映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

今年読んだ本

2010-12-31 22:06:02 | 
今年は150を超えたが目標の200冊読むことができなかった。
娘の受験があって、自分が教えるために問題集をやったりした。
それで時間を使ったかもしれない。

小説は何はともかく「1Q84」№3が印象に残る。
離れていた二人の接近のまとめ方にうまさを感じた。
読み切った後、村上春樹作品を読み返してみた。そこら辺の連載小説のような軽さはなく、どれもこれもじっくりと練られてつくられている。「カフカの海」「ねじまき鳥」は同じように練られていて小説を読んだという感じがほかの作家でしなくなっているのはちょっとまずいかも?

最近の経済情勢を反映して、論調がどれもこれも似たような気がした。
それでも読んだ甲斐があったのは

「成熟日本への進路」波頭亮
コンサルタントらしく、図表や数値を用いて日本の現在の状況を分析して、彼なりの日本の処方箋を書いていた。日本は成熟期に入ったと論じる。もうこれ以上今までの策をとっても経済成長はしないとしている。成長から分配策をと主張する。非常にわかりやすく現在の問題点がうきぼりになった。
「高福祉だから自由経済」という論理が、デンマークと日本の比較数値で的確に説明されていたのに感銘した。
「手厚い社会保障と固い雇用保護は、国民経済を不健全にさせる。」
公務員制度に対してもするどい論理を述べる。これまでの行政改革がことごとく官僚制度の強い抵抗にあって失敗したことも論じる。

「競争と公平感」大竹文雄
日本人の競争嫌いを論じた後、市場経済に対する拒否反応が強い日本の現状に疑問を呈する。
「日本の学習指導要綱では市場競争のメリットを教えるように書かれていない。」
「日本人は選択や努力以外の才能、学力、運などの理由で所得格差が発生することを嫌うため、そのような理由で格差が発生したと感じると、実際のデータ以上に格差感を感じる。」
格差社会言及に対する疑問である。
その他相対的貧困率が上昇の理由、正社員と非正規社員の問題、増えた祝日の功罪、最低賃金引き上げが労働市場に与える影響など。。。。
書き出すとつきない。わかりやすく面白い。

「分かち合いの経済学」神野直彦
これも最近特有の論調だ。労働市場についての矛盾を論じる。
意見が一緒という訳ではないが、興味深かった。
「歴史の曲がり角では、進む目的を間違えないように、車を止めてでも地図で目的地と現在地を確認する必要がある。」

無頼派の宗教学者植島啓司「生きるチカラ」が一番面白かった。
彼の本は必ず買って読んでいる。ばくち打ち的な発想が根底に流れている。
本音で語っていてくれるのがいつもうれしい。
「あらゆる選択には誤りが含まれており、成功か失敗かは簡単には判断付かない」
「予想外の収入は往々にしていい結果をもたらさない」
「1つのプラスでその人を好きになる」

スタンフォード大学のティナ教授が書いた「20歳のときに知っておきたかったこと」
日本の閉塞感のある論調とちがい、自由に論じている。
「手元に5$ある。2時間でできるだけ増やすといわれたらどうする?」
「ニーズを掘り起こすのに必要なのは、世の中のギャップを見つけ埋めること」
「1939年のサーカスとシルクドソレイユの違い。」
「問題解決に必要なのは、鋭い観察力、しっかりとしたチームワーク、計画を計画で終わらせない実行力、失敗から学ぼうとする前向きな心、独創的な解決策、必ず解決できるという気概である。」
「並はずれた業績を達成した人の最大の味方は、他の人の怠慢である。」
「外に出て多くの物事に挑戦する人の方が、電話がかかってくるのをじっと待っている人よりも成功する確率は高い」
「他人から学ぶことで失敗の確率は下げられる」
「努力すればするほど運はついてくる。」
「最高のチームプレイヤーは他人を成功させることに労を惜しまない」
などなど。。。書ききれない。実に感心した本だ

伊丹敬之「場の論理とマネジメント」には実際の仕事に生かしてみようとしたいことがたくさんあった。

最後は子供の受験準備にかかわり何気なく知った本だ。

有賀悠(ゆう)さんの勉強本
伝説の勉強本で、現在絶版である。でもこんなに凄味のある本があったとは驚いた。
今でも彼の発想をほとんどまねして書かれている勉強本はある。
本から伝わる迫力がぜんぜん違う。
東大薬学部を卒業する時点で、大学院試験と薬剤師国家試験、上級国家公務員試験と東大理Ⅲの大学入試4つに受かったという恐るべき実績を持つという。これってすごいなあ。
その昔こんなこと知っていたらとついつい思ってしまう。
「記憶ノート」「再生記憶と再認識記憶」の話には感嘆した。
「使える記憶だけが得点になる」
「まず5回読むこと。新しいことが行動パターンとして頭に定着し、習慣になるには100時間への脳への刷り込みが必要といわれている。習慣化するまで繰り返すこと。。。。。。」
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年末うだうだ

