映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「ELLE」 イザベル・ユベール&ポール・ヴァーホーヴェン

2017-09-02 09:44:58 | 映画(フランス映画 )
映画「ELLE」を映画館で観てきました。


鬼才ポール・ヴァーホーヴェン監督がフランスを代表する名女優イザベル・ユベールと組んだ新作である。サスペンスタッチでなんか面白そう。ポール・ヴァンホーヴェン作品は「氷の微笑」からずっと追いかけている。特にオランド系ユダヤ人女性の生涯を描いた「ブラックブック」のスケールの大きさに感嘆した。

正直、事前の期待度にくらべると、ちょっと物足りなかったが、スリラーの匂いが強くおもしろい。「ブラックブック」の時もよかったが、アン・ダッドリーの音楽も不安感、緊迫度を高める。いきなりの激しいレイプシーンには驚くが、謎解きの要素があり面白い。


ゲーム会社の社長を務めるミシェル(イザベル・ユペール)は、瀟洒な邸宅に猫と暮らしている。ある昼下がり、彼女は自宅に侵入してきた覆面の男に襲われ、性的暴行を受けるが、何事もなかったかのように日常生活を送り続ける。その頃、ミシェルが10歳の頃に実父が起こした衝撃的な犯罪に、再び世間の注目が集まってしまう。

警察に関わりたくないミシェルは、売れない小説家の元夫、ワンマン社長のミシェルを恨んでいる部下、秘密の恋人、意味深な視線を送ってくる隣人など、身近な男たちに疑いの目を向け、真犯人を見つけ出すために罠を仕掛けていく。(作品情報 引用)

レイプ映画とはいえ、ジョディフォスターの映画のような犯人探しや訴訟といった感じではない。レイプされても警察に届けない。それは、小さいときに実父が起こした殺人事件の影響で、警察への信頼性がないということなのだろう。あやしいと思われる人物に接近し、ペ〇スの形で犯人かどうかをチェックする。途中で体形でこの男かな?と想像できるが、軽い迷彩で分からなくする。


1.ポール・ヴァーホーヴェン監督
1938年生まれだからもう79歳だ。エロチックサスペンスの名作「氷の微笑」からは25年ほどたつ。シャロンストーンポール・ヴァーホーヴェンと出会わなければ、今のキャリアはなかったであろう。いきなりのベッドでの殺人は本当にドキドキした。この映画と同様に謎解きの要素を持つ。マイケル・ダグラスを翻弄しまくるシャロンストーンの悪女ぶりを引き出したのはポール・ヴァーホーヴェンの力だろう。


そのすぐ後の「ショーガール」はラジー賞にもなり、酷評されたけど、個人的には悪くないと思っている。ラスベガスにやってきたカントリーガールがショービジネスで這い上がる物語は、プールでの激しいファックシーンも含めてドキドキさせられる。そういった刺激の強さはこの映画でも発揮されている。ヒッチコックというよりも、ブライアン・パルマの映画のように観客をびっくりさせて楽しんでいるようだ。

アメリカ映画、欧州の映画とどんな国の映画でも作ってしまう。でも、この映画をみると、わかりやすいフランス語のセリフでいかにもフランス映画の映像と感じさせてしまう。器用な監督だね。


2.イザベル・ユペール
イザベルユベールは64歳にして、ボディをさらけ出す。映画では年齢をはっきりさせていないが、50代半ば前後の設定だ。実際自分も年を取ったので、こういった熟女系の女も悪くはないが、60代には見えないボディだ。同じ年のキムベイシンガーも以前はよく脱いだが、最近は露出度は低くなった。それにしても、イザベルユベールはまあよくやるね!

殺人鬼だった父親は刑務所に入ったまま、町であんたの家族は最低なんて今でも言われる。考えてみたらフランスは死刑廃止なんだね。日本だったら絶対死刑と思われる事件をおこした父親と70歳を過ぎていまだ若い男と付き合っている派手の化粧の母親との関係でこの主人公の性格をあぶりだす。


ゲーム会社の社長という設定だ。超人ハルクのような怪獣と女がからむアニメのシーンも異様な雰囲気で、エロチックな匂いをさせる。ミシェルはレイプされながらも男の割礼をしっかり確認している。ゲーム会社の同僚、隣人、友人の夫などのパンツを脱がして相手のあそこを確認する。このあたりの変態的動きで異常性を強めている。

氷の微笑
ヴァンホーヴェン監督の異常性
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映画「グッバイ、サマー」

2017-07-02 20:55:05 | 映画(フランス映画 )
映画「グッバイ、サマー」は2016年公開のフランス映画


中学生の夏の想い出なんてテーマって昔から好きなテイストである。「アメリ」以来ずっと追いかけているオドレイトトゥも出演しているし、ロードムービーは大好きなので気になっていたが忙しさにかまけて結果DVDスルーとなるが、DVD化されたので見逃せない。
オーディションで選ばれたという2人の若者が好演、しかもかわいい。性的に目覚めて好きな女の子ができたにもかかわらずうまくいかないなんてシーンを見ると、自分の中学生時代を思い出す。


14歳。子供でもない、大人でもない狭間の時期。画家を目指すダニエル(アンジュ・ダルジャン)は沢山の悩みを抱えていた。
中学生になっても女の子のような容姿で、クラスメイトからミクロ(チビ)と呼ばれて馬鹿にされており、恋するローラ(ディアーヌ・ベニエ)にはまったく相手にされていない。おまけに母親(オドレイ・トトゥ)は過干渉で、兄貴は暴力的なパンク野郎だ。誰も本当の自分を理解してくれる人はいない……。
そんなある日、ダニエルのクラスに変わり者の転校生がやってくる。名前はテオ(テオフィル・バケ)。


目立ちたがり屋で、自分で改造した奇妙な自転車を乗り回し、家の稼業のせいで身体からガソリンの匂いを漂わせている。周囲から浮いた存在のダニエルとテオは意気投合し、やがて親友同士になっていく。学校や家族、そして仲間達、みんなが二人を枠にはめて管理しようとしてくる。息苦しくて、うんざりするような毎日から脱出するため、彼らは“ある計画”を考え付く。それは、スクラップを集めて〝夢の車”を作り、夏休みに旅に出ることだった―。(作品情報より)

1.2人の少年の珍道中
主人公のダニエルは長髪で女の子に間違えられることが多い。自分でオナ〇ーをしようとしても、まだ精〇がでない。美術オタクでパンク好きの兄貴のバンドの絵も巧みに描いてしまう。そんなダニエルの前にテオガ現れる。家が骨董屋で機械好きのテオとダニエルは意気投合する。


廃品を集めてゴーカートのような車をつくるが認可は出ないし、そもそも子供が運転するなんて話になる。そこで二人で知恵を出して、家の形をした車をつくる。運転しているのがばれそうになったら、家だと言い切るというのだ。そんな2人の珍道中では、子供のいない中年夫婦に好かれたり、得体のしれない風俗のような床屋で髪を刈られたり、腕っぷしの強いアメリカンフットボールの選手などが出てきておもろい話が続く。

2.風俗風床屋の顛末
女の子に間違えられることが多く、もっとたくましくなりたい願望も強かったダニエルが髪を切りたいと床屋に向かうがどこも閉店だ。いくつか回っているうちにいかがわしい床屋に入っていく。日本語を話すアジア女性が「かわいい」といってダニエルを出迎える。でも周りには与太者がたむろっている。バリカンで頭の中心部を刈ったとたんに店の中でドタバタ劇が始まり、そのままダニエルが逃げる。髪の毛はバリカンで刈ったままだ。このあたりの顛末がおかしい。


以前は台湾などで風俗系の床屋があったけど最近はどうなんだろうか?もしかしてフランスにそういう風俗があったりして?!

