映画「スペシャルズ 政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たち」を映画館で観てきました。
自閉症の題名が入っているのが気になり映画館に向かう。ヴァンサン・カッセルは韓国通貨危機の話「国家が破産する日」でIMFの高官を演じていた。「スペシャルズ」は実話に基づき自閉症児も出演しているのでドキュメンタリー的な要素を持つ。一般的な自閉症のイメージでいくと、ここでの自閉症患者はかなり重症である。
自閉症のレベルによっては、通常の義務教育に通えるレベルの子が多い。でも、このレベルだと養護学校でないと対応は無理であろうし、普通のところでは手に負えない子たちばかり扱っているというセリフもある。
ブリュノ(ヴァンサン・カッセル)は、自閉症の子供たちをケアする団体〈正義の声〉を運営している。支援している青年の一人ジョゼフが、電車の非常ベルを鳴らして鉄道警察に取り押さえられたのだ。緊急地域医療センターへと向かうと、重度の症状から6か所の施設に受け入れを断られたヴァランタンという少年の一時外出の介助を頼まれる。完全に心を閉ざしていたヴァランタンは頭突き防止のヘッドギアをつけて、一人で立ち上がることもできない。
会計士から、監査局の調査が入ることになり、不適切な組織だとジャッジされれば、閉鎖を命じられると忠告される。赤字経営で無認可、法律の順守より子供たちの幸せを最優先するブリュノの施設は、役人に叩かれれば山のように埃が出る状態だった。
ブリュノはヴァランタンの介助を、マリク(レダ・カテブ)に相談する。ドロップアウトした若者たちを社会復帰させる団体〈寄港〉を運営するマリクは、教育した青少年をブリュノの施設に派遣していた。マリクは遅刻ばかりでやる気のない新人のディランを、ヴァランタンの介助人に抜擢する。
そんな中、調査員が関係者との面談を始める。まずはジョゼフの母親が、無認可の組織の落ち度を探られるが、彼女はいかにブリュノが親身で熱心かを力説し、「認可なんて関係ない」と言い切るのだった。ジョゼフの勤め先を見つけようと、1万通メールしても断られ続けたブリュノだが、ようやく試しに1週間雇ってくれる洗濯機工場が現れる。だが、それも長くは続かなかった。一方、運動に連れ出されたヴァランタンも、遅れてきたディランの鼻に頭突きをしてしまう。直前まで手を握っていたのにとディランは憤然とする。
調査員は次なるターゲットのマリクに、大半の支援員が無資格だと詰め寄るが、マリクは資格があれば暴れる子を抑えられるのかと鼻で笑う。緊急地域医療センターの医師も、3か月で退院しなければならない患者を無条件で受け入れてくれるのは、ブリュノだけだと証言する。
調査員は称賛の声にも耳を貸さず、無秩序で怪しげな団体だと決めつけるのであるが。。。(作品情報より引用)
症状が重いのはヴァランタンという少年だが、もっともよく出てくるのがジョゼフという青年だ。ようやく引き取ってくれる工場が見つかり、電車に乗って行こうとするが、なかなかたどり着かない。しかも、電車に乗ると非常ボタンを押してしまい、電車を止めてしまう。常習犯で同じことを何度もやる。ようやく工場で働くようになったら、同僚の女性に寄り添って離れない。ある程度寛容の気持ちで見てもらっても工場も嫌気がさすのだ。
1.忙しい主人公ブリュノ
ヴァンサン・カッセルもいろんな役を演じているけど、今回ばかりはかなり疲れたんじゃないだろうか?まさに重症の自閉症患者を取り扱うほど面倒なことはない。
携帯電話はたえず鳴りっぱなし。預かっている子どもが手に負えないほど面倒なことを起こすのに加えて、誰からも見放された子がいるので頼むから引き受けてくれという電話も病院その他からガンガンかかってくる。ブリュノは独身でお見合い的紹介を受けてビシッとスーツで決めて、携帯の電源を切って相手の女性と会う。これも行方をさがしてきた同僚に追われて、話はまとまらないのだ。
2.自閉症
hors normeという仏語題の日本語訳はと調べると「並外れた」である。確かにそうだ。ダスティンホフマンがアカデミー賞を受賞した「レインマン」をはじめとして「自閉症」を扱った映画は意外に多い。でも、ここまでの重症患者は出演していなかった。統合失調症と診断されて薬を飲まされる羽目になったというセリフもある。その診断自体も変だとは思えない。
自分の子どもは、幼稚園にあがるころまで言葉があまりしゃべれなくて広汎性発達障害の疑いがあるといわれた。あたふたして、児童相談所や障がい施設にはずいぶん行ったことがあった。それもあってか、ここで見るのはとびきりハードな自閉症児のように思える。
許認可を受けていないし、無資格者が障がい者を取り扱っているとなるとフランス厚生省当局が監査をするのは職務上当然であろう。営業停止となるのも常識的である。でも主人公が調査員に言う。「どこの施設も、誰も面倒を見切れない重症者ばかりなんだ。いいからそちらで預かってください」と。そう言われても、当局は引き取りようがない。見放されると途方に暮れる子どもたちばかりだから、妥協したということなんだろう。
3.インターナショナルな出演者
ドロップアウトした若者たちを集めた施設を扱っているマリクのところには、アフリカ系、ヴェールをかぶったイスラム系、アジア系と人種のるつぼになっている。
マリク自体イスラム教徒だとしている。エマニュエル・ドットの本で読んだのであるが、最近のフランスは無宗教国家になりつつあり、凶悪なテロ事件を受けてイスラム教徒がフランス国民から相当いやな目に遭っているという。今回のこの映画もそういう影響を受けている感がある。
