映画「シェイプ・オブ・ウォーター」を映画館で観てきました。
素敵な映画である。
話すことができない1人の独身女性が、異形の生物と恋に落ちていく話というとちょっととっつきにくい印象を持つが違う。60年代前半の冷戦時代の時代設定で、スパイ映画的緊張感をもちながら、ムーディーな音楽や美術で恋愛をうつくしく映し出す。「ET」のような優しさをもつ映画だ。監督脚本ギレルモ・デル・トロの手腕が光り実にすばらしい。
1962年、映画館の上にあるアパートメントで1人暮らしをする聞くことはできるが、話すことができない障がいをもつイライザ(サリー・ホーキンズ)はアメリカの秘密機関で深夜掃除婦をやっている。同僚の(オクタビア・スペンサー)や隣人の売れない画家(リチャード・ジェンキンス)と仲よくしている。イライザはある時、仕事場の水槽の中で異類の生き物が暴れているのを見てしまう。何かと思っていたら、仕事中にその生き物が水槽から姿を現す。ゆで卵を食べさせてあげながら、手話をするとその生き物が真似をするではないか。イライザは隠れて水槽のある部屋に行き、食べ物をあげたり音楽を聞かせたりするようになる。
一方、そこで働くストリックランド大佐(マイケル・シャノン)はアマゾンで神のようにあがめられていたその生き物を連れてきたが、何かというと反発するその生き物を手なづけられずに指をかまれたことに腹を立て虐待していた。しかも、生体解剖するように上司と打ち合わせしていた。時は冷戦時代、その秘密機関にはソ連のスパイも科学者ホフステトラー博士(マイケル・スタールバーグ)として働いていた。そのロシア人も生き物に興味をもち、生き物が生体解剖にならないように、イライザが脱出をたくらむのを手伝っていたのであるが。。。
1.60年代前半のアメリカ
主人公は映画館の階上のアパートにいるという設定で、看板や映写する「砂漠の女王」などの映画が映る。テレビでは白黒の画面で人気コメディを映している。時代設定をよくつかんだ美術がいい感じだ。しかも、この映画のアレクサンドル・デスプラによる音楽はその時代を反映するイージー・リスニング的で映像にピッタリあっている。アンディ・ウィリアムズの「夏の日の恋」なんかが流れる。ラストエンディングロールにも歌われるボーカル曲「ユール・ネバー・ノウ」がよくて、なかなか席を立てなかった。
イライザがレコードプレイヤーをもってきて生き物に音楽を聞かせてあげるシーンが可愛い。
2.サリー・ホーキンズ
ウディ・アレン監督「ブルー・ジャスミン」のケイト・ブランシェットの妹役が印象的だったが、その他はあまり知らない。そんな感じで観たら、いきなりのオナニーシーンや肌を大胆にさらけ出す姿に驚く。話ができないというのはある意味セリフがあるよりもむずかしい。地味な掃除婦なんだけど、異類の生き物に徐々に魅かれていく。その心情が母性たっぷりに見えていじらしい。情感たっぷりである。ちょっと古いが異星人との交友を描いた「ET」にも通じる部分がある。
アパートの部屋を閉め切って、部屋中に水を貯めて裸で抱き合うシーンがいい。その階下の映画館への水漏れも含めて笑いを誘う。サリー・ホーキンズは水の中に長時間もぐるのでちょっとしんどかっただろうなあ。
3.魅力的な脇役
マイケル・シャノンは悪役が続くが、毎度のことながらうまい。60年代前半の家庭を描くのに美人妻と2人の可愛い娘と一緒の彼の生活が描かれるのがこの映画のミソ。個人的には「ドリームホーム」の不動産ブローカー役がいちばん性に合っていた気がする。似たような題名だが「ドリーム」に続いてギョロ目の存在感が強いオクタヴィア・スペンサーはここでは亭主の話とか他愛のないおしゃべりをいつも黙って聞いてくれる主人公をかわいがる役。これもまさに適役。
「スリー・ビルボード」もよかったが、個人的にはこちらのほうが好き。
