映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「サイド・エフェクト」 ジュード・ロウ&ルーニー・マーラ

2014-04-17 20:44:16 | 映画(洋画 2013年以降主演男性)
映画「サイドエフェクト」はスティーヴン・ソダーバーグ監督による2013年のサイコサスペンス映画だ。

ジュードロウの主演だが、脇を固めるのが「ドラゴンタトゥの女」のルーニー・マーラとキャサリン・ゼタ・ジョーンズだ。特にルーニーマーラがいい。迷彩がかなりちりばめれているサスペンスで、当初はルーニーマーラの狂言をどうとらえるのかに戸惑う。しかも、ジュードロウはドツボにおちていく。途中からの逆転劇はうまいストーリー展開だと思う。



精神科医バンクス(ジュード・ロウ)は、女医シーバート博士(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ)の患者であったエミリー・テイラー(ルーニー・マーラ)の診察にあたっている。エミリーは、地下駐車場で、自らの車を壁に激突させてしまう。しかし事故現場にブレーキ痕が無かったことから、エミリーが自殺を図ったのではないかと推測された。



エミリーはウォール街で働いていた夫のマーティン・テイラー(チャニング・テイタム)がインサイダー取引で収監されたため、うつ病が再発していると判断して、バンクスは抗うつ剤「アブリクサ」を処方するとともに、カウンセリングを受けることを条件にエミリーに対し退院許可をあたえた。



しかし、その薬のおかげで夫との関係も回復したはずのエミリーは突如夫を殺してしまう。その後、落胆したマーティンの母親がテレビ出演し、アブリクサの製造元であるサドラー・ベネルクス社を副作用があると糾弾する。
エミリーの裁判の証人として出廷したバンクスは、エミリーはアブリクサの副作用で夢遊病になり、意識がないままマーティンを刺したのではないかと証言する。心神喪失を認められたエミリーは殺人罪に問われず、精神医療の治療を受けることになる。

しかし、バンクスは主治医の責任を問われ、窮地に追い込まれた。妻(ヴィネッサ・ショウ)との仲も険悪になっていく。自らの名誉のため、独自の調査に乗り出し、殺人事件の背後に渦巻く衝撃的な真実があることに気づくが。。。

奥行きの深い映画である。
ルーニーマーラは、主人公の恋人を演じた「ソーシャルネットワーク」から一転狂気のような女性を「ドラゴンタトゥの女」で演じた。この演技にはあっと驚かされた。同一人物には見えなかった。今回は「ソーシャルネットワーク」の顔で心神喪失の女を演じる。心神喪失と言えば堤真一&鈴木京香主演日本映画「39刑法第39条」の出来はよかった。その展開も連想したが、それだけではない。心神喪失で助かる人を懲らしめる「脳男」のような映画もあるが、もっと複雑だ。キナ臭い金儲け話が奥に残っていたのだ。



薬の副作用が明るみになり、薬品製造会社の株価は暴落するのだ。
株というのは値上げする時だけ儲けられるわけでない。急落でニッコリ笑う人もいる。それこそ911のビンラディンはカラ売りポジションやコールオプションの売りでかなり儲けていたと言われる。イスラム原理主義者のふりでテロを仕掛ければ仕掛けるほど儲けられるのだから笑いが止まらないだろう。映画の中で売りでもうける話をわかりやすく解説しているが、まさにそういう裏話が隠されていた。

処方した主治医ジュードロウをものの見事を突き落としたと思ったのは一瞬で、その後は復活に向かって進む。
それでも結末が想像つかず、途中で最後のオチがどうなるのかわくわくする。そう思わせるだけいい映画なのであろう。

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映画「にっぽん泥棒物語」 三國連太郎

2014-04-17 05:26:13 | 映画(日本 昭和35年~49年)
映画「にっぽん泥棒物語」を見た。1965年の東映映画でキネマ旬報4位という作品だ。
題名の通りに三國連太郎演じる泥棒の武勇談かと思って映画を見たのだが、まったく違う結末となった。監督は社会派の巨匠山本薩夫監督である。終わってみると納得するが、最初はそんな様相はまったく示さずストーリーが進む。途中からの展開はあれよあれよという感じで、当時の演劇界を代表する有名俳優が軒並み出演して、いかにも社会派らしい映画になる。その意外性に驚く。