オドレイトトゥは今回は過保護の母親だ。眼鏡をかけていかにもという雰囲気である。でも息子が戻って抱きしめている顔つきは優しさがあふれている印象を持った。
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映画「アンナとアントワーヌ  愛の前奏曲」 クロードルルーシュ&フランシスレイ

2017-03-19 20:09:52 | 映画(フランス映画 )
映画「アンナとアントワーヌ  愛の前奏曲」は2016年公開のフランス映画

クロードルルーシュ&フランシスレイのコンビといえば、昔からの映画ファンにはおなじみの名前だ。でもこの2人どうしたんだろうと思っていたら、なんと新作が出たという。しかも、主演は「アーティスト」でアカデミー賞を受賞したジャン・デュジャルダンではないか。見に行きたいのであるが、上映館は渋谷文化村しかない。機を逸してやむなくDVDスルー。残念だったが、待っていたDVD化ですぐさま見る。


こういう映画は好きだ。全面的なインドロケである。猥雑な風景の中に演じる2人が違和感を持ちながらも溶け込んでいく。ロケハンは完璧で、ロードムービーのように次から次へと変わるインドを映し出す映像は自分の目を楽しまさせてくれる。

アントワーヌ(ジャン・デュジャルダン)は、アカデミー賞を受賞した著名な映画音楽作曲家だ。ピアニストの恋人アリス(アリス・ポル)がいるが、自由気ままに独身生活を謳歌している。そんな折、インドの映画監督から新作映画の音楽を依頼され、インドを訪れる。着いたその日にフランス大使館のレセプションに招待される。そこではフランス大使(クリストファー・ランバート)の妻アンナ(エルザ・ジルベルスタイン)が隣席に座る。


積極的なアンナとすぐさま意気投合する。子供がなく、愛する夫との間に子供を授かりたいと願う彼女は、聖者アンマに会うためにインド南部の村まで旅に出かけるのだと言う。アントワーヌは、インドに来てからひどい頭痛に悩まされていたが、気分転換としばしの休息を求めて、アンナと共に2日間の旅で出かけることになったのであるが。。。


1.映画の中の映画
いきなりインドの猥雑な町が映し出される。予備知識なしで観た映画なので、あれ?と思う。そうしているうちに、1人の若者が宝石屋に乱入して、店主を脅して宝石を盗み出す。そして仲間と自動車や人が充満するインドの道を逃走する。しかし、その車が自転車に乗っている若い女性を轢いてしまうのだ。車に乗った若者は彼女を助けねばと相棒に言う。逃げなければならないのに、どうして?と仲間割れしてしまう。若者は倒れている彼女を病院に運び込む。そして病院で警官に捕まるが、彼女は助かるのだ。そして、刑務所にいる若者を彼女が訪ねて2人の恋が始まる。

この話が美談になるというのが、アントワーヌが作曲を依頼された映画である。
最初は何だと思っていたが、アントワーヌがインドに到着した映像から主たるストーリーが始まる。

2.クロードルルーシュ&フランシスレイ
クロードルルーシュ&フランシスレイの名コンビが有名になったのは「男と女」だ。今見ても新鮮な輝きがある傑作である。自分が最初に映画館で観たのは「白い恋人たち」だ。当時まだ小学生で父と観に行った。競技スキーでキリーが三冠王をとったフランスのグルノーブルオリンピックを記録するドキュメンタリーをクロードルルーシュが監督したが、寒々しい雪景色に合うフランシスレイの主題曲がすばらしかった。実際、このころ2人の名コンビは次から次へと名作を生み出していった。今でも時折昔の映画を見るが、もう完全に過去の人と思っていた。

でもこの映画いい感じだ。現実と虚構そして夢の世界を織り交ぜて、一瞬観ているこちらを惑わさせる。


3.エルザ・ジルベルスタイン
エルザ・ジルベルスタインがなかなか魅力的だ。もともとの主人公の恋人であるアリス・ポルが若くてきれいだけど、自分にはエルザ・ジルベルスタインのほうがよく見える。ベットシーンもあり乳首を見せるヌードも披露する。実年齢が48歳で子供が欲しいというにはちょっと年を取りすぎ感があるけれど、彼女だったら許せる。


映画のオチだけど、ジャン・デュジャルダンとエルザ・ジルベルスタインが偶然空港で再会するシーンがある。その時にアンナは子供を連れている。アントワーヌという名前だ。いかにも2人の間にできた子供ということを観客に連想させる。でも2人のセリフにはそれが出てこない。それもいいかもしれない。

疑問??と突っ込み
映画の作品解説をみると、主人公はニューデリーに到着していることになっている。でもインドに到着後、アントワーヌと映画監督とのセリフの中で、今日はボンベイじゅうの著名人がインド大使主催の歓迎レセプションに参加するという会話がある。インド大使がいるのはニューデリーの大使館だ。ボンベイ今のムンバイに領事館はあるけど、どうなんだろうね。

あともう1つ
大使とアンナが初めて知り合ったのは、パスポートや財布を列車で寝ている間に盗まれて大使館に行くときという場面がある。あれ?こんなに最近知り合ったの?大使の任期ってそんなに長いかしら?百歩ゆずっても2年くらい前に結婚したと考えてもいいだろう。子供ができないと悩むくらいの時間だろうか?これって絶対変だと思うんだけど

割と好きな映画だけど、脚本のディテイルは雑かな?
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映画「カミーユ、恋はふたたび」 ノエル・ルボウスキー

2015-11-04 19:46:10 | 映画(フランス映画 )
映画「カミーユ、恋はふたたび」を映画館で見てきました。


この間の日曜日に大学の同期が50代にして再婚パーティをやった。久々の同窓の結婚パーティで大勢集まったけど、かなり盛り上がった。そんな思いで、この映画をピックアップして見に行った。
これはなかなかおもしろい。40代の売れない女優が、若い女にうつつを抜かした亭主に離婚してほしいと言われ、やけくそになって飲みすぎたら15歳の時にタイムスリップしてしまうという話だ。韓国映画「サニー」に似たタッチだけど、この映画のすごいところは10代半ばの女の子に交じって40代のおばさんがそのままの姿で演じてしまうということだ。主演のノエル・ルボウスキーが自らメガホンをとるが、コミカルなセンスが良い感じだ。


パリに住むカミーユ(ノエル・ルボウスキー)は、40歳を過ぎた今、女優の仕事を続けているが、もらえる役はほんの数分、台詞も叫び声だけといった全く仕事とは言えない状態。家庭では、娘は独立しており、夫エリック(サミール・ゲスミ)との仲は冷え切っている。そんな上手くいかない人生の慰めはネコとお酒。そんなある日、25年も連れ添ったエリックが20歳の若い女を作り離婚を言い渡してきた。

失意のどん底のカミーユは、大晦日の日、旧友とカウントダウンパーティで大はしゃぎし、酔っ払って転倒、目が覚めると、そこは病院のベッド。傍らには今は亡き両親がいる。どうやら学生時代にタイムスリップしてしまったようだ。


それも顔や体形は40代のままの姿で。童心に返り、大好きだった両親や友人たちと、2度目の青春を楽しむカミーユ。そして人生を見つめ直す機会を得た彼女に、恐れていた同級生のエリックとの出会いが訪れる。彼女は将来を危惧し逃げ出すのだろうか-?それとも先が見えていてもエリックを再び愛するのだろうか-?(作品情報 引用)

2012年の映画なのになぜか今公開だ。何でだろう。特に前評判が高いわけでもないけど、高校生へタイムスリップの物語というのは相性がいい。客の入りはさしてよくないけど、見ていてなかなか楽しい。脚本ストーリー的には、韓国映画のようなドンデン返しの波状攻撃といった鋭さはなく、最後の詰めが甘いという印象すら受ける。でも不快な感じがなく後味はいい。ついこの間若き日を思い出すパーティがあったからだろうか。


