映画「ボレロ 永遠の旋律」を映画館で観てきました。
映画「ボレロ 永遠の旋律」は作曲家モーリス・ラヴェルの名曲「ボレロ」の誕生秘話を中心にラヴェルの人生に迫るフランス映画。監督は「ココシャネル」のアンヌフォンテーヌ、ラヴェルを演じるのはアランドロン2世と言われたラファエル・ペルソナである。「ボレロ」の名前を知らない人でも、誰もがどこかで聴いたことがあるだろう。古くはホンダプレリュードのCMが有名だ。ラヴェル自身の経歴を知るのははじめてである。
1927年から28年にかけてのパリ、人気作曲家兼ピアニストとして名声を得ているモーリスラヴェル(ラファエルペルソナ)はスランプに陥っていた。評論家からの酷評に頭を悩ませていた。ラヴェルにバレエダンサーのイダ・ルビンシュタイン(ジャンヌ・バリバール)にバレエ音楽の依頼を受ける。別のピアノ曲「イベリア」を編曲して対応する予定がすでに別の編曲作品があり、自ら作曲することに方針変更する。
家政婦が好みの流行曲「バレンシア」をラヴェルがピアノで奏でた時に発想を得て「ボレロ」の主旋律を思いつく。1分間の主旋律を17分にわたり楽器を替えて繰り返して盛り上げる曲の構成を考えて完成させる。この曲の生むセクショナルな響きをバレエに表現したイダのバレエダンスを気に入っていなかったが、公演会場にいやいや向かう。
ボレロ以外にも奏でられるラヴェルの曲が心地よい。1920年代後半のパリの建物やインテリア、上流階級の衣装も美しい映像となって快適に映画を観ることができた。
居住していた実在の建物「モーリスラヴェル博物館」のロケもふんだんに多い。
海辺の別荘地で海岸を歩くシーンも優雅だ。
子供の頃から古典派のベートーヴェンやモーツァルトなどの人生は絵本で知っているし、20世紀のマーラーやラフマニノフも映画などで取り上げられて知っている。その一方でモーリスラヴェルの私生活については知らない。独身を通したラヴェルの人生を少しづつ追っていくのではない。ラヴェルが名曲「ボレロ」を作曲するきっかけから作品発表とそれ以降の経緯を1927年から1928年を中心にして、過去に時間を戻したり進めたりする。
傑作というような展開ではない。ちょっと間延びしすぎかな。フランス映画界で欠かせない存在になってきたラファエルペルソナは絶賛とまでいかないが好演だ。直近では「ジュリア」など自分のブログでも随分と取り上げている。3人の女性はいずれもオバサンでさほど魅力的でもない。でも、バレエダンサーのジャンヌ・バリバールに存在感を感じる。銀座高級クラブの年増マダムのような雰囲気だ。
⒈周囲の女性たちと娼館
映画が始まり、主な登場人物である3人の女性が出てくる。ラヴェルが独身であるということには触れずに映画が進み、この女性たちっていったいラヴェルにとってどういう存在なんだろうと考える。結局、3人がバレエダンサーとラヴェルに親しみを持つ人妻とピアニストだということがわかっていく。恋愛感情と友情の境目で長期間ラヴェルの近くにいる。
バイセクシャルの匂いは映画では出てこない。ラヴェルは男色家ではなさそうだ。エマストーンの「哀れなるものたち」にも出てきたゴージャスなパリの娼館に行き、女性を指名するが何もしない。洋服も脱がさない。結局「不能」だったのか、大好きな母親のことが心に引っ掛かるマザコンだったのか真相はよめない。
⒉官能的なバレエシーン
いかにも1920年代のパリを思わせるファッションとメイクのバレエダンサーを映画に放つ。もともとはイダの依頼でつくった「ボレロ」だった。「ボレロ」を奏でるオーケストラを従えて、イダが踊るバレエはいかにも娼婦の振る舞いだ。ラヴェルはそれが気に入らず憤慨する。そんなエロティックイメージで作ったわけではないと。
結局、イダは「ボレロ」を使った創作バレエを発表する。バレエダンサーを演じるジャンヌ・バリバールがメインで男性バレエダンサーとともに官能的なバレエを披露する。圧巻だ。映画を観ていて得した気分になる。もちろん会場は大喝采で、いつもラヴェルをいじめる辛口評論家の評判もいい。バレエをよく思っていなかったラヴェルも機嫌が良くなる。映画の見どころだ。
⒊アメリカでのコンサート活動とジャズ
「ボレロ」が有名だけど、ラヴェルはピアノ曲として「亡き王女のためのパヴァーヌ」などのポピュラーな名曲も残している。バックグラウンドミュージックとしてどこかで聴いたことのある曲が多い。透明な肌あいの聴き心地の良いピアノ曲だ。
「ボレロ」を作る頃ピアニストとして渡米してコンサート活動を行っている。ジャズを聴いた方がいいといわれて、ニューヨークのジャズクラブに入るシーンがある。ニューヨークロケなのだろうか?暗い街路を歩くシーンがいい。そこでは黒人女性ボーカルがサックスをバックにジョージガーシュインの「私の彼氏(The man I love)」を歌う。ラヴェルも思わず気に入ってしまう。ジャズに関する評価も高いコメントをするようになる。1928年あたりでこんなモダンジャズ風に演奏していたのかと思うが、「私の彼氏」は1924年の作曲だった。
⒋認知症になってしまうラヴェル
1937年のシーンではラヴェルは記憶障害を起こしてしまっている。レコードで「ボレロ」を聴いても誰の歌だかわからない。ラヴェルは享年62歳だ。そんな若くして認知症になってしまうの?と思ってしまう。妄想で生きていく。