東北のある町が舞台だ。最初に映るシーンは、家屋侵入して泥棒を働き荷台に盗品を積んだトラックを嫁入り道具の輸送車に見せようとしているところだ。検問の警官に助手席に座る花嫁の姿を見せ、あっさりくぐりぬける。そしてその盗品を「盗品買い」の業者に持っていくのだ。

主人公林田義助(三國連太郎)は妙見小僧と言われる「破蔵師」である。狙いをつけた家に押し入り土蔵に穴を開けて品物をリレーで運び出すと、盗品買いの処へもってゆき現金に代えるのだ。
義助が前科四犯の破蔵師になったのは歯科医の父が死んだあと、母(北林谷栄)や妹(緑魔子)を養うため、歯科医を継ぐが、戦争で薬が手に入らず、この商売に入ったのだ。

義助が仲間たちと温泉に遊びにゆき、芸者桃子(市原悦子)と仲良くなり世帯をもつことになった。桃子は歯科医師と結婚できると喜んだのだ。しかし、里帰りする桃子に、手土産をと盗品の着物を渡したのがケチの始まりだ。生活費の足しにしようと桃子は着物を買い取りに出し、盗難届の出ている着物とわかってしまう。安東刑事(伊藤雄之助)につかまって拘置所ゆきとなった。

ここで自転車泥棒庫吉(江原真二郎)と知り合う。義助は保釈になると庫吉と計画を立てて、深夜2時過ぎに呉服屋に忍びこんだ。ところが、巡回中の消防団に追われ線路づたいに逃げた。そこで深夜義助は九人の大男とすれちがった。その夜明けのこと、大音響と共に杉山駅で列車転覆事件が起った。悪さの数々がばれて刑務所に行った義助は、杉山駅列車転覆事件の犯人だという三人の囚人に会った。無実を訴える三人の男を見て、義助はあの夜会った大男とは違うと思っていた。

4年刑務所にいて出所した義助は、親の死に目に会えなかった。そして田舎の村のダム工事現場でまじめに働きだした。うっかり村人の歯を直したばかりに、医者とみなされもぐりの歯医者をやることになる。そんな時重病にかかっていたはな(佐久間良子)を助けてくれと言われて口移しの水を与えたら助かってしまった。結局はなと結婚することになり子供も生れた。その後村で平和な生活を送っていた。義助は昔の仲間(花沢徳衛)と酒を酌み交わすときに、杉山事件の夜、線路際で偶然大男に出会ったことを話してしまう。そうしたら昔仲間の弟が弁護士を連れてやってきた。法廷で兄に話したことを証言してほしいというのだ。法廷に出廷すれば、自分の前科がばれてしまうと急遽妻を引き連れて引っ越した。

しかし、引越した先は警察にばれてしまう。旧知の安東刑事から「あの場所で出会ったのは三人だ」と言わなければ、愛妻に前科をばらすと脅かされていた。しかし、弁護士、報道機関はあきらめずに義助の元を日参するのであるが。。。。

古き良き時代の話だ。今でも泥棒はいるだろうが、昔の田舎の資産家はさぞかし狙われただろう。
今でも田舎町には蔵がたくさん建っている。そこには貴重な財産が隠されているのであろうか?


この話も冤罪の話だ。
まさか有名な「松川事件」がネタになっているとは思わなかった。その昔はこんな冤罪で一生刑務暮らしをせざるを得なかった人たちが数多くいたのであろうか?戦後まもなく長きにわたり牢獄に入っていた日本共産党員がGHQの指示で釈放されたのはいいが、労働運動で大暴れしまくる。しかも、共産化の波はアメリカ本土でも吹き荒れ、マッカーシズムと言われる赤狩りの流れになる。アジアでも中国大陸を共産党が支配することになった。まだ占領下にあった日本でもGHQと日本政府がグルになって共産主義者を再度弾圧するようになっていた。そこで冤罪がいくつか生まれる。実際共産党がしかけたテロ行為もあったかもしれないが、労働運動に携わる人たちが図らずも犯人扱いされた事件も多かっただろう。
DNA鑑定が定着した現在の科学捜査のレベルは冤罪を減らしていると思われる。

何よりも面白いのが最終の裁判場面だ。これ自体は社会派の山本監督が万人を楽しませようとした内容だ。
こんな裁判ないだろうなあ!と思いながら爆笑の渦を巻き込んだ三國連太郎の演技は天下一品だ。東北弁もいい。
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