素敵な映画である。
話すことができない1人の独身女性が、異形の生物と恋に落ちていく話というとちょっととっつきにくい印象を持つが違う。60年代前半の冷戦時代の時代設定で、スパイ映画的緊張感をもちながら、ムーディーな音楽や美術で恋愛をうつくしく映し出す。「ET」のような優しさをもつ映画だ。監督脚本ギレルモ・デル・トロの手腕が光り実にすばらしい。
1962年、映画館の上にあるアパートメントで1人暮らしをする聞くことはできるが、話すことができない障がいをもつイライザ(サリー・ホーキンズ)はアメリカの秘密機関で深夜掃除婦をやっている。同僚の(オクタビア・スペンサー)や隣人の売れない画家(リチャード・ジェンキンス)と仲よくしている。イライザはある時、仕事場の水槽の中で異類の生き物が暴れているのを見てしまう。何かと思っていたら、仕事中にその生き物が水槽から姿を現す。ゆで卵を食べさせてあげながら、手話をするとその生き物が真似をするではないか。イライザは隠れて水槽のある部屋に行き、食べ物をあげたり音楽を聞かせたりするようになる。
一方、そこで働くストリックランド大佐(マイケル・シャノン)はアマゾンで神のようにあがめられていたその生き物を連れてきたが、何かというと反発するその生き物を手なづけられずに指をかまれたことに腹を立て虐待していた。しかも、生体解剖するように上司と打ち合わせしていた。時は冷戦時代、その秘密機関にはソ連のスパイも科学者ホフステトラー博士(マイケル・スタールバーグ)として働いていた。そのロシア人も生き物に興味をもち、生き物が生体解剖にならないように、イライザが脱出をたくらむのを手伝っていたのであるが。。。
1.60年代前半のアメリカ
主人公は映画館の階上のアパートにいるという設定で、看板や映写する「砂漠の女王」などの映画が映る。テレビでは白黒の画面で人気コメディを映している。時代設定をよくつかんだ美術がいい感じだ。しかも、この映画のアレクサンドル・デスプラによる音楽はその時代を反映するイージー・リスニング的で映像にピッタリあっている。アンディ・ウィリアムズの「夏の日の恋」なんかが流れる。ラストエンディングロールにも歌われるボーカル曲「ユール・ネバー・ノウ」がよくて、なかなか席を立てなかった。
イライザがレコードプレイヤーをもってきて生き物に音楽を聞かせてあげるシーンが可愛い。
2.サリー・ホーキンズ
ウディ・アレン監督「ブルー・ジャスミン」のケイト・ブランシェットの妹役が印象的だったが、その他はあまり知らない。そんな感じで観たら、いきなりのオナニーシーンや肌を大胆にさらけ出す姿に驚く。話ができないというのはある意味セリフがあるよりもむずかしい。地味な掃除婦なんだけど、異類の生き物に徐々に魅かれていく。その心情が母性たっぷりに見えていじらしい。情感たっぷりである。ちょっと古いが異星人との交友を描いた「ET」にも通じる部分がある。
アパートの部屋を閉め切って、部屋中に水を貯めて裸で抱き合うシーンがいい。その階下の映画館への水漏れも含めて笑いを誘う。サリー・ホーキンズは水の中に長時間もぐるのでちょっとしんどかっただろうなあ。
3.魅力的な脇役
マイケル・シャノンは悪役が続くが、毎度のことながらうまい。60年代前半の家庭を描くのに美人妻と2人の可愛い娘と一緒の彼の生活が描かれるのがこの映画のミソ。個人的には「ドリームホーム」の不動産ブローカー役がいちばん性に合っていた気がする。似たような題名だが「ドリーム」に続いてギョロ目の存在感が強いオクタヴィア・スペンサーはここでは亭主の話とか他愛のないおしゃべりをいつも黙って聞いてくれる主人公をかわいがる役。これもまさに適役。
「スリー・ビルボード」もよかったが、個人的にはこちらのほうが好き。