1.ノエル・ルボウスキーとおとぎ話のような高校時代
15歳の時から25年たったという設定だと、40歳ということになるがちょっと無理があるなあ。主人公は少し老け過ぎで50代といってもおかしくない気がする。調べてみたら1964年生まれという。すなわち撮影当時48歳だ。そうだよな。タバコをバカスカすったり、ワインをガボガボ飲んだりして、夫から愛想尽かされても仕方がないルックスに自分には見えてしまう。

それでもよく頑張ったと思う。自分の子供のような女子学生と踊りまくったり、夫とこのまま一緒にならないように、童貞ぽい男子学生に言い寄り、ベットに誘ったら自分から腰をふろうとして相手に嫌がられたりと笑う場面はいくつも用意されている。ふと目を覚めたら、死んだ自分の父母が目の前にいるなんて光景が実際に起きたら、思わずびっくりしてしまうだろうなあ。


この次の電柱で未来の夫は自分にキスをしてくるなんて予測をして周りをビックリさせる。自分の母親の死期を知っているので、CT検査をすすめたり、いろいろ手を尽くすけど結局は流れに逆らえない。うーん、タイムマシーンに乗っても自分の周辺を変えることはできないのであろうか。

2.熟年結婚パーティ
ついこの間のお互い2回目の再婚パーティでは、ケーキカットで司会も「初めてのお仕事とはいえないけど」とみんなの笑いを誘う。そのあたりが楽しい。会社ではいつも偉そうにしているんだろうなあというおじさん同世代がたくさんいたし、長い間通っている飲み屋のマスターもいる。世の教育ママたちからみれば、羨望のまなざしのパーティだろう。この年になってこんな楽しいパーティができることがうれしかった。こういう楽しみは減ったもんね。


奥さんは下からずっと附属で、大学からの自分とは違う家柄の出身だ。それだけにもう社会人の息子も大学生の娘も容姿は超淡麗だ。そのむかし殺人的な美貌を誇った世が世であればお姫様のような方だけど、さすがに年を重ねると色は若干あせる。それもいいんだろう。
この映画をみながら、もう一度むかしに戻ってみたい気がした。きっと大きくは人生変わらないけど、いくつか変えてみたいこともある。そしてこの出演者のように同じようなパーティや悪さをやってみたいそんな気を起こさせてくれた。
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映画「友よ、さらばと言おう」

2015-02-02 05:34:35 | 映画(フランス映画 )
映画「友よ、さらばと言おう」は2014年公開のフランスアクション映画だ。


森田健作の歌を思わせる題名がちょっとどうか?という感じだけど、近年のフランスアクション映画には豪快な映画も多い。
この映画は離婚後別々に暮らす10歳の息子がマフィアの殺人現場を見かけて追われるのを元警官の父親が救おうとする話だ。公安系の仕事をした人間がそこを辞めた後、事件に遭遇するというパターンは多い。先日見た「薄氷の殺人」も離婚した元刑事が主人公だった。元CIAなんてパターンはくさるほどある。言うならば、既視感のある話だ。それでも、余計なセリフを少なくして、映像でアクションを見せる映画の作りこみの姿勢には好感を持った。


敏腕刑事シモン(バンサン・ランドン)とフランク(ジル・ルルーシュ)は、南フランスのトゥーロン警察で長年コンビを組んできた。ところが、シモンが飲酒運転で人身事故を起こし、刑務所に送られた。6年後、刑期を終えたシモンは警備会社に勤めるも、妻とは離婚して落ちぶれていた。
そんなある日、シモンの最愛の息子が、偶然にもマフィアの殺し現場を目撃してしまう。


それは、フランクも担当している壮大なマフィア抗争の一味によるものだった。息子はその場は懸命に逃げたが、目撃者を消すため、息子が狙われた。それを知ったシモンは、自ら守ろうとする。フランクはかつての相棒を気づかい協力するのであるが。。。

1.物語の原則
漫画原作者でありオタク評論家の大塚英志がいう「物語の原則」にまさにあてはまるオーソドックスなストーリーだ。
1.何かが欠けている。(事故を起こして刑務所に入り、やむなく妻と息子と別れている)
2.課題が示される。(息子がマフィアに追われていることがわかり、守らなければならない。)
3.課題の解決(波状攻撃で息子を狙うマフィアを警察官の同僚だったフランクとともに守る)
4.欠けていたものが元に戻る。(まさにこの通り)

「欠けている」→「それを回復する」は物語の根源リズムだ。単純だ。主人公には援護者がでてくるが、これも法則通り。こんな感じで物語はいくらでも量産できると言える教科書のようだ。

2.巧みなアクションシーン
フレッド・カバイエ監督「すべては彼女のために」という映画を作っている。これはなかなかよくできた映画だった。アクション場面の躍動感を期待していたけど裏切っていなかった。フランス新幹線(TGV)内外でのアクションもすごいけど、序盤戦に何度かある子供とマフィアの追っかけっこもスリルある。


活劇のようなリズムは現代フランスアクション映画にはありがちでそれがいい。セリフが少ないのもいい。

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映画「17歳」 フランソワ・オゾン

2014-09-16 05:03:57 | 映画(フランス映画 )
映画「17歳」はフランス映画の鬼才フランソワ・オゾン監督の2013年の作品
ちょっとしたきっかけで中年男性との売春に手を染めるようになった17歳の少女の物語だ。


何はともあれ、主人公マリーヌ・ヴァクトが美しい。その要素だけで映画が作れてしまう。ゲイを自称するフランソワーズ・オゾン監督が、ずいぶんと素敵な星を探してきたものだ。17歳になった彼女の一年を春夏秋冬に分けて追いかけていく。

夏。パリの名門高校に通うイザベル(マリーヌ・ヴァクト)は、医師の母シルヴィ(ジェラルディン・ペラス)とその再婚相手の義父パトリック(フレデリック・ピエロ)、弟のヴィクトルと共に、リゾート地でバカンスを過ごしている。

ある夜、こっそり外出した彼女は、ドイツ人青年フェリックスと海辺で抱き合い、初体験を呆気なく済ませる。翌日、再び会いに来たフェリックスに対して、イザベルは素っ気なかった。バカンスが終わると、別れの挨拶もないままイザベルは去って行く。

秋のパリ。イザベルは、SNSを通じて知り合った不特定多数の男たちと密会を重ねていた。
放課後駅のトイレで身支度を整え、待ち合わせ場所へ向かう。
名前は「レア」身分は20歳の大学生と偽っていた。帰宅すると、男たちから受け取った300ユーロをクローゼットに隠す。たびたび連絡してくる初老の男がいた。既婚者で娘もいる彼の名前はジョルジュ。


イザベルは、定期的に会い続ける。ある時、ジョルジュが事の最中に心臓発作を起こし、ベッドの上で息を引き取ってしまった。動転したイザベルは、逃げるように部屋を立ち去る。

冬。母親の病院に突然、警察官が訪れる。亡くなったジョルジュと最後に一緒にいた相手がイザベルであることが判明し、捜査の手が伸びたのだ。シルヴィだったが、娘の部屋から大量の札束が発見されたことで、ようやく事態を理解。問い詰める母の言葉に、イザベルは何も答えないが。。。。

1.マリーヌ・ヴァクトの美貌
23歳にして17歳の年齢を演じる。スレンダーなボディに素敵なバストだ。乳輪の大きさが男のやる気を増長させる。


お茶目なシーンがあった。両親と観劇に行ったときに、ホテルでビジネスをした男にあった。最初は自分の身がわからないようにしていたが、男が若い女性と一緒とわかると、あえて視線を男に向ける。あわてる男だ。
その後、男はついつい誘ってしまう。結局若い女性は娘だということが分かる。

