映画「理想郷」を映画館で観てきました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/41/cf465a49ce521cda48232fa3d87b49ba.jpg)
映画「理想郷」はスペインの田舎町に終の住まいを求めて移住したフランス人夫婦が地元民に疎外されるシリアスドラマだ。「おもかげ」のロドリゴ・ソロゴイェンの監督・脚本作品である。昨年の東京国際映画祭でグランプリを受賞した。「苦い涙」など最近出番の多いフランス人俳優ドゥニ・メノーシェが移住した夫婦の夫を演じる。欧州の田舎での閉鎖性は先日公開の「ヨーロッパ新世紀」でも取り上げられていた。アジア人移民を拒絶する村が題材だった。この映画は外部から来た移住者への閉鎖性というよりも、言うことを聞かない移住者へのイジメ映画の色彩が強い。
スペインのガリシア地方の山村に、理想の住処を求めてフランス人夫婦アントワーヌ(ドゥニ・メノーシェ)とオルガ(マリナ・フォイス)が移住する。その村には風力発電建設のための土地買収の話が来ている。アントワーヌは反対の立場であった。アントワーヌは少数派で、隣地に住む兄弟は補償金が入るのに、このままでは他のエリアに候補地が行ってしまうと当惑する。そして、あの手この手でアントワーヌ家に嫌がらせを執拗にするのだ。その嫌がらせはどんどんエスカレートしていく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/90/dfbbe711a63413151369f792d2415b25.jpg)
ヘビー級の重くて暗い映画だ。
隣家からの徹底したイジメを見せつける。陰湿さはよくあるいじめっ子を題材とした映画と変わらない。でも、訳もわからず、いいかがりをつけて集団で個人をいじめる日本の学校でのイジメとは違う。理由がある。よそ者を拒絶する住民の振る舞いがテーマでも、「ヨーロッパ新世紀」が描く田舎社会の閉鎖性とは違う。地元民がすすめる土地の収用に同意すれば、ここまで嫌がらせはしないだろう。
たしかに隣家の兄弟の行為は異常でも、移住してきたこのフランス人夫婦に問題がないわけではない。この2人もかなり変人だ。ここまで意固地になって反対しなくてもいいのでは?別の村に移り住んでもいいのでは?と思ってしまう。既存の住民の利害を考えてあげるべきだと感じる。この補償金では再移住は無理と判断するとアントワーヌはいうが、詳細がわからないと判断しづらい。
それにしても、考え得る限りの嫌がらせが次々と映像に映る。気が滅入っていく。家の周りで立ちしょんするのは序の口で、井戸にバッテリーを入れたせいで、アントワーヌ夫妻が栽培するトマトがむちゃくちゃになる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/1b/8cfad8bcd54e95c58058ce1b76b2cd7b.jpg)
道路の真ん中にクルマを置いて待ち伏せして通さない意地悪もする。アントワーヌはハンディカメラでその愚行を撮影して対抗しようとする。地元警察に訴えるが、よくある近隣問題と相手にされない。そして、思い切って、アントワーヌは村の住民が集まるバーで隣の兄弟に直談判する。これが最初の長回しの映像になる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/5e/f16f17b844e79e7f9a5724a176245b7c.jpg)
観るのに目を背けたくなるシーンが多いけど、映画のレベルは高い。嫌がらせ兄弟と対峙する長回しは尋常ではない演技力が要求される。映画の中盤以降に、夫婦の娘が村を訪れて母親に「こんな村は出たほうがいい。何でこの地にずっといるの?フランスに帰った方がいいよ。」と延々とケンカしながら説得する長回しも用意されている。それぞれの立場を踏まえたセリフである。常識から逸脱したセリフではない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/ac/6699c2617ba3d0a8f4c50f6c5563601b.jpg)
長時間の長回し場面が2つあるので、最近よくある150分を超える上映時間になってもおかしくない。うまくまとめている。内容は盛りだくさんだ。いずれにしても息が詰まるシリアスドラマであった。サスペンススリラーの要素もあって観客を適度にじらす。行方不明の夫の姿を見せそうで見せない。気が滅入っている時は観ない方がいいかもしれない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7b/41/cf465a49ce521cda48232fa3d87b49ba.jpg)
