映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「林檎とポラロイド」

2022-03-18 17:28:15 | 映画(洋画:2022年以降主演男性)
映画「林檎とポラロイド」を映画館で観てきました。


林檎とポラロイドはギリシャの新人監督クリストス・ニクの作品だ。リチャードリンクレイターの名作「6才のボクが大人になるまで」で助監督もやっているので素人ではない。主人公が突然記憶喪失になり、回復のためのリハビリ過程で今までやった事もない課題をこなしていくという話だ。初老の域に入り、これから自分の記憶がどうなっていくのかに関心がある。記憶喪失の回復というテーマに好奇心で見てしまう。

作品情報を引用する。

「お名前は?」「覚えていません」──。バスの中で目覚めた男は、記憶を失っていた。覚えているのはリンゴが好きなことだけ。治療のための回復プログラム“新しい自分”に男は参加することに。


毎日リンゴを食べ、送られてくるカセットテープに吹き込まれた様々なミッションをこなしていく。自転車に乗る、ホラー映画を見る、バーで女を誘う…


──そして新たな経験をポラロイドに記録する
ある日、男は、同じプログラムに参加する女と出会う。言葉を交わし、デートを重ね、仲良くなっていく。毎日のミッションをこなし「新しい日常」にも慣れてきた頃、買い物中に住まいを尋ねられた男は、以前住んでいた番地をふと口にする…。(作品情報 引用)

一種の寓話である。いくつもの小話を積み上げていく。それぞれの小話は変化に富んで趣きがある。同じような治療をしている女の子と連んでいる姿は感じがいい。バックに流れる音楽はオールドファッションでいずれも懐かしい。パーティでtwistがかかるし、Sealed with a Kiss(涙のくちづけ)が流れる。当時はよく聴いたものだ。監督がアナログ世界を意識しているという発言通りだ。


ただ、映画の内容をセリフに頼らず、映像で見せるというのに頑固になりすぎている印象を持つ。状況説明は最小限にといわゆる映画本の脚本理論でよく言われること。これでいいとする人もいるかもしれない。でも、自分レベルの観客では、目の前の映像がどう流れていくのか訳がわからなくなる。もう少し説明してくれてもいい。期待して見に行ったが、評判ほどまでいいとは思わない。

主人公は林檎が好きだ。街路にある果物屋に立ち寄ってりんごを買おうと紙袋に入れている。その時店員が「りんごを食べると、記憶力が良くなりますよ」と言った。突如動きを止め反対の動きを始める。袋に入れたリンゴを一個づつ取り出し、元に戻すのだ。


おもしろいシーンだ。こういうシーンで「何かを察しろ」という部分があるかもしれない。記憶が甦るのを主人公が恐れているのを示している気もする。でも、もう少しわかりやすくして欲しいなあ。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする