映画「打撃王 The Pride of the Yankees」は1942年(昭和17年)のアメリカ映画である。
鉄人と言われたルー・ゲーリッグは2130試合連続出場の記録を長らく持っていたヤンキースのスラッガーである。球聖ベーブルースと史上最強の3,4番コンビを組んでいた。ところが、難病に侵され1939年惜しくも引退、その後1941年に37歳の若さで亡くなった。その余韻がある翌年1942年にこの映画がつくられている。実際のルー・ゲーリッグとゲイリークーパーは似ていると思う。
子供のころから2回この映画は見ている。いつ見ても泣ける。もう一度見てやっぱり泣けた。
ある意味、巨人の王長嶋のON砲のうち、片方が突如難病で引退して、その2年後に亡くなるということを想像してみれば、当時のアメリカ球界でとんでもない大事件だったということがわかるだろう。
1936年にメジャーリーグに昇格したマリリンモンローの元夫としても有名なジョー・ディマジオはルーゲーリッグとともにヤンキースの一員としてプレイしている。いまだに56試合連続安打のメジャー記録を持つ彼もルー・ゲーリッグの引退式は本当に泣けたと言っている。その気持ちはよくわかる。
少年時代からルーゲーリッグは類い稀な野球の素質をもっていた。名門コロンビア大学に進学したあとはアメリカンフットボールの選手でもあったが、その打撃センスを新聞のスポーツ記者から注目され、大リーグのスカウトもねらっていた。ドイツからの移民である母親はゲーリッグの叔父が優秀な技師であったことから、ルーを技師にしたいという念願があった。ところが、父親に代わり家計を支えていた母親が突如入院、良い治療をするためには多額のお金がいることで、急遽ル―・ゲーリッグ(ゲイリークーパー)はヤンキースへの入団を決意する。まずはマイナーリーグでスタートとなり、ハートフォードへ向かう。母親は「ハーバード」へ進学するのだと勘違いしていた。
やがて1923年メジャーリーグに昇格しヤンキースの一員となる。近所の人たちは大騒ぎとなり母親にもそのことがわかってしまう。ヤンキースは主砲ベーブルースの全盛期で、ル―は控えで遠征をまわっていた。ところが、正一塁手が目が悪くなり、ルーにチャンスがまわってきた。ル―はそのチャンスをすかさずモノにするのである。シカゴの遠征時ハンバーグ王のお嬢さんエレノア(テレサ・ライト)が見に来ていた。ル―は彼女の前ですってんころり転んだりドジを踏んで失笑をかっていたが、やがて2人の間に恋が芽生えてくるのであった。
1.ルー・ゲーリッグ
自分は少年時代から野球の記録に強い関心を持っていた。戦前の巨人のエース沢村栄治の物語は池部良主演で映画にもなっている。小学生時代にテレビでその映画を見たことがあった。まだ日本のプロ野球が始まる前、1934年日米野球でメジャーリーグのオールスターが来日し、全勝したのはベーブルースの伝記でも読んでいた。その中で、沢村が0対1で惜しくも負けた試合が1試合だけあり、メジャーリーグの超一流の選手から三振を奪ったことが語り草になっている。その1失点はルーゲーリッグのホームランによる失点である。自分がルーゲーリッグの名前を知ったのはその時であった。
日米野球があった1934年ルー・ゲーリッグはヤンキースの不動の4番で三冠王をとっている。まさに全盛時代だ。沢村栄治の好投は今でもいろんなところで語られるが、この格の違いはいかんともしがたい。
2.ベーブルース
映画「打撃王」はルーゲーリッグの追悼ということもあるが、本塁打王ベーブルースが本人役で出演していることに強い意義を感じる。ニュース映像で短時間見るだけでなく、リアルにコミカルにベーブルースが出演する姿を見れるのはすばらしいことである。それだけでも貴重な映像といえるのではないか。子供のころ、偉人伝の全集を読んだが、もっとも関心深かったのが「ベーブルース」の偉人伝である。それだけに最初に「打撃王」を見た時ベーブルースの姿には感動したが、今回久々に見てショーマンシップあふれるベーブルースの演技にはなおのこと胸を打たれる。
有名な引退セレモニーのシーンの時も、あのブルドッグのような顔をしたベーブルースはゲイリークーパーがスピーチする場面の一角で映っている。このスピーチは感動的に本当に泣けてくる。
3.テレサライト
この映画の時で24歳、可憐な姿は自分が映画ファンになってからいろんな映画で見ることができる。やはり一番印象が強いのはアルフレッド・ヒッチコック監督「疑惑の影」である。ジェゼフ・コットン扮する大好きなおじさんに殺人者としての疑いを持つ、かわいい姪という役柄はサイコサスペンスとして緊迫感が高い。このときテレサライトの表情があこがれのオジサンを見る羨望のまなざしから殺人鬼として疑う表情に徐々にかわっていく。この演出がピカイチで、オールタイムでこの映画を推す映画ファンも多い。
「打撃王」ではやさしい賢夫人を演じる。なんとこの映画から50年以上たった時始球式に誘われたそうだ。なんせ英題はThe Pride of the Yankeesである。こういう功績を忘れないところがヤンキースのいいところだ。
