映画とライフデザイン

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映画「ラストナイト・イン・ソーホー」トーマシン・マッケンジー&アニャ・テイラー=ジョイ&エドガーライト

2021-12-11 18:08:44 | 映画(自分好みベスト100)
映画「ラストナイト・イン・ソーホー」を映画館で観てきました。


ものすごく魅力的なサイコスリラーというべきであろう。

ラストナイトインソーホー「ベイビードライバー」エドガーライト監督作品で1960年のポップスが劇中流れるという先行情報だけで映画館に向かう。夢を持ち都会に出てきた女の子が、さまざまな困難に打ちあたり克服していくという話の流れだけであれば、過去いくらでもある。ただ、この映画では60年代にタイムスリップしてというテイストがあり、ウディアレンの「ミッドナイトインパリ」を連想させる。また、魔界の都市での奇怪な遭遇ということではデイヴィッドリンチの「マルホランドドライブ」にも通じるところがある。同じように悪夢と現実が交錯して訳がわからなくなる。

また、英国ミステリー映画の傑作「赤い影」も意識させる不気味な照明の点滅の使い方が絶妙である。ヒッチコックの「マーニー」でヒロインであるティッピ・ヘドレンが赤を恐れた時の点滅連想した。60年代の曲は馴染みのある曲も多く、最後まで音楽で心が動く。あまり語ると良くないのでともかく見てみるといい。日本では絶対つくれない傑作である。


ファッションデザイナーを夢見るエロイーズ(トーマシン・マッケンジー)は、念願かなってロンドンのデザイン学校の服飾科に入学する。主人公は母親が死んで育ての親だった祖母の影響で60代ポップスが好きだ。スーツケースの中にもたっぷりその時代のレコードを詰め込んでロンドンに向かう。しかし、ロンドンでは、同級生たちとの寮生活に馴染めず、ソーホー地区の片隅の古い家の階上の部屋で一人暮らしを始めることになる。

新居のアパートで眠りに着くと、夢の中で60年代のソーホーにいた。そこで歌手を夢見るサンディ(アニャ・テイラー=ジョイ)に出会うと、身体も感覚も彼女とシンクロしていく。現実の世界で服も髪型も、エロイーズはサンディの真似をする。夢の中に出現するサンディのピンクのドレスを学校の課題に選び、エロイーズは、常に夢と現実のタイムリープを繰り返す。だがある日、血にまみれたサンディを目撃してしまう。現実でも謎の亡霊が現れ始め、エロイーズは徐々に精神を蝕まれるのであるが。。。


⒈ビートポップス
この映画で1960年代のポップスを聴いて、自分が小学校低学年だった1966年から1967年に「ビートポップス」というTV番組をとっさに思い浮かべた。兄貴がポップス好きだった友人の影響で、土曜日にオンエアされていたこともあり、いつも見ていた。独自のヒットチャートでは、モンキースや初期のビージーズの曲が印象に残るが、この映画で流れるウォーカー・ブラザーズ「ダンス天国」などの曲も独自のDJスタイルで番組で流れていた。大橋巨泉の司会の記憶がまったくないけど、小山ルミや杉本エマといったいった美人モデルが曲に合わせて踊る姿が目に浮かぶ。

この映画で1960年代夜のナイトクラブのステージでアニャ・テイラー=ジョイが踊る姿に思わず、昔の日本人のダンサーが思い浮かぶという人もいるまい。


⒉トーマシン・マッケンジーとアニャ・テイラー=ジョイ
映画が始まって1960年代のレコード「愛なき世界/ピーターとゴードン」を聴いて楽しむトーマシン・マッケンジーが登場する。あれ?見たことあるぞ。映画「ジョジョラビット」で主人公の少年があこがれるユダヤ人少女を演じていた。これは最後まで気づかなかった。20才過ぎて間もない美少女である。


しばらくして、1960年代夜のロンドンの映像で歌手を夢見る少女がでてくる。ピンクのドレスを着たアニャ・テイラー=ジョイで、鏡にはトーマシン・マッケンジーが映る。夢の中で一体化するのだ。彼女もどこかで見たことあるぞ!と気づき、思い出すのに時間はかからなかった。Netflix「クイーンズギャンビット」の主役とわかった。このシリーズはNetflixの中でも数少ない最後まで見終えたもので実におもしろかった。ここでの再会は偶然でうれしい。


トーマシン・マッケンジーとアニャ・テイラー=ジョイが男性相手に代わりばんこにジルバを踊るシーンの楽しさはウキウキしてくる。

2人とも現実の映像に合わせて、悪夢の映像を撮る。実際にエロイーズにとっては悪夢であっても、撮影はリアルである。サイコスリラーとしての映像やホラーの匂いもある。なかなかの健闘ぶりで賞賛したい。

⒊エドガーライト監督
「ベイビードライバー」はなかなかの傑作であった。ドライブテクニックをひけらすシーンだけでなく、音楽のセンスが抜群に良かった。最後のエンディングロールでサイモン&ガーファンクルの「明日にかける橋」でかかるアコースティックタッチのロックンロール「ベイビードライバー」がかかってきた時には身震いした。ペトゥラ・クラークの「ダウンタウン」がこの映画のテーマ曲と言っても良いが、今回の選曲も抜群に良い。


エドガーライト監督は年齢的に1960年代のロンドンを実体験しているわけがないが、夜の華やかなスウィンギング・ロンドンのセットを再現して懐かしい車を走らせる。007の映画看板「サンダーボール作戦」にもドキドキしてしまう。赤や青のネオンにいかにも魔界の怖い世界を蘇らす。映画が始まる前に注意書きで、「チカチカ点滅するネオンにご注意を」と出てくる。実際に見終わってそこまでのクラクラしなかったが、ホラー的な要素は映画の楽しみを増やす。


ストーリーも単純ではなかった。途中からの展開はまったく読めなかった。老優テレンス・スタンプやダイアナ・リグの使い方も絶妙だ。ストーリーテラーぶりもすぐれている。おもしろかった。必見である。

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