2.パリの売春事情
売春を題材にした映画ってフランス映画には昔から多い。立派な?職業なんだろう。はじめてパリに行った35年前からストリートガールはよく見かけた。シャンゼリゼ通りのちょっと裏道に入るだけで、それらしき美女がいる。近くの安ホテルで肌を合わすのだ。how muchではなくcombien だ。都合のいい言葉だ。

今やNET社会らしい遊び方になっているのが、この映画を見ると解る。相場はフラン時代とあまり変わらない。
主人公が値切られるシーンがある。それなりの仕事をしていないと言われるのだ。これって黒社会の下で働いている売春婦だったら、怖いお兄さんを呼んで解決するんだけど、このシーンをあえて入れているのは、そういう組織の下でない日本でいう援助交際的売春ということを示すためではと感じた。

3.シャーロット・ランプリングの登場
フランソワーズオゾン監督作品ではよく見かける大物女優が、最終局面に突如登場する。サングラスを外した顔を見るとドッキリする。


若き日はポールニューマンの「評決」などいい作品に魅力的な女として出演したが、オゾン監督作品の「まぼろし」「スイミングプール」いずれも初老のインテリ女性である。ここでは、主人公とことの最中に死んでしまう男の妻という設定だ。自分の夫と最後に交わった女に会いに来るのだ。この場面、妙によくできている。シャーロット・ランプリングだから味があるのかもしれない。
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映画「ママはレスリングクイーン」

2014-08-15 21:07:33 | 映画(フランス映画 )
フランス映画「ママはレスリングクイーン」を映画館で見てきました。
これは面白かった!


女子プロレスといえば、ロバート・アルドリッチ監督の遺作で、「刑事コロンボ」のピーターフォークと2人の女子プロレスラー主演のカリフォルニアドールズという圧倒的に面白い映画がある。その連想もあり、絶対にこの映画見に行こうと思っていた。


少ない観客を想像していたら、最前列まで超満員でビックリした。右も左も自分より年上のおばさんで、年齢層が高い。まったくの予想外であった。基本的には現代フランス映画らしいコメディで、ひたすら笑える映画だ。まわりから絶えず笑い声が聞こえる快適な時間だった。

刑務所に服役していたローズ(マリルー・ベリ)は出所してすぐに息子のミカエルに会いにいくが、長いこと代理母に育てられた息子はローズのことを受け入れようとしなかった。


ローズはワンマン社長が牛耳る地元の大型スーパーマーケット、ハッピーマーケットに採用される。そんな中ミカエルがプロレスのファンであることを知り、プロレス選手になれば彼は心を開いてくれるのではないかと思ったローズは、昔地元で名を馳せたプロレスラーだったリシャール(アンドレ・デュソリエ)のいるジムへ足を運ぶ。リシャールは仲間を連れてくるように言うが、ローズは同じスーパーで働く女性たちにプロレスはいい気晴らしになると説得して引き連れてくる。


浮気を繰り返す夫に愛想をつかせたコレット(ナタリー・バイ)、男に飢えているジェシカ(オドレイ・フルーロ)、自分の外見にコンプレックスを持つヴィヴィアン(コリンヌ・マシエロ)は、レスラーが派手な演出の中思い思いの衣装をまといリングに現れ大暴れする様子を初めて目にし、やる気をみなぎらせる。
彼女たちの熱意に動かされ、リシャールは彼女たちを特訓。スーパーのレジ係たちがプロレスに挑戦するという噂が伝わっていっていた。メキシコの巨漢軍団との対戦が決まり、4人は猛特訓するが。。。。

女子プロレスといってもまったくの素人からのスタートだ。
しかもみんな若くはない。
でも勢いづいて本気になって、練習に取り組む。指導する元プロレスラーが連れてきたのが、彼女たちよりもっと年上のおばあさんレスラーだ。これには笑える。4人はおばあさんたちを見てなめてかかるが、素人と玄人の差があり、しっかり技をかけられる。


レスラーそれぞれに入場曲がある。ベテランのナタリー・バイは66歳にして女子プロレスラー役だ。頑張るねえ。
テーマ曲は「ワンダーウーマン」でカッコよく空中遊泳だ。


メキシコのタコス姉ちゃんには負けないよとばかり、威勢のいい4人だが、覆面の相手を見て少しはビビる。
しかも会場の広さにビックリだ。
当然相手の方が力上位だが、善戦する。


年をとっているだけにプロレス技に切れはない。そこが「カリフォルニアドールズ」に及ばないところかな?
あの映画のラスト20分は活劇のような楽しさで観客中が興奮のるつぼに入っていた。
ここでは最後に向けての高揚感も落ちる。でも女優たちの年齢を考えればよく頑張っている方だ。

勝敗はどうなるんだろう?そう思った瞬間。。。。。
いいんじゃないこれで。

ジョークも効いていて楽しい時間だった。
ハリウッドリメイクが決定しているらしい。どう料理するのか?楽しみだ。

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映画「パッション」 ブライアン・デ・パルマ

2014-07-13 07:47:38 | 映画(フランス映画 )
映画「パッション」はブライアン・デ・パルマ監督によるサスペンススリラー映画だ。
これが予想をこえて最高に面白い。

ブライアン・デ・パルマ監督は、恐怖と謎に満ちたエロティックサスペンスの傑作映画「殺しのドレス」を作り上げた後に「アンタッチャブル」「ミッションインポッシブル」といったヒット作も製作してきた。5年ぶりとなる待望の新作「パッション」を完成する。

ヒッチコックの後継者的存在であったが、ブライアン・デ・パルマ監督の作品の方が圧倒的にエロい。ヒッチコックは美人女優を登場させるが、ここまでエロくない。その監督がフランス映画ラブクライムをもとにつくった作品だ。ロードショウはタイミング合わなかったが、リメイクにしては珍しく、原作の出来を大きく超えるスリラー映画にしている。
幻惑に満ちたストーリー運びは実に見事であり、最後まで目が離せない。

クリスティーン(レイチェル・マクアダムス)は、若くして世界的な広告会社の重役の地位にのぼりつめ、現在はベルリンの支局にいた。クリスティーンは、野心を隠さず仕事でもプライベートでも活発な女性である。
部下のイザベル(ノオミ・ラパス)は、クリスティーンの依頼でロンドンに出張することになった。イザベルの力量を評価してのの出張であったが、クリスティーンの恋人(ポールアンダーソン)も同行していた。イザベルはロンドンの会議でスマートフォンCMのアイデアを発表し、評価される。しかし、クリスティーンは、従順な部下のイザベルが考案した手柄を横取りする。

しかしイザベルと組んでいたダニ(カロリーネ・ヘルフルト)はクリスティーンの態度がおもしろくない。

広告を動画にアップロードする。すると動画が大反響で、本社からイザベルが称賛を浴びる。イザベルが引き立てられることは、クリスティーンには面白くない。強烈な反撃を起こす。ロンドンでクリスティーンの恋人との情事を動画に取られていた。それを見せつけられる。かっとなり駐車場内で車をぶつけしまうが、その映像を他の社員のいる前で発表される。

2人の関係は次第に悪化していった。。。
その後、クリスティーンが突如何者かにより殺される。2人が仲たがいしていることがわかり、イザベルのもとを警察が訪ねてくるのであるが。。

1.ブライアン・デ・パルマ監督
人をビックリさせるのが大好きな監督だ。観客にとってはたまらない。
殺しのドレスでは、奇妙な変装をした連中が我々を恐怖に陥れる。
この後、長きにわたって同じような映画は撮っていない。、映画ファンはブライアン・デ・パルマのスリラーが大好きだ。