2010-12-31 19:36:33 | Weblog
クリスマス前21日に忘年会は終えた。
浦安のベイサイドでの関連業者さんの忘年会に招待されて、雨が降っているにもかかわらず午前3時近くまで飲んだ。これが間違いのもとになった気がする。

その翌日22日は一日二日酔い。通夜があり埼玉で
クリスマスは自宅で過ごしたが、少しづつ忘年会疲れが見えてきた。
その週末の早朝が実に寒かった。この朝夜の寒さで風邪をひいた。
27日仕事納めだったので会社に気合で行ったが、一日しんどかった。
今年は仕事面ではいい年だった。12月の成績も抜群にいい。
納会はたらふく飲んだが、翌日28日医者に行った。
近所の町医者で、カルテからすると2年半ぶりだそうだ。風邪薬をもらったら少しは良くなる。
29日から娘と勉強を始めた。日曜日祭日中心だった数学中心の演習、入試過去問がもう一歩解けない。
細かく解き方を説明して、解き直しさせる。
まあダメな問題を何度も繰り返してとけばいいだろう。

30日は品川の家に行き、妹と一緒に高輪の寺に行って墓参り
正月に向けて家の身のまわりの準備もした。
家の本が増えすぎたので品川の家の本棚へ運ぶ。首都高速は渋滞はない。
むしろ高速1000円の正月明けの方が込むかもしれない。
今日31日は映画を見ながら過ごした。

あとは紅白歌合戦をみて一年を終了させるだけだ。
今始まったところ、桑田が出るらしいのでそれはみたい!
あとは加山雄三がどう歌うのか注目している。
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クレイジーハート  ジェフブリッジス

2010-12-31 15:08:50 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
今年最後の映画である。ちょうど222本できりのいい数字で終える。

「クレイジーハート」はジェフブリッジスが念願のオスカー主演男優賞をついに受賞した作品だ。落ちぶれた酒びたりのカントリー歌手を演じる。若き日より好きだったジェフブリッジスの記念すべき作品だけにロードショウで観るべきだったが、時間がなかった。ようやく大晦日に観ることができたが、すばらしい心温まる作品であった。

かつて一世を風靡したカントリー歌手ことジェフ・ブリッジスはドサ回りの歌手に落ちぶれていた。ボーリング場の片隅で歌ったり、ジェフはさえない気持ちを酒で紛らわしていた。

ジェフは演奏するサンタフェのバーで、バンドのピアニストから、彼の姪で地元紙の記者ことマギー・ギレンホールの取材を受けるよう頼まれる。久々の取材を引き受け、ジェフはマギーと打ちとける。しかし、若手トップシンガーとして人気を集めている元の弟子ことコリンファレルの話や彼の子供の話になり、取材を打ち切る。翌日再度演奏に訪れたジェフとマギーは気持ちを盛り上げ情交を交わす。彼女には4歳の息子がいて、離婚の痛手から控えめに接する。そんな時昔の弟子の前座にという話がプロポーターからくるのであるが。。。

昔の名優が落ちぶれた姿をあらわにする設定がよく見られる。ミッキーロークの「レスラー」もこれに近い内容だ。ジェフブリッジスは自らカントリーソングを歌う。それだけでも大したものだ。酒場で歌うカントリーのサウンドはすんなり受け入れられる。非常に叙情的だ。
彼は酒におぼれた姿を身体で露骨に表わしている。その昔「カリブの熱い夜」の彼の腹は明らかに割れていた。今はブヨブヨだ。本当に酒を飲んで演じたようなリアル感があった。



そこに現れた女性がマギー・ギレンホールだ。記者という素性にあった知的な雰囲気を醸し出す素敵な存在だ。ショートカットがよく似あい、ダメ男へのやさしい母性も見せる。目の前に現れたら、一気にいってしまいそうな魅力的な女性だ。ジェフは昔の杵柄でいまだに中年ファンにはもてる。しかし、彼女が現れて人生をやり直そうとする気持ちすら起こす。そんな姿をうまくとらえている。



元の弟子であるスター歌手の顔を見て、あれ!と思ったらやはりコリンファレルであった。ちょっと意外であった。頭を後ろに束ねた若手人気歌手という設定で自ら歌っているらしい。うまいと思う。元の親分を自分の前座にするのが、歌手の夢だというセリフがあった。それだけは避けたいと、主人公は抵抗するが、金銭的問題で素直に受け入れる。でもこのあとの2人のセリフは非常に友好的だ。こういう設定の場合お互いをののしりあったりする場面が出てきそうだが、それがない。それもこの映画を心地よく感じさせる一つの要因であろう。