鉄人と言われたルー・ゲーリッグは2130試合連続出場の記録を長らく持っていたヤンキースのスラッガーである。球聖ベーブルースと史上最強の3,4番コンビを組んでいた。ところが、難病に侵され1939年惜しくも引退、その後1941年に37歳の若さで亡くなった。その余韻がある翌年1942年にこの映画がつくられている。実際のルー・ゲーリッグとゲイリークーパーは似ていると思う。
子供のころから2回この映画は見ている。いつ見ても泣ける。もう一度見てやっぱり泣けた。
ある意味、巨人の王長嶋のON砲のうち、片方が突如難病で引退して、その2年後に亡くなるということを想像してみれば、当時のアメリカ球界でとんでもない大事件だったということがわかるだろう。
1936年にメジャーリーグに昇格したマリリンモンローの元夫としても有名なジョー・ディマジオはルーゲーリッグとともにヤンキースの一員としてプレイしている。いまだに56試合連続安打のメジャー記録を持つ彼もルー・ゲーリッグの引退式は本当に泣けたと言っている。その気持ちはよくわかる。
少年時代からルーゲーリッグは類い稀な野球の素質をもっていた。名門コロンビア大学に進学したあとはアメリカンフットボールの選手でもあったが、その打撃センスを新聞のスポーツ記者から注目され、大リーグのスカウトもねらっていた。ドイツからの移民である母親はゲーリッグの叔父が優秀な技師であったことから、ルーを技師にしたいという念願があった。ところが、父親に代わり家計を支えていた母親が突如入院、良い治療をするためには多額のお金がいることで、急遽ル―・ゲーリッグ(ゲイリークーパー)はヤンキースへの入団を決意する。まずはマイナーリーグでスタートとなり、ハートフォードへ向かう。母親は「ハーバード」へ進学するのだと勘違いしていた。
やがて1923年メジャーリーグに昇格しヤンキースの一員となる。近所の人たちは大騒ぎとなり母親にもそのことがわかってしまう。ヤンキースは主砲ベーブルースの全盛期で、ル―は控えで遠征をまわっていた。ところが、正一塁手が目が悪くなり、ルーにチャンスがまわってきた。ル―はそのチャンスをすかさずモノにするのである。シカゴの遠征時ハンバーグ王のお嬢さんエレノア(テレサ・ライト)が見に来ていた。ル―は彼女の前ですってんころり転んだりドジを踏んで失笑をかっていたが、やがて2人の間に恋が芽生えてくるのであった。
1.ルー・ゲーリッグ
自分は少年時代から野球の記録に強い関心を持っていた。戦前の巨人のエース沢村栄治の物語は池部良主演で映画にもなっている。小学生時代にテレビでその映画を見たことがあった。まだ日本のプロ野球が始まる前、1934年日米野球でメジャーリーグのオールスターが来日し、全勝したのはベーブルースの伝記でも読んでいた。その中で、沢村が0対1で惜しくも負けた試合が1試合だけあり、メジャーリーグの超一流の選手から三振を奪ったことが語り草になっている。その1失点はルーゲーリッグのホームランによる失点である。自分がルーゲーリッグの名前を知ったのはその時であった。
日米野球があった1934年ルー・ゲーリッグはヤンキースの不動の4番で三冠王をとっている。まさに全盛時代だ。沢村栄治の好投は今でもいろんなところで語られるが、この格の違いはいかんともしがたい。
2.ベーブルース
映画「打撃王」はルーゲーリッグの追悼ということもあるが、本塁打王ベーブルースが本人役で出演していることに強い意義を感じる。ニュース映像で短時間見るだけでなく、リアルにコミカルにベーブルースが出演する姿を見れるのはすばらしいことである。それだけでも貴重な映像といえるのではないか。子供のころ、偉人伝の全集を読んだが、もっとも関心深かったのが「ベーブルース」の偉人伝である。それだけに最初に「打撃王」を見た時ベーブルースの姿には感動したが、今回久々に見てショーマンシップあふれるベーブルースの演技にはなおのこと胸を打たれる。
有名な引退セレモニーのシーンの時も、あのブルドッグのような顔をしたベーブルースはゲイリークーパーがスピーチする場面の一角で映っている。このスピーチは感動的に本当に泣けてくる。
3.テレサライト
この映画の時で24歳、可憐な姿は自分が映画ファンになってからいろんな映画で見ることができる。やはり一番印象が強いのはアルフレッド・ヒッチコック監督「疑惑の影」である。ジェゼフ・コットン扮する大好きなおじさんに殺人者としての疑いを持つ、かわいい姪という役柄はサイコサスペンスとして緊迫感が高い。このときテレサライトの表情があこがれのオジサンを見る羨望のまなざしから殺人鬼として疑う表情に徐々にかわっていく。この演出がピカイチで、オールタイムでこの映画を推す映画ファンも多い。
「打撃王」ではやさしい賢夫人を演じる。なんとこの映画から50年以上たった時始球式に誘われたそうだ。なんせ英題はThe Pride of the Yankeesである。こういう功績を忘れないところがヤンキースのいいところだ。