(監督のインタビューを引用)
「この映画は何が真実で何が違うのか、目覚めるまでわからない夢を見ているような感じだ。それに犯罪の手順を、非常に洗練された夢の世界に織り込んでいくことで楽しさが倍増するんだ」その楽しさの一部は、最後のシーンまでパズルのピースを完成させていない状態に観客を置いておくことだった。

2.バレエの映像と殺人現場
このバレエのシーンは原作にはない。これが極めて幻想的で狂喜にあふれる。
その画面にクロスカッティングして、クリスティーンの部屋を映しだす。仮面をした人間が忍びこむシーンだ
そこにイザベルの目のカットまで重なる。
アドレナリンが高まる。何が起きるのか、ドキドキしてみてしまう。

すごいなあと思い、撮影者を確認した。ホセ・ルイス・アルカイネはスペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督作品で撮影を担当している。「私が、生きる肌」「ボルベール」いずれも独特の映像美だ。ブライアン・デ・パルマ監督もなかなかいい撮影者を起用している。

3.恐怖の終盤
それまでのイジメを考えれば、当然犯人は予測できる。実際に死体発見後、すぐに警察はイザベルのもとを訪れて連行する。しかも、すぐに殺しを自白してしまうのだ。何で?と思いながら、すぐ後にそれ自体睡眠薬による悪夢だと言って自白を撤回して、アリバイ証拠を探しだす。するとアリバイが見つかってしまう。それでもなお怪しい。
「完全に謎が解明するまで、誰が殺人に成功したのかわからないように組み立てた。それこそがミステリーのあるべき姿だからね」  (監督のインタビューを引用)
完全犯罪とするべきところに、まだまだ終わっていないよとブライアン・デ・パルマが波状攻撃をかける。
これは本当に背筋がぞくぞくする。

強烈な刺激に、色彩設計が視覚を錯乱させ、音響効果も怖さを増長する。
これは凄いサスペンススリラーだ。
今年見た中では一番ドッキリしたしれない。
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映画「ルノワール 陽だまりの裸婦」 

2014-06-13 20:55:11 | 映画(フランス映画 )
映画「ルノワール 陽だまりの裸婦」は本年度公開のフランス映画

印象派の画家ピエール=オーギュスト・ルノワール(1841-1919)と亡くなる4年前に出会ったモデルとのふれあいを描いている。そこに戦争から一時帰国した息子ジャンが絡み、三角関係的要素が生まれる。ジャンはのちに映画監督として名声を得るジャンルノワール(1894-1979)の若き日の姿である。

ルノワールといえば裸婦の絵画があまりにも有名、息子も映画界で知られているが、父親ほどではない。
映画としては大きな起伏もなく普通。まったりとした映画である。
絵画を見るような色合い鮮やかな美しい風景を楽しむ映画

1915年、コートダジュールで人生の黄昏期を迎えていた印象派の巨匠ピエール=オーギュスト・ルノワール(ミシェル・ブーケ)は、病気のため満足に絵筆が握れなくなっていた。さらに最愛の妻を亡くし、息子ジャン(ヴァンサン・ロティエ)が戦地で負傷したという知らせも届き、失意のどん底にいた。しかしある日、彼の前に、絵画モデル志望の美しい娘アンドレ(クリスタ・テレ)が現れる。

先日亡くなった妻に頼まれてここに来たというアンドレを喜んで迎え入れる。彼女は輝くような美しさをたたえ、ルノワールに画家としての活力を吹き込む。ルノワールはアンドレを最後のモデルに、『浴女たち』の創作を始める。そこに息子ジャンが戻ってきたのであったが。。。

この映画の舞台になる1915年はまさに晩年で、年老いて74歳になっている。
オルセー美術館などに展示されている彼の代表作は1870年から90年代にかけて描かれたものである。すでにフランス国内で印象派の大家としての評価も受けているだろう。
金銭的な余裕もあると思われ、使用人が多い。病弱のルノワールの面倒をみんなで見ている。しかし、ほとんどが熟年女性で、彼女たちからは、若くピチピチした裸体を持つ娘への嫉妬心も芽生えるだろう。それなので対立する場面がある。
若いジャンはアンドレの魅力に狂っている。理想的な裸体を描きたいというルノワールの願望とジャンの間には軽い葛藤が生まれる。


1.1915年
オーストリア皇太子の襲撃事件で第1次世界大戦が始まるのは1914年のこと。欧州では普仏戦争以来40年ぶりのの大きな戦いである。
フランスはアルザスロレーヌの奪還に燃え、マルヌの戦いでドイツの侵攻を食い止める。しかし、その後は長きに渡り持久戦の様相を呈していたわけである。ジャンは1次大戦に参加していたが、負傷してしまう。のちにジャンは1937年製作の映画「大いなる幻影」で1次大戦の裏側を描くことになる。

2.コートダジュール
コートダジュールという名は日本人にもなじみが深い。ただし、これはフランス南東部の海岸エリアをさす言葉でニース、カンヌ、モナコという町が含まれている。ルノワールは地中海に面したカーニュ=シュル=メールという町で晩年をすごしている。一年を通じて温暖なエリアで療養がてら絵を描いているのであろう
この映画でもバルコニーから海を望むシーンが何度も映し出される。海の青さに庭園の緑が絡む美しいショットである。

3.美しい映像
この映画では美しい映像に注目したい。画家として名高いルノワールが主題だけに、映し出す映像もコンテから良く練られている。印象派の絵画から抜け出したような緑に囲まれた庭と自宅がすばらしい。そしてバックになる美術もきめが細かい。
撮影を担当するのがリーピンビンである。彼の代表作ウォンカーウェイ監督「花様年華」では、マギーチャンが10種類以上のチャイナドレスで七変化する姿を丹念に撮る。
ここではルノワールの絵画をなぞるかのごとく、庭園にたたずむ裸婦を美しく映し出す。
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映画「男と女」 クロード・ルルーシュ

2014-06-04 19:12:35 | 映画(フランス映画 )
映画「男と女」はクロードルルーシュ監督による不朽の名作である。

30代に差し掛かった世紀の美女アヌーク・エーメとジャン・ルイ・トランティニャンの共演である。1966年の作品でこの映画ができてから50年近くなろうとしている。フランシスレイによるテーマ曲があまりにも有名で、最近の若い人はこれ聴いたことあるという感覚だと思うが、少なくとも50代以降の人で曲名を知らない人はいないだろう。

もうこれで見るのが4回目である。時代を経るにつれてちがった見方ができる。映画のテーマ曲は小学校の時から知っていたけど、映画を初めてみたのは大学生になった後、どこかの名画座で見た。大学に入って友人になった男が自分の映画ベストは「男と女」だというのである。
残念ながら、最初に見た時寝てしまった。だるいムードと感じてしまう。まだ大人の恋がわからなかった。
それでもその後2回見た。徐々にこの映画の良さがわかるようになり、目線が上がってアヌークエーメの美貌にときめきを感じるようになる。粋なセリフが盛りだくさんで、いつ見ても新鮮な感激を持たせてくれる傑作である。

映画のスクリプターをしているアンヌ(アヌーク・エーメ)はパリで独り暮し。娘はドーヴィルにある寄宿舎にあずけてある。ある日曜日、娘の面会が長びきパリ行きの列車にのりそこなった。寄宿舎の玄関前でジャン・ルイ(ジャン・ルイ・トランティニャン)を寮長に紹介され、車で送ってもらうことになる。同じように息子を寄宿舎へ預けていた。

彼の運転する車でパリへ向う途中、ジャンヌはアンヌの夫(ピエール・バルー)のことを聞いた。スタントマンのようにリスキーな役ばかりしている俳優だという。帰り際、今度の日曜日ご主人も一緒に寄宿舎へ行こうと誘うと、ようやくすでに亡くなっていることをアンヌは告げる。来週はわからないので土曜日に電話が欲しいということだった。