「ラストショー」「スターマン」「カリブの熱い夜」「恋にゆくえ」「シービスケット」「アイアンマン」少年のころからずっと長いキャリアを積み重ねてきた彼がオスカーを取ったのは本当にうれしい!せめてものご祝儀に映画館で観れなかったのは今年一番の悔いに残ることだ。
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ザ・ファーム  トムクルーズ

2010-12-31 11:33:16 | 映画(洋画 99年以前)
93年のシドニーポラック監督の作品でトムクルーズが若き弁護士を演じる。
観た気がするのだが、すっかり内容を忘れていた。なぜだろう?
ファーム 法律事務所という題名だが、法廷ものではない。法律事務所と依頼人との関係にスポットをあてて、若き弁護士が大きな陰謀の渦に巻き込まれる話である。
ここでもデイブ・グルーシンの音楽が抜群。彼自身による素敵なピアノソロをバックに南部の都市メンフィスを美しく舞台にする。途中タックスヘイブンで有名なケイマン諸島の美しい避暑地の映像も映し出し、目を楽しまさせてくれる。もう少し短くてもいけるかな?という気がするが、シドニーポラックの前作「愛と哀しみの果て」の凡長さに比べると、ミステリーの色彩がある分楽しめる。


ハーバード大学を5番以内の成績で卒業した主人公ことトム・クルーズは、NYやシカゴの法律事務所の強い勧誘を受けるが、それを上回る条件の南部メンフィスにある法律事務所に就職した。小学校の教員である妻ことジーン・トリプルホーンはためらったが、説得してメンフィスへと向かった。教育係ことジーン・ハックマンの下で猛烈に働き始め、事務所の仕事と司法試験の準備に精を出した。
そんな時事務所の2人の弁護士がケイマン諸島で事故死したと知らされる。そんな彼の前に、謎の男エド・ハリスが現れ、二人は事故死でないことを告げた。他にも死んだ弁護士が2人いるという。疑問を抱きながらもトムは、依頼人にあうためハックマンと共にケイマン島に赴く。トムは島の別荘で、多数の謎の書類を発見する。島から戻ったトムは、収監されている兄に面会に行く。トムは兄に紹介された私立探偵のエディに、死んだ弁護士についての調査を依頼した。ところが私立探偵がマフィアまがいの男に射殺される。そしてその殺害について話したいことがあると謎の男エドハリスがFBI捜査官と名乗り近づいてくるが。。。


トムクルーズが出た映画は基本的に観て損したというのはそんなにない。それなりにお金もかかっているし、監督もみな一流だ。映像も非常に楽しめるものが多い。93年と言えば彼が最も活躍した時期である。ここでも彼らしいアクションで頑張りを見せる。

でもそれをひきたてているのが名脇役たちであろう。
エドハリス、ジーンハックマン、ホリーハンターと3人の芸達者に助けられている。
エドハリスの顔を見ると、また悪の黒幕かとつい思ってしまうくらい悪役がよく似合う俳優である。ここではFBI捜査官であり、いつものあくの強さが抑えられている。
ジーンハックマンはイーストウッドのオスカー西部劇「許されざる者」を撮ったすぐ後の作品だ。70年代のように主役を張るわけでなく、自分の立場をわきまえ、悪徳法律事務所の中でトムのインストラクターを演じる。ここでは「許されざる者」のような悪役ではなく、情のあるワルを演じている。

ホリーハンターがいいキャラしている。私立探偵の秘書をしているフーテン風女を演じる。個人的にはコーエン兄弟の「赤ちゃん泥棒」での彼女が好きだ。ここは堅気な役ではない。でも途中から格段の活躍を見せる。彼女もオスカー女優賞をもらった「ピアノレッスン」のすぐ後である。
こういう芸達者に囲まれると影が薄くなるクルーズはいつになったらオスカーがもらえるのか?


メンフィスは黒人が多い都市だ。またプレスリーが育った町としても有名。アレサフランクリンもメンフィス生まれだ。ブルースの町であるのがこの映画でもよくわかる。黒人中心の風俗をうまく映し出す。こういう行ったことのない街の様子がわかるのも映画の醍醐味だ。途中プレスリー狂の男が出てくる。これが茶目っ気があってうれしい。巨匠シドニーポラックも少し遊んでいるかも?
そういえば矢沢永吉の「トラベリンバス」にもメンフィスの地名が出てくる。キャロルのころ「メンフィステネシー」歌っていたなあ。あ!あれはジョニー大倉のボーカルだったか。
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