映画「ボレロ 永遠の旋律」は作曲家モーリス・ラヴェルの名曲「ボレロ」の誕生秘話を中心にラヴェルの人生に迫るフランス映画。監督は「ココシャネル」のアンヌフォンテーヌ、ラヴェルを演じるのはアランドロン2世と言われたラファエル・ペルソナである。「ボレロ」の名前を知らない人でも、誰もがどこかで聴いたことがあるだろう。古くはホンダプレリュードのCMが有名だ。ラヴェル自身の経歴を知るのははじめてである。
1927年から28年にかけてのパリ、人気作曲家兼ピアニストとして名声を得ているモーリスラヴェル(ラファエルペルソナ)はスランプに陥っていた。評論家からの酷評に頭を悩ませていた。ラヴェルにバレエダンサーのイダ・ルビンシュタイン(ジャンヌ・バリバール)にバレエ音楽の依頼を受ける。別のピアノ曲「イベリア」を編曲して対応する予定がすでに別の編曲作品があり、自ら作曲することに方針変更する。
家政婦が好みの流行曲「バレンシア」をラヴェルがピアノで奏でた時に発想を得て「ボレロ」の主旋律を思いつく。1分間の主旋律を17分にわたり楽器を替えて繰り返して盛り上げる曲の構成を考えて完成させる。この曲の生むセクショナルな響きをバレエに表現したイダのバレエダンスを気に入っていなかったが、公演会場にいやいや向かう。
ボレロ以外にも奏でられるラヴェルの曲が心地よい。1920年代後半のパリの建物やインテリア、上流階級の衣装も美しい映像となって快適に映画を観ることができた。
居住していた実在の建物「モーリスラヴェル博物館」のロケもふんだんに多い。
海辺の別荘地で海岸を歩くシーンも優雅だ。
子供の頃から古典派のベートーヴェンやモーツァルトなどの人生は絵本で知っているし、20世紀のマーラーやラフマニノフも映画などで取り上げられて知っている。その一方でモーリスラヴェルの私生活については知らない。独身を通したラヴェルの人生を少しづつ追っていくのではない。ラヴェルが名曲「ボレロ」を作曲するきっかけから作品発表とそれ以降の経緯を1927年から1928年を中心にして、過去に時間を戻したり進めたりする。
傑作というような展開ではない。ちょっと間延びしすぎかな。フランス映画界で欠かせない存在になってきたラファエルペルソナは絶賛とまでいかないが好演だ。直近では「ジュリア」など自分のブログでも随分と取り上げている。3人の女性はいずれもオバサンでさほど魅力的でもない。でも、バレエダンサーのジャンヌ・バリバールに存在感を感じる。銀座高級クラブの年増マダムのような雰囲気だ。
⒈周囲の女性たちと娼館
映画が始まり、主な登場人物である3人の女性が出てくる。ラヴェルが独身であるということには触れずに映画が進み、この女性たちっていったいラヴェルにとってどういう存在なんだろうと考える。結局、3人がバレエダンサーとラヴェルに親しみを持つ人妻とピアニストだということがわかっていく。恋愛感情と友情の境目で長期間ラヴェルの近くにいる。
バイセクシャルの匂いは映画では出てこない。ラヴェルは男色家ではなさそうだ。エマストーンの「哀れなるものたち」にも出てきたゴージャスなパリの娼館に行き、女性を指名するが何もしない。洋服も脱がさない。結局「不能」だったのか、大好きな母親のことが心に引っ掛かるマザコンだったのか真相はよめない。
⒉官能的なバレエシーン
いかにも1920年代のパリを思わせるファッションとメイクのバレエダンサーを映画に放つ。もともとはイダの依頼でつくった「ボレロ」だった。「ボレロ」を奏でるオーケストラを従えて、イダが踊るバレエはいかにも娼婦の振る舞いだ。ラヴェルはそれが気に入らず憤慨する。そんなエロティックイメージで作ったわけではないと。
結局、イダは「ボレロ」を使った創作バレエを発表する。バレエダンサーを演じるジャンヌ・バリバールがメインで男性バレエダンサーとともに官能的なバレエを披露する。圧巻だ。映画を観ていて得した気分になる。もちろん会場は大喝采で、いつもラヴェルをいじめる辛口評論家の評判もいい。バレエをよく思っていなかったラヴェルも機嫌が良くなる。映画の見どころだ。
⒊アメリカでのコンサート活動とジャズ
「ボレロ」が有名だけど、ラヴェルはピアノ曲として「亡き王女のためのパヴァーヌ」などのポピュラーな名曲も残している。バックグラウンドミュージックとしてどこかで聴いたことのある曲が多い。透明な肌あいの聴き心地の良いピアノ曲だ。
「ボレロ」を作る頃ピアニストとして渡米してコンサート活動を行っている。ジャズを聴いた方がいいといわれて、ニューヨークのジャズクラブに入るシーンがある。ニューヨークロケなのだろうか?暗い街路を歩くシーンがいい。そこでは黒人女性ボーカルがサックスをバックにジョージガーシュインの「私の彼氏(The man I love)」を歌う。ラヴェルも思わず気に入ってしまう。ジャズに関する評価も高いコメントをするようになる。1928年あたりでこんなモダンジャズ風に演奏していたのかと思うが、「私の彼氏」は1924年の作曲だった。
⒋認知症になってしまうラヴェル
1937年のシーンではラヴェルは記憶障害を起こしてしまっている。レコードで「ボレロ」を聴いても誰の歌だかわからない。ラヴェルは享年62歳だ。そんな若くして認知症になってしまうの?と思ってしまう。妄想で生きていく。