一方ジャン・ルイはレーサーであった。妻は彼がレースで事故を起し危篤状態になったとき、ショックから自殺への道を選んでいた。世界大会の準備で忙しかったが、次の日曜に2人は一緒にドーヴィルへむかった。
アンヌ、ジャンと子供たちの4人は海辺で楽しいひと時を過ごした。二人に芽生えた愛が盛り上がった。モンテカルロラリーの過酷なレースを終えたとき、ジャン・ルイはアンヌからの電報を受ける。それには「Je vous aime」と書いてあった。彼はすぐにラリー車を運転してパリへ向かうが。。。

それぞれの回想シーンが2人の新しい恋のシーンの間に出てくる。映像がカラーとモノクロと使い分けている。現在の映像がモノクロになって、過去がカラーというように交互に区別している。重要なシーンと思しきいくつかのカットはいずれもモノクロだ。意図はわからない。

1.ムスタング
レーサーとしてジャンの姿をかなりの時間を使って映しだす。恋愛映画というイメージなので戸惑う人も多いだろう。ジャンがプライベートで乗るのは赤のムスタングである。オープンカーで幌をかぶせるタイプだ。フランス車と言えば、ルノーやシトロエンだが今回はフォードづくし。映画「ブリット」同様ムスタングがはえる。この映画では天候が不安定な設定で雨に降られるシーンが目立つ。ジャンがアンヌをドービルまで送る際、水溜りの中をムスタングが走り、通行人に水が跳ねるシーンがある。印象的だ。

2.モンテカルロラリー
フォーミュラタイプの車を運転するシーンもあるが、ジャンはラリー車を運転する。ここでは実際のレース場面がかなり挿入される。女性はワケがわからないのではないかな?悪路を猛スピードで運転する車は60年代半ばの代表的な車だ。それがクネクネした道を大胆に走り抜けるシーンは実に豪快だ。それにしても、電報を受け取ってから直ちにモンテカルロからパリに向けて走るジャンは劇中ながらまあよく走ること。20代ならできるけど、今の自分には到底無理

小学校低学年の頃、同じクラスにカメラメーカーの御曹司がいた。プロ用二眼レフのカメラでは世界的に有名ブランドだった。家にはポルシェのレーシングカーがあった。当時直接輸入していると聞いた覚えがある。この映画で躍動的にレースで走るレーシングカーを見て、当時彼の家にあった車を連想した。しかし、盛者必衰で豪邸に住んでいた彼もその後住居転々とした。

女性好みのフランス映画と評する人も多いが、レース場面が多く女性にはむしろ退屈じゃないのかな?一時代前の車好きにたまらないシーンが多いので、むしろ男性が好む映画だと思っている。


3.アヌークエーメ
この作品に出演したのは34歳の時だ。初めてみた時には自分も10代だったのでお母さん的感覚にしか見えなかった。30過ぎてから彼女の良さがわかるようになる。「モンパルナスの灯」で美女ぶりを世界に示した後、フェリーニ監督の「甘い生活」や「81/2ではむしろもう一人のヒロインの方がクローズアップされる。ここで再度主役を演じる彼女の美貌は凄すぎる。2人で戯れる有名なシーンでアップで映し出される彼女の表情が頭に焼きつく。

4.フランシスレイの思い出
初めてフランシスレイを知ったのは「白い恋人たち」だ。グルノーブルオリンピックではジャン・クロード・キリーが大活躍で日本でも大騒ぎだった。この映画は父と見に行った。凍りつくような冬の雰囲気がにじみ出ている素敵な曲で、シングルを何度も何度も聴いた。そのあと「流れ者」が好きでこれもシングルを持っていた。そしてある愛の詩は当時日本語訳の歌を含め、テレビでいやというほど流れていた。映画自体個人的にはそんなにいいとは思えないけど、テーマ曲でずいぶんと得をした気がする。

5.粋なセリフ
レストランに2人で入ってオーダーをする。ギャルソンがいったん立ち去った後もう一度呼び出し「部屋をお願い」この手を使ったバカな男たちはいったい何人いたことであろうか??


「13と17がレーサーにとって不吉な数字であること」(両方とも素数だ)
「139kmでカーブをまがるとレースに負けるけど、141kmで曲がるとスピンしてしまう。限界の見極めが難しい」
なんてセリフが改めて記憶に残る。

無駄なセリフを一切排して映像で表現するところがお見事。

男と女
クロードルルーシュ監督の不朽の名作


男と女 オリジナル・サウンドトラック 2016リマスター・エディション
ロードショーからちょうど50年
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映画「黒いスーツを着た男」 ラファエル・ペルソナ

2014-05-11 19:56:40 | 映画(フランス映画 )
映画「黒いスーツを着た男」はフランス映画
アランドロンの再来と言われているラファエル・ペルソナスの主演作、確かにスーツの着こなしは往年のドロンを思わせる男前ぶりである。交通事故の加害者男性と目撃者の女性、被害者の妻の人間関係を描いたサスペンスドラマ


自動車ディーラーの社長令嬢との結婚を10日後に控えたアラン(ラファエル・ペルソナ)は、友人たちと騒いだ帰り道、深夜のパリの街角で男を轢いてしまう。同乗していた友人たちに促され、アランは茫然自失のまま男を置き去りにして逃走するが、向かいのアパルトマンからその一部始終をジュリエット(クロティルド・エスム)が偶然目撃していた。

翌日、被害者の容態が気になり病院を訪れたジュリエットは、そこで轢かれた男の妻ヴェラ(アルタ・ドブロシ)に会う。ヴェラと夫はフランスの滞在許可証を持たないモルドヴァ人だった。
そんな中、ジュリエットは病院の廊下で若い男の後ろ姿に目を留めるが、その男こそ、罪の意識に駆られて様子を確かめに来たアランだった。即座にジュリエットはアランを追いかけるが。。。

映画自体は普通でビックリするところは何もない。
何で入院している男のそばに轢いた主人公が行くのか?「犯人は現場に一度戻る」とは言うけれど、バカじゃない?しかも、目撃者は何で警察に言わないのか?突っ込みたくなる話がたくさんある映画である。

1.モルドヴァ移民
普通であれば、交通事故の被害者であればもっと強い立場になれるのに、移民なので事態を突き詰められない。最近の欧州の映画には付き物の不法移民パターンだ。モルドヴァなどのルーマニア系は夜のロシア東欧系の女が多いパブによくいる気がする。何度かそんな店で出会ったことがある。だいたい3ヶ月で本国に帰ってしまう女の子多い気がするけど

2.ラファエル・ペルソナ
アランドロンの出世作「太陽がいっぱい」で起こしてしまった殺人を隠し通す役柄だ。
同じように弱いところもずいぶん見せるけどかっこいい。

人気出るんじゃないかな?次の作品次第か

3.交通事故の処理
今の日本では飲酒運転で捕まると会社も首になってしまうし、あまり起きそうもない事件かもしれない。ひいてしまってそれがばれたら刑務所行きである。飲酒じゃ保険もきかない。逃げる人多いのかなあ?今の日本は防犯カメラが至る所で映されているからすぐわかってしまう気もする。フランスはどうなんだろう?ダイアナ妃が交通事故で死んだ時も飲酒運転だったみたいだし、ワイン好きのフランス人にはもしかして飲酒モラルがないのかな?