映画「理想郷」はスペインの田舎町に終の住まいを求めて移住したフランス人夫婦が地元民に疎外されるシリアスドラマだ。「おもかげ」のロドリゴ・ソロゴイェンの監督・脚本作品である。昨年の東京国際映画祭でグランプリを受賞した。「苦い涙」など最近出番の多いフランス人俳優ドゥニ・メノーシェが移住した夫婦の夫を演じる。欧州の田舎での閉鎖性は先日公開の「ヨーロッパ新世紀」でも取り上げられていた。アジア人移民を拒絶する村が題材だった。この映画は外部から来た移住者への閉鎖性というよりも、言うことを聞かない移住者へのイジメ映画の色彩が強い。
スペインのガリシア地方の山村に、理想の住処を求めてフランス人夫婦アントワーヌ(ドゥニ・メノーシェ)とオルガ(マリナ・フォイス)が移住する。その村には風力発電建設のための土地買収の話が来ている。アントワーヌは反対の立場であった。アントワーヌは少数派で、隣地に住む兄弟は補償金が入るのに、このままでは他のエリアに候補地が行ってしまうと当惑する。そして、あの手この手でアントワーヌ家に嫌がらせを執拗にするのだ。その嫌がらせはどんどんエスカレートしていく。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/90/dfbbe711a63413151369f792d2415b25.jpg)
ヘビー級の重くて暗い映画だ。
隣家からの徹底したイジメを見せつける。陰湿さはよくあるいじめっ子を題材とした映画と変わらない。でも、訳もわからず、いいかがりをつけて集団で個人をいじめる日本の学校でのイジメとは違う。理由がある。よそ者を拒絶する住民の振る舞いがテーマでも、「ヨーロッパ新世紀」が描く田舎社会の閉鎖性とは違う。地元民がすすめる土地の収用に同意すれば、ここまで嫌がらせはしないだろう。
たしかに隣家の兄弟の行為は異常でも、移住してきたこのフランス人夫婦に問題がないわけではない。この2人もかなり変人だ。ここまで意固地になって反対しなくてもいいのでは?別の村に移り住んでもいいのでは?と思ってしまう。既存の住民の利害を考えてあげるべきだと感じる。この補償金では再移住は無理と判断するとアントワーヌはいうが、詳細がわからないと判断しづらい。
それにしても、考え得る限りの嫌がらせが次々と映像に映る。気が滅入っていく。家の周りで立ちしょんするのは序の口で、井戸にバッテリーを入れたせいで、アントワーヌ夫妻が栽培するトマトがむちゃくちゃになる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/02/1b/8cfad8bcd54e95c58058ce1b76b2cd7b.jpg)
道路の真ん中にクルマを置いて待ち伏せして通さない意地悪もする。アントワーヌはハンディカメラでその愚行を撮影して対抗しようとする。地元警察に訴えるが、よくある近隣問題と相手にされない。そして、思い切って、アントワーヌは村の住民が集まるバーで隣の兄弟に直談判する。これが最初の長回しの映像になる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/75/5e/f16f17b844e79e7f9a5724a176245b7c.jpg)
観るのに目を背けたくなるシーンが多いけど、映画のレベルは高い。嫌がらせ兄弟と対峙する長回しは尋常ではない演技力が要求される。映画の中盤以降に、夫婦の娘が村を訪れて母親に「こんな村は出たほうがいい。何でこの地にずっといるの?フランスに帰った方がいいよ。」と延々とケンカしながら説得する長回しも用意されている。それぞれの立場を踏まえたセリフである。常識から逸脱したセリフではない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/ac/6699c2617ba3d0a8f4c50f6c5563601b.jpg)
長時間の長回し場面が2つあるので、最近よくある150分を超える上映時間になってもおかしくない。うまくまとめている。内容は盛りだくさんだ。いずれにしても息が詰まるシリアスドラマであった。サスペンススリラーの要素もあって観客を適度にじらす。行方不明の夫の姿を見せそうで見せない。気が滅入っている時は観ない方がいいかもしれない。