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Netflix映画「消えない罪」サンドラブロック

2021-12-12 18:43:50 | 映画(洋画:2019年以降主演女性)
Netflix映画「消えない罪」は2021年配信


久々のサンドラブロックである。日本でも大人気だったゼログラビティが2013年、その後ポツポツ出演しているようだが、blogコメントしていない。Netflix映画で久々に登場して早速見る。「愚作駄作もみろ!」という押井守の教えでNetflix新作を見ても半分以上はずれる。最近のNetflix映画「パワーオブザドッグ」や「チックチック」もおもしろくなかった。ヴィオラデイヴィスをはじめ共演俳優陣は充実していても、この映画も期待していなかった。

ところが、久々にサンドラブロックが登場製作するだけあって、脚本は練られている。映画の展開は悪くない。途中で何回も予想をはずす。思わずグイッと引き込まれてしまう。サスペンス映画的にドキドキしてしまう場面も数多く,思ったよりも良かった。

保安官殺しで20年の刑を終えて出所したばかりの女が、事件で離れ離れになった年の離れた妹をムショ帰りで世間の白い目に耐えながら探そうとする話である。主人公ルースの父が亡くなったあと家に居座り強制退去を命じられた家で、無理やり家に入り込もうとした保安官を撃ち刑務所に入った。その時、まだ5才の年の離れた妹を親代わりで面倒をみていた。彼女は養女として一般家庭に預けられているが、行方は分からず、何度も手紙を送っても返事はなかった。そのあたりからのスタートだ。


⒈葛藤をもつ適切な登場人物の配置
出所した女ルースに恨みをもつ人もいる。殺された保安官に2人の息子がいる。兄はもう犯人も刑期を終えたからと淡々としているが、弟は殺気じみてルースの行動を追っている。どこかで復讐せねばという話を常にしている。ルースに対して強い葛藤をもって敵対する。この兄弟が重要人物になってくる。

ルースは住んでいた家で事件を起こした。そこで何か妹の行方はわかるのではと向かう。そこで、現在の住人と出会う。場所が辺鄙な場所で今の住人に帰り送ってもらう時に事情を告白する。住人は弁護士で相談にのってあげる。でも、弁護士は家を訪ねてきた女が殺人犯だったことを妻に黙っていてということで罵倒される。夫婦の軋轢が起きる。

以上のような対立関係をいくつもつくる。脚本づくりの定石かもしれないが、適度な数の登場人物で葛藤する関係がいくつもできておもしろくなる。単純にいかない人間関係にうまさを感じる。

⒉読みをはずす展開
いくつかの対立関係をつくりながら、進むストーリーも単純ではない。弁護士名で妹が引き取られた現在の養父母に手紙を送る。最初は面会も嫌がった養父母も結局弁護士立ち会いの元、会うことになるのだ。ここで驚いたのであるが、ルースがその養父母に対して縦つく態度が普通でない。弁護士の顔が丸つぶれだ。何でそうするのと画面の外の自分がヒヤヒヤする。

これがこれが一つの例だが、世間の常識では考えられない事象をいくつもつくる。保安官の遺族に関しても兄弟に予想外の出来事が起こる。読みをはずす。脚本が練られているというのはそういうことだ。

この映画のネット上の評価は割れているが、悪い評価もある。その中に映画の展開は読みやすいと言っている投稿もある。これを読めるそんな神様のような鑑賞者はいないと思う。超一流女優サンドラブロックが選んだ脚本だけあると自分は思う。

⒊汚れ役サンドラブロック
もともとキツイ顔立ちのサンドラブロックなので、気が強い女の役は似合う。この女はまともな教育は受けていないようだ。すごいかんしゃく持ちだ。上記であげた弁護士を交えての面会でも普通はこういうパフォーマンスはしない。もともと日本流に言うと大工のルースが、あまりに腹立たしくせっかく自ら造作工事をして貼り付けた石膏ボードを壊すシーンにも精神の荒々しさを示す。


「スピード」での活躍で人気女優になってからのサンドラブロックの輝かしいキャリアは40代になって絶頂に達した。アカデミー主演女優賞を受賞しただけでなく、最悪映画のラジー賞を受賞して授賞会場に行くなんてすごいパフォーマンスでみんなをあっと言わせる。それなのに最近の沈黙はどうしたんだろう。

しかし、色鮮やかなアメリカ流ラブコメディ美貌を見せつけてきたこれまでのサンドラブロックからは違う凄みを感じる。いくつかのシーンでは演技のうまさに感嘆した。さすがの格の違いを見せつけた。今後の活躍を期待する。

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