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映画「危険なプロット」 フランソワ・オゾン

2014-05-11 10:03:25 | 映画(フランス映画 )
映画「危険なプロット」は現代フランス映画を代表する監督フランソワ・オゾンの2012年の作品
このところフランス映画を見ることが多い。ハリウッド大作と比較するとシンプルに普通の人間関係を取り扱うことが多い。
登場人物の心理状態をサスペンスタッチで描くこういう映画に魅かれる。

小説家崩れの高校の国語教員と文才のある高校生との関わりをオゾン監督らしいスリルあふれるサイコサスペンスドラマに仕上げている。

舞台はフランスのある高校だ。元小説家志望の国語教師ジェルマン(ファブリス・ルキーニ)は、生徒への課題作文を読んでいた。2行しか書いていない稚拙な作文が多い中で、クロード(エルンスト・ウンハウワー)という少年の書いた文才のある作文を見つける。
同級生ラファの家族を描写する文章が、実にうまく書けていることにジェルマンは驚く。ラファの母親を「中産階級の女」と呼んだり、描写のニヒルさにジェルマンの妻ジャンヌ(クリスティン・スコット・トーマス)は「この子は心に問題があるのでは?」と思う。

文章のうまいクロードに作家になる手ほどきをしたいという思いから、ジェルマンはクロードに作文の個人授業を始める。自分の果たせなかった夢を彼に託すかのように発奮する。クラスメートの家庭について皮肉っぽく綴るクロードの作文は、いつも「つづく」という文字で終わっている。

友人ラファはバスケットボールが好き、父親も同様だ。クロードは時々家によってラファが苦手の数学を教えていた。しかし、たびたび家に立ち寄るクロードに不穏な雰囲気を感じた母親(エマニュエル・セニエ)は家庭教師を雇ったらどうかと父親に話す。その話をこっそり盗み聞きしたクロードは、このままだとラファの家族関係を引き続き文章にするのが無理だと感じる。その事情をジェルマンに話す。そして数学の定期試験の問題用紙をこっそり持ち出せないかとジェルマンに頼むのだ。もしいい点数が取れたなら、自分はそのままこの家にいて、ラファの家のことを書くことができると。。。


1.シェエラザード(シェヘラザード)
村上春樹の新作短編集「女のいない男たち」「シェエラザード」という作品がある。自分もブログアップした。「千夜一夜物語」で王様に夜な夜な物語を語るシェエラザードという王妃がいる。「シェエラザード」は本来殺される運命にある女だが、じらしじらし物語を「続く」で終えながら語り、生き延びていく。村上の作品はある場所にかくまわれた男に、自分の奇妙な昔話を語る女を「シェエラザード」にたとえて描いている小説だ。この映画でも「シェヘラザード」としてセリフの中に登場する。

ここでも、少年クロードは国語教師に自分が忍び込んだ家の話を話す。いつも「続く」で終わっていく文章を読みながら、国語教師は次を読みたいと思う。その欲望は強くなっていくわけだ。「知りたい」という欲求をじらされればされるほど、よけい追いたくなる。とどのつまりはとんでもない要求までのんでしまうのだ。

2.フランソワ・オゾン監督
「リッキー」「スイミングプール」をはじめとして、いくつもここでブログアップしてきた。流れはいつものフランソワ作品と同じである。一瞬万事うまくいくようになった後で、地に落とす。しかも登場人物の妄想、嫉妬、野心が絡み合っていく。ここが彼のうまさである。それぞれの作品に好き嫌いはあれど新作を見逃せることができない監督だ。


3.クラスメートの母親
クラスメートの母親に魅かれるという経験は自分もある。中学生くらいなら母親は30代後半から40代前半だ。年齢的にはまだまだ女として現役で、今の自分の年齢からすると射程距離だ。
クロードは、ラファの一家にどんどん深入りし始める。ラファの家に通えなくなりそうになると、大胆な行動にも出る。そのうちに、クラスメートの母親に惹かれるてしまう。ここでクラスメートの母親を演じるエマニュエル・セニエは巨匠ロマン・ポランスキー監督の妻である。自分が中学や高校の時に彼女にはまっただろうかと考えると疑問だけど。。。
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映画「大統領の料理人」と最強の料理映画

2014-05-05 11:52:02 | 映画(フランス映画 )
映画「大統領の料理人」は2013年公開のフランス映画

南極に渡った元大統領の料理人の女性の姿を描く。
目の保養になるおいしい料理が盛りだくさんに出てきて食欲を誘う。映画の持つ落ち着いた響きもいい。

取材に訪れた仏領南極基地で、オーストラリアの女性TVクルーが一人の女性オルタンス・ラボリに遭遇する。彼女は南極基地の料理人だった。同性ということで関心を持ったTVクルーは噂で彼女が以前大統領のお抱えシェフだという話を聞く。ぜひ取材をしたいと彼女に迫ってもかわされるばかりであった。

その4年前、オルタンス・ラボリ(カトリーヌ・フロ)はフランスの片田舎で小さなレストランを営んでいた。普通の女性である彼女をフランス政府が迎えに来た。そして大統領官邸であるエリゼ宮殿に向かう。彼女はミッテラン大統領(ジャン・ドルメッソン)からの直々の指名で、彼のプライベートシェフに抜擢されたのだ。ジョエル・ロブションの推薦である。
大統領官邸は独特の儀礼や規律を重んじ、細かい約束事で縛られていた。しかも、主厨房は大勢の男性料理人だけで営まれてきたので、部外者の指名にいい顔はしない。彼らの嫉妬を無視して、大統領に美味しい料理をつくることを考えていた。事前に大統領の嗜好を聞こうと秘書官や厨房関係者に聞いても誰も教えてくれない。

オルタンスは、食事の後の皿の様子、給仕たちの観察、そしていくつものメモを書き、あらゆる方法で大統領の気持ちを直接確かめようとする。どうやら大統領も満足しているようだった。彼女についた助手や給仕長は、いつしか彼女の料理の腕前に刺激され、厨房の雰囲気も明るくなっていった。そんなある日、オルタンスは、ミッテランから直接声をかけられる。子供の頃は料理本を読むのが好きだったという大統領のオーダーはフランスの懐かしい味を味わいたいということであった。。。

既存の権威の中に異分子が入り込み、旋風を巻き起こすというのは古今東西よくあるパターンで、中には料理人という設定もある。わずか2年間の活躍にすぎないが、その中で大統領官邸ならではの慣例があり、そのハンデを乗り越えた彼女の踏ん張りを映画では語っていく。でもこれは「視覚に訴える」映画だと思う。美しい料理の数々とうんちくを楽しむしかない。

1.ミッテラン大統領
何と1981年から95年まで14年も大統領をやっていた。死ぬまで大統領をやっていたというすごい人である。社会主義者と言いながらエリゼ宮を官邸として使い、宮廷さながらの食生活を官費でできるというのはうらやましい。
シンプルな料理が好きで、素材の味を活かした料理をつくってほしいと希望する。子供のころにニニヨンが書いた「フランス料理讃歌」という料理本を読んで、そらでレシピが言えるようになったという。

2.ミッテランの健康状態悪化

後半官邸の主治医が大統領の健康をかなり気にするようになる。そのためにかなり材料やソースにクレームがつく。主人公は反撥するが受け入れるしかない。そりゃそうでしょう。自分が見てもこんな美食ばかりだと健康状態悪化するのはしかないと思うもんね。それでもミッテランがひっそりと厨房に入ってきて、とびきりのトリフを食べるシーンがある。このお忍びのシーンがいい感じだった。

3.美しい料理
これは映像で見るしかない。予告編の中の料理をみてほしい



料理の会話でロワール川のほとりうんぬんという言葉にはしびれた。
自分自身は少なくとも白ワインならサンセールまたはプイィ・ヒュメのロワール川付近のワインを選択する。

4.豪華な料理と経費削減
主厨房に長年納入してきた業者がいて、材料はそこから購入するように言われていた。しかし、もっとおいしい素材があると、大統領に直訴しておいしい素材を産出する原産地から直接仕入れをするようになる。場合によっては、直接購入に向かうため、その往復の交通費を請求してきたが、官邸から文句をいわれる。原材料も高すぎるという。そう言われて主人公も少しづつやる気をなくしていくわけだが、どこでも青天井で金を使うのは無理だよね。

