映画とライフデザイン

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映画「アダマン号に乗って」

2023-05-17 19:39:56 | 映画(フランス映画 )
ドキュメンタリー映画「アダマン号に乗って」を映画館で観てきました。


映画「アダマン号に乗って」セーヌ川に浮かぶ船上のデイケア施設で精神科の患者たちが送る日々を描いたドキュメンタリーだ。ベルリン映画祭で最高賞を受賞して、日本の評論家筋の評判もいい。公開すぐさま行こうとは思わなかったが、時間が空いたので覗いてみる。映画の雰囲気は想像できたが、ほぼ予想通りだった。


個人のプライバシーの問題があって、なかなか衆目にはさらされていない世界ではある。こういったドキュメンタリーにまとめる事自体は画期的なことだと思う。ある事情があって、こういった精神科の病院の内情には若干の知識がある。日本もフランスも大きくは変わらない。映画のうたい文句に自由を感じるなどと言う言葉もあるが、日本の精神科のデイケア施設もこんなものではないか。


輪になってそれぞれの患者たちが、自分の体験談を話したりするのは日本の施設でも同じようなことをしている。アダマン号というデイケア施設に通う人たちの病気の程度は、強い精神疾患を持っている人たちから若干精神の安定を崩している人たちまで程度はいろいろだ。中には相手と目を合わせない自閉症患者もいる。表情を見ると、ほぼ全員精神科の薬を飲んでいるのは間違いない。目を見ればわかる。ある男性が,「お互い体験談を語ったりする機会を設けてくれるのはありがたいが,薬を飲まないとどうにもならない」と言っていた。


音楽では、エレキギターを弾いたり、ピアノを弾いて自ら作曲をしたり、普通の人ではできないことをたやすくできてしまう人がいる。美術関係にしても、普通の人が描ける以上のレベルの絵画を描いている。その絵を他の人たちにどういう趣旨で書いたかを説明している。


普通の人と大きな差があるわけではない。ただ、何らかの理由で精神のバランスを崩してしまったのだ。その時点ではこのように安定している状態ではなかったであろう。病院に入院した時は、かなり荒れ放題だったかもしれない。世間一般が精神病院で描いているイメージの治療をするのはやむを得ないのかもしれない。

それでも、今それぞれに向上心を持って生きているのは素晴らしいことだ。それをニコラ・フィリベール監督とカメラが解説もなく舐めるように追っていく。

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