自閉症の題名が入っているのが気になり映画館に向かう。ヴァンサン・カッセルは韓国通貨危機の話「国家が破産する日」でIMFの高官を演じていた。「スペシャルズ」は実話に基づき自閉症児も出演しているのでドキュメンタリー的な要素を持つ。一般的な自閉症のイメージでいくと、ここでの自閉症患者はかなり重症である。
自閉症のレベルによっては、通常の義務教育に通えるレベルの子が多い。でも、このレベルだと養護学校でないと対応は無理であろうし、普通のところでは手に負えない子たちばかり扱っているというセリフもある。
ブリュノ(ヴァンサン・カッセル)は、自閉症の子供たちをケアする団体〈正義の声〉を運営している。支援している青年の一人ジョゼフが、電車の非常ベルを鳴らして鉄道警察に取り押さえられたのだ。緊急地域医療センターへと向かうと、重度の症状から6か所の施設に受け入れを断られたヴァランタンという少年の一時外出の介助を頼まれる。完全に心を閉ざしていたヴァランタンは頭突き防止のヘッドギアをつけて、一人で立ち上がることもできない。
会計士から、監査局の調査が入ることになり、不適切な組織だとジャッジされれば、閉鎖を命じられると忠告される。赤字経営で無認可、法律の順守より子供たちの幸せを最優先するブリュノの施設は、役人に叩かれれば山のように埃が出る状態だった。
ブリュノはヴァランタンの介助を、マリク(レダ・カテブ)に相談する。ドロップアウトした若者たちを社会復帰させる団体〈寄港〉を運営するマリクは、教育した青少年をブリュノの施設に派遣していた。マリクは遅刻ばかりでやる気のない新人のディランを、ヴァランタンの介助人に抜擢する。
そんな中、調査員が関係者との面談を始める。まずはジョゼフの母親が、無認可の組織の落ち度を探られるが、彼女はいかにブリュノが親身で熱心かを力説し、「認可なんて関係ない」と言い切るのだった。ジョゼフの勤め先を見つけようと、1万通メールしても断られ続けたブリュノだが、ようやく試しに1週間雇ってくれる洗濯機工場が現れる。だが、それも長くは続かなかった。一方、運動に連れ出されたヴァランタンも、遅れてきたディランの鼻に頭突きをしてしまう。直前まで手を握っていたのにとディランは憤然とする。
調査員は次なるターゲットのマリクに、大半の支援員が無資格だと詰め寄るが、マリクは資格があれば暴れる子を抑えられるのかと鼻で笑う。緊急地域医療センターの医師も、3か月で退院しなければならない患者を無条件で受け入れてくれるのは、ブリュノだけだと証言する。
調査員は称賛の声にも耳を貸さず、無秩序で怪しげな団体だと決めつけるのであるが。。。(作品情報より引用)
症状が重いのはヴァランタンという少年だが、もっともよく出てくるのがジョゼフという青年だ。ようやく引き取ってくれる工場が見つかり、電車に乗って行こうとするが、なかなかたどり着かない。しかも、電車に乗ると非常ボタンを押してしまい、電車を止めてしまう。常習犯で同じことを何度もやる。ようやく工場で働くようになったら、同僚の女性に寄り添って離れない。ある程度寛容の気持ちで見てもらっても工場も嫌気がさすのだ。
1.忙しい主人公ブリュノ
ヴァンサン・カッセルもいろんな役を演じているけど、今回ばかりはかなり疲れたんじゃないだろうか?まさに重症の自閉症患者を取り扱うほど面倒なことはない。
携帯電話はたえず鳴りっぱなし。預かっている子どもが手に負えないほど面倒なことを起こすのに加えて、誰からも見放された子がいるので頼むから引き受けてくれという電話も病院その他からガンガンかかってくる。ブリュノは独身でお見合い的紹介を受けてビシッとスーツで決めて、携帯の電源を切って相手の女性と会う。これも行方をさがしてきた同僚に追われて、話はまとまらないのだ。
2.自閉症
hors normeという仏語題の日本語訳はと調べると「並外れた」である。確かにそうだ。ダスティンホフマンがアカデミー賞を受賞した「レインマン」をはじめとして「自閉症」を扱った映画は意外に多い。でも、ここまでの重症患者は出演していなかった。統合失調症と診断されて薬を飲まされる羽目になったというセリフもある。その診断自体も変だとは思えない。
自分の子どもは、幼稚園にあがるころまで言葉があまりしゃべれなくて広汎性発達障害の疑いがあるといわれた。あたふたして、児童相談所や障がい施設にはずいぶん行ったことがあった。それもあってか、ここで見るのはとびきりハードな自閉症児のように思える。
許認可を受けていないし、無資格者が障がい者を取り扱っているとなるとフランス厚生省当局が監査をするのは職務上当然であろう。営業停止となるのも常識的である。でも主人公が調査員に言う。「どこの施設も、誰も面倒を見切れない重症者ばかりなんだ。いいからそちらで預かってください」と。そう言われても、当局は引き取りようがない。見放されると途方に暮れる子どもたちばかりだから、妥協したということなんだろう。
3.インターナショナルな出演者
ドロップアウトした若者たちを集めた施設を扱っているマリクのところには、アフリカ系、ヴェールをかぶったイスラム系、アジア系と人種のるつぼになっている。
マリク自体イスラム教徒だとしている。エマニュエル・ドットの本で読んだのであるが、最近のフランスは無宗教国家になりつつあり、凶悪なテロ事件を受けてイスラム教徒がフランス国民から相当いやな目に遭っているという。今回のこの映画もそういう影響を受けている感がある。