5.自分が選ぶ最強の料理映画
まずはこの2作が最高峰だと思う。
バベットの晩餐会

バベッドの晩餐会
ここで語られる暖かいお話も含めて、料理映画の最高峰だと思う。

恋人たちの食卓

「恋人たちの食卓」
台湾が舞台だ。序盤戦で三姉妹の娘に料理を振る舞う父親の姿が映される。一流のコックの主人公が家庭料理でだす中華料理の美しいこと。これは凄い。そう思っているうちにメガホンをとるアン・リー監督はハリウッドメジャー監督になる。最近は「ライフオブパイ」で2度目となるアカデミー賞監督賞を受賞している。
料理の本場中国ではいくつか料理映画がつくられている。ずいぶん見たが、この映画の料理が一番だ。

あと食欲をそそる作品は


ウェイトレス~

ウェイトレス
パイ作りの名人と言う設定だ。このパイの色合いは実に美しい。

青いパパイヤの香り

青いパパイアの香り
ここで映されるシンプルなベトナム料理には豪華さはない。でもおいしそう。
ディナーラッシュ

ディナーラッシュ
ロブスターを使った料理がおいしそうだが、映画の持つムードがどす黒いので苦手な人もいるかも


ジュリー&ジュリア
シュリー&ジュリア
メリルストリープが料理研究家に扮する。アメリカ映画の中では料理がおいしく見える作品

あとは日本映画でいえば伊丹十三「タンポポ」でしょう。
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映画「最後のマイウェイ」 クロード・フランソワ

2014-03-04 21:28:50 | 映画(フランス映画 )
映画「最後のマイウェイ」は2012年公開のフランス映画だ。
フランスの歌手クロード・フランソワの伝記映画である。

最近の若者はともかく、中年以上で「マイウェイ」の歌を知らない人はいないだろう。少し前は英語の歌詞で「マイウェイ」を飲み屋で陶酔しきったように歌って、周りに迷惑をかけているオヤジは多かったものだ。
フランク・シナトラのバージョンがもっとも有名で、ポールアンカの曲だと40年間個人的に認識していた。ところが、この映画の存在を知った後にクロード・フランソワの作曲であることを初めて知った。フランスの歌手と言えば、ジョニーアリディやシルビーバルタンが有名で、ミッシェル・ポルナレフには随分と凝ったものだ。クロード・フランソワの存在すら知らなかった。

この映画はフランスでかなり観客を動員したという。ここで特筆すべきは色彩設計である。現代フランス映画は美術の巧みさが光るが、この映画は際立っている。それに加えて音楽の映像への交わりがすばらしい。あと20分程度短くまとめた方がいいかもしれないが、よくできている。

1939年のエジプト。クロード・フランソワはスエズ運河の通航を管理する父と派手好きな母の間に生まれる。裕福な家庭に育ったが、スエズ運河が国有化され第二次中東戦争が勃発すると父は失職。モナコへ移住した後、クロード(ジェレミー・レニエ)は地元の楽団で働くようになる。それは家計を助けるためであったが、厳しい父は彼の仕事を認めようとはしなかった。クロードは音楽界でめきめきと頭角を現し、スターダムに躍り出る。

酒にもドラッグにも手を出さず、自らダンサーに振付をし、歌い、踊る。作詞・作曲の才能を発揮し200もの曲を生みだす一方、プロダクションを立ち上げ、才覚を見せるクロード。そんな彼の成功の裏では、歌手フランス・ギャルとの密愛、大スターへの嫉妬、マスコミ操作、ひた隠しにした息子たちの存在など、傲慢で神経質な面を見せる……。
(kine noteより引用)

ジェレミー・レニエはひたすら歌いまくる。ロックもソウルも自分のテイストに合うものは何でも取り入れる。フランクシナトラが自分の曲を「マイウェイ」としてカバーしたことを知って喜ぶシーンがこの映画のピークだろう。

モナコのシーンが出てきた時、ジャニスイアンの「at seventeen」が流れる。高校生のころ好きだったなあ。当然フランス語の歌詞なんだけど、あれこれジャニスイアンの曲じゃなかったけ?そんな感じで外国ではやった曲をカバーする曲が多い。
最初はツイスト、シュ-7プリームス調のモータウンサウンド、オーティス・レディングも登場させる。
ステージの観客との一体感がいい感じだ。GSのようにアイドルで売り出しているので隠し子もいる。女とみたらすぐ誘い出す。

そういう軟派ぶりを前面に押し出すが、この時代ドラッグで身をつぶした人間が多いだけにまだマシだ。

いずれにせよ映像の美しさに注目したい。
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映画「ナタリー」 オドレイ・トトゥ

2014-01-03 00:02:11 | 映画(フランス映画 )
映画「ナタリー 原題La délicatesse」は「アメリ」のオドレイ・トトゥ主演のフランス映画だ

ツタヤで何げなくこのdvdをみつけた。「アメリ」は大好きな映画である。目で楽しまさせてくれる要素が強く、お茶目な主人公の振る舞いがかわいかった。あれから随分とたつが、オドレイは健在である。今回は未亡人役である。それでも手にとるときに「アメリ」のような匂いを感じ見てみた。アメリで演じた夢想する女の要素を持つ。

ナタリー(オドレイ・トトゥ)はカフェで出会ったフランソワと恋に落ち、幸せな日々を送っていた。しかし、突然の事故で彼を失ってしまう。夫を亡くし、3年間恋愛から離れ仕事一筋の生活を送っていた。ナタリーは夫以降、誰も好きになれないと思っていたある日、かっこいいとは言えない同僚、マーカス(ランソワ・ダミアン)に突然キスをしてしまう。そして、マーカスは魅力的な彼女に惹かれ、ナタリーも素朴な彼に惹かれ始める。しかし、ナタリーに一方的に好意をいだいている会社の社長シャルル(ブリュノ・トデスキーニ)や、噂好きの同僚たち、ナタリーの友人によって二人は騒がれるようになり…。

最初にざっと主人公の人物像を紹介してくれるのは、アメリと同じだ。幸せな結婚に至る過程とあっけなく旦那が死んでしまう流れが語られる。そのあと、就職活動して会社に就職する。そこでバリバリのキャリアレディとして活躍する。リーダーとして部下を持つようになる。そこに部下として入ってくるスウェーデン人男性がいた。ハゲかかっていて見栄えはしない。それまで社長に口説かれていたナタリーだが、突然その中年男にキスをしてしまうのだ。

しかし、そのあと急激に2人の関係が進展するわけではない。彼女は恋におびえている。
ここではキスの後意外にそっけない。これでは男性の方がまいってしまうよ。
一気に相手に入りこめないのだ。
その不器用さがかわいい。オドレイ・トトゥの演技には好感を持てた。

自分は女性の上司というのにはまだ出会っていない。いや、大学生でバイトをしている時女社長っていたなあ。
いずれにせよ、いきなり上司にキスをされたらどんな気持ちになるだろう。別に上司でなくても呼び出されていきなりキスされると想像するだけで不思議な気分にさせられる。マイケルダグラスとデミムーアの「ディスクロージャー」は女性上司による不倫話だったが、それとこの映画では意味合いが全く違う。
逆に女性の場合、セクハラ的にこういう場面はあるだろうなあ。嫌なんだろうけど、好意を抱いている相手だったらいっきに不倫のドツボにはまるパターンかもしれない。

ストーリー的には少し盛り上がりに欠けるかな?もう少しヒネリが欲しかったという印象を受けた。

ナタリー
もし女性の上司に突然キスされたらどうする?


ムード・インディゴ~うたかたの日々~
夢想するオドレイ


アメリ
何度見てもすばらしい不朽の名作、色彩設計がすばらしい。
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