアル感がないときつい論評をする彼女の姿がある。でも、こういう小説の評価と恋愛は別だといって結ばれ、結局は主に書くのが妻になっていくのだ。1日に8時間書き続けるというセリフもある。

ジョゼフの伝記を書こうとするナサニエルは、大学に保存されている妻ジョーンが書いた小説がよくできていること。夫が書いた若い日の短編があまり優れたものでないこと。前妻に取材したときに、夫が自分と別れてから文才を発揮するようになったことを聞いたことなどから、実は本当の作者はあなたでしょと妻ジョーンを問い詰めるのだ。

2.グレン・クローズのパフォーマンスと娘
ノーベル賞の受賞者がスピーチをするのは慣例のようだ。そこで、夫は妻のおかげで自分があるとばかりに賞賛する。それが妻が気に入らない。晴れのパーティ会場を去ってしまうのだ。ここから見せるグレンクローズの演技が見どころである。でも、このあたりの変貌は男性の自分にはよくわからないところだなあ。なんでこうなの?と思ってしまう。いかにも女性しかわからない不可解さだ。


ここでの若き日の想い出の映像でグレンクローズの若き日を演じるのはアニー・スタークである。なかなかいい女だと思ったら、なんとグレンクローズの実の娘だという。これはびっくりだ。


でも、生まれたのが1988年の4月だという。これって映画「危険な情事」の撮影くらいに仕込んだんじゃない。やっぱりあの映画は彼女にとっては大きな存在だということがわかるなあ。
危険な情事
グレンクローズの狂乱の記事

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映画「ワイルド・ライフ」ポール・ダノ&ジェイク・ギレンホール&キャリー・マリガン

2019-07-18 20:15:47 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)

映画「ワイルド・ライフ」を映画館で観てきました。

『ワイルドライフ』は俳優ポール・ダノが監督デビューを飾った作品である。自らは出演していない。「ルビー・スパークス」で共演したのゾーイ・カザンと共同で脚本・製作も担当した。ゾーイ・カザンは私生活でもパートナーである。「ルビー・スパークス」は大好きだし、ポールダノの作品は「ラブ&マーシー 終わらないメロディー」をはじめとして割と相性がいいので、早速観にいく。


夫婦生活の変調と家庭崩壊を14歳の少年の目線から見た作品である。キャリー・マリガン、ジェイク・ギレンホールという主演級を主役にして、田舎町での出来事を静かに語っていく。しっとりした音楽はうるさくなく、それに60年前後のポップスをからませる。題材は深刻だが、この14歳の心情に同化してしまう部分もあり全体を流れるムードが自分には合った。素敵な余韻が残る好きな映画である。

1960年、14歳のジョー(エド・オクセンボールド)は、ゴルフ場で働く父ジェリー(ジェイク・ギレンホール)の仕事のために、母ジャネット(キャリー・マリガン)とアメリカモンタナ州の田舎町に引っ越ししてきた。ようやく新天地の生活が軌道に乗り始めた矢先に、ジェリーが解雇され失業してしまう。

収入がなくなり夫婦仲が険悪になる。母はスイミングプール、息子は写真館での職を見つけるが、ジェリーは山火事を消す出稼ぎ仕事をすると家を出てしまう。家の生計は安定していない。やがて母ジャネットはスイミングプールの教え子で地元の自動車販売店の経営者であるミラー(ビル・キャンプ)を頼り、親密になっていく。ジョーは2人の関係を知り動揺する。そして、山での仕事を終えて数カ月ぶりに夫が帰宅するのであるが。。。


1.父ジェリー(ジェイク・ギレンホール)
モンタナ州に引っ越したばかりである。ゴルフ場のコーチをしていて、顧客とも仲がいい。もともとは気のいい奴である。賭けゴルフの話を顧客としているのをゴルフ場の人間が聞いて不快感を持たれたのか、クビになる。収入減に家族は驚く。その後、クビは撤回という連絡がゴルフ場からくる。意地っ張りなのか、戻ろうとしない。スーパーのレジとかで日銭を稼ごうともしない。

テレビで報道されている山火事の映像が気になる。男気を出して、山火事消火のために出稼ぎに出る。妻は当然反対だ。このあたりは変わったやつだなあと思う。やがて戻ってくるが、妻の様子がおかしいので問い詰めて異変に気付き、ある行動に出るのだ。


2.母ジャネット(キャリー・マリガン)
夫に帯同してモンタナ州の田舎町にやってくる。こんな辺鄙なところに来るくらいだから仲も悪くないんだろう。ゴルフ場をクビになるまでは普通の専業主婦だった。でも収入が途絶えるというのは大ごとである。やっとの思いで職を探し出し、スイミングスクールで泳げない人をコーチする職を得る。でも夫は時給の安い山火事消火作業に行ってしまう。

家計はきついだろう。知り合う場面は出てこないが、スイミングで教えた自動車販売会社の社長と仲良くなる。彼は独身だ。このあたりからキャリーマリガンのメイクがかわってくる。まるで娼婦の役みたいになってくる。息子には自動車販売会社に勤めているという。次第に急接近していくのを息子からも心配される。


3.14歳のジョー(エド・オクセンボールド)
引越して転校したばかりだ。フットボール部に所属したが、まだ友達はできない。父はフットボールの練習に付き合ってくれて仲がいい。そんな普通の生活が父の失業で変化する。家計が苦しく両親が苦慮しているのがよくわかる。生活費の補助のために、まだ学生の身分だけど写真館でアルバイトをする。それでも、だまって父母の愚痴まがいの会話を聞いている。その表情が健気だ。クラスメイトの女の子が話しかけてくれるようになった。家のことが気になり勉強もできない。彼女がカンニングさせてくれたり加勢してくれる。母性本能をくすぐる少年だ。


14歳の少年の設定だが、親が困ったときに心配になるのはよくわかる。自分の実家は会社経営だった。小学校高学年のころ、もともと扱っているものが時代の流れで売れなくなったとき気になって仕方がなかった。扱っている商品の代替え的商品がCMに出てくるとドキドキしながらTVを見ていた。また、両親がもう離婚してもおかしくないようなけんかを何度もしていた。その時はものすごく心配したし、母が飛び出したときに新幹線に乗ってしまうのかと東京駅まで行ったこともある。でも、家に戻ったら平然と母はいた。そんな自分に投影してこの少年の気持ちに同化していった。

少年の雰囲気がポール・ダノ自身に似ているように見える。ウディ・アレンの映画で自らが出ていない作品では、出演者に自分のセリフを代弁させているような場面に出くわす。この少年は比較的無口で繊細さがにじみでる。ポール・ダノ自らが演じているような錯覚をもつ。


この映画ポスターでは、椅子に座っているジェイク・ギレンホールキャリーマリガンを横目でじろりとにらんだ写真になっている。2人の間の椅子は息子がすわるためのものだ。ここにはポール・ダノ自らが座ってもいいような気がした。

ルビー・スパークス
ポール・ダノ,ゾーイ・カザンのブログ


ラブ&マーシー 終わらないメロディー
ポール・ダノのブログ

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