映画とライフデザイン

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映画「誘拐報道」萩原健一&小柳ルミ子

2019-07-01 05:55:05 | 映画(日本 昭和49~63年)

映画「誘拐報道」(1982年)を映画館で観てきました。


名画座の「萩原健一特集」最終日に放映された。レンタル店で見ることもなく、そもそも「誘拐報道」という映画の存在すら知らなかった。実際に起きた誘拐事件のあらましと取材する新聞社の動きを映し出す。誘拐犯人を萩原健一、その妻を小柳ルミ子が演じる。萩原健一は俳優としてのキャリアを積んで映画「約束」から10年、演技力を高めてきている。減量しての役作りだったという。


読売新聞という実名が出てきて驚いた。実話に基づく話だけにノンフィクション的な臨場感もある。この当時でいえば豪華俳優総出演だけに予想以上の見ごたえがあった。特に小柳ルミ子の好演が光る。先日内田裕也特集で「少女娼婦けものみち」姫田真佐久のカメラの見事さに感心したが、ここでも犯人が丹後の実家に帰った時の映像などに凄みを感じる。

私立小学校一年生の三田村英之が下校途中に誘拐された。県警本部の発表で、犯人が英之少年の父で小児科医の三田村昇(岡本富士太)に三千万円の身代金を要求していることが分かった。県警捜査課長(平幹二朗)から各新聞社へ子供の身の安全に留意するため「報道協定」の要請があり各社は受けざるを得なかった。三田村家には遠藤警部(伊東四朗)以下六名の警察官が入り込み、妻の緋沙子(秋吉久美子)と共に電話を待った。緋沙子が一人で来るようにとの電話があった。そこに向かうと川原には英之の学帽とランドセルが置かれてあった。

日本海側丹後の雪道を一台の車が通過していく。サングラスの男が降りて公衆電話で三田村家に電話をする。男は金をそろえるように指示して受話器を置いた。誘拐事件発生の知らせを土門社会部長(丹波哲郎)をはじめとした読売新聞大阪本社の幹部は大阪のクラブで受ける。地元の新聞販売店では大西支局長(三波伸介)をはじめとした事件記者たちが泊まり込みで捜査の行方をうかがっていた。


海を見下す断崖の上から、犯人が布団袋に入れた子供を投げすてようとするが、海面に潜水服着用の数名が目に入りやめる。そのあと、犯人=古屋数男(萩原健一)は老母(賀原夏子)のいる実家へ寄る。そこへ数男の妻・芳江(小柳ルミ子)から電話がかかってきた。家計を助けるため芳江が働いている造花の作業場に取り立ての男がきて、数男の行方を捜していた。方々連絡とった後で実家にかけたのであった。金策に困った数男は娘の香織を私立小学校に通わせていており、生徒の名簿から三田村家のことを知り犯行に及んだ。

数男は途中で財布を落とし、母親からもらったお金のほかに持ち金も無くなっていた。あらためて三田村家に電話を入れ、宝塚市内の喫茶店での現金受け渡しを指示する。捜査本部はあわただしく動き、記者たちも店のまわりを張り込んだ。しかし、店の中の動きに異変を感じた数男は店に近づかなかったが。。。

1.萩原健一と小柳ルミ子
ここでのショーケンこと萩原健一は持ち味の破天荒さをいかして、誘拐犯の切羽詰まった姿を巧みに演じている。これはこれで敢闘賞。今日は「いだてん」の高橋是清役で萩原健一でてしまうだよね。最後の姿、貫禄あるなあ!

でもまったく予期せず良かったのは小柳ルミ子である。犯人の妻を演じている。もちろん、自分の夫が子供を誘拐しているなんて全く知らない。ただ、振り出した200万円の手形がよくない筋に回って取り立てに来ていて、夫が窮地に陥り姿を消していることはわかっている。その夫が自宅に戻ってきた。自分は親も死んで身寄りもない。戻るところもない。私はどうすればいいの?財布をなくして、金がない夫になけなしの金を渡そうとして泣き崩れてしまうシーンもある。これには映画だということを忘れて情を移してしまう。


あとは、振り出した手形の件で喫茶店の店主に行ったときに言い寄られるシーン、ある意味覚悟を決めていくシーンの下着姿が超色っぽい。このあと、時が過ぎ妙に気前よくヌードになることが多くなった小柳ルミ子であるが、脱いでいないこのときの色香は明らかに脱いだ時よりも強く、並々ではないものを感じる。

この映画、被害者側の妻である秋吉久美子、事件記者の婚約者である藤谷美和子に同情させる設定になっているけど、なんとも感じないなあ。ただただ、小柳ルミ子の好演に魅かれる。見直した。

2.新聞社の前時代的な動き
自分が働き始めたころは、どこの会社も今でいうパワハラの基準でいえば、すべてアウトであろう。頭をたたき、部下を罵倒し、取材活動に向かわせるシーンがある。しかも、劇中で読売新聞の実名までだしている。要はこのパワハラみんなOKということだ。夜討ち朝駆けが当たり前の世界だったけど、今はどうなんだろう。

3.豪華俳優と三波伸介
上映されてからすでに37年たっている。鬼籍に入った出演者も少なくない。捜査課長の平幹二朗、編集局長の永井智雄、部長の丹波哲郎、支局長の三波伸介、いずれも故人である。丹波哲郎が下手な当時はやった「ダンシングオールナイト」を歌うのがご愛嬌。

それにしても三波伸介久しぶりに見たなあ。

このころは絶頂期で「笑点」の司会者でもあったので、日本テレビ系のこの映画には出演を頼まれたのかもしれない。現場近くの新聞販売店に寝泊まりする際、ズボンを脱いでステテコ姿になったけど、だぶだぶの身体だなあと映画を見て思った。でも調べると、この映画が公開されたのが1982年9月、そのあと12月に突然死しているんだよね。不摂生丸出しの身体だけに仕方ないけどなあ。あの時はみんなびっくりした。それにしても、てんぷくトリオのコンビの伊東四朗が刑事役演じている。この映画から37年たっているけど、現役まっしぐら。反面教師というのはこういうことか?



誘拐報道


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