映画「レヴェナント」を映画館で見てきました。
レオナルド・ディカプリオが念願のアカデミー賞主演男優賞を受賞した「レヴェナント」は、演技、ビジュアル、音響効果いずれもすぐれた総合的完成度が極めて高い近年まれにみる傑作だ。当然今年一番の作品と評価されることは間違いあるまい。上映時間は157分と長いが、途中飽きることなく次に何が起こるのかとドキドキしながらみていた。
エマニュエル・ルベツキが撮影監督なので、映像美を楽しめるだろうというくらいの個別情報最小限で見に行った作品だった。映画が始まってから、いつの時代なのかという説明は一切なく、野生動物に立ち向かう主人公たちとそれに対抗する先住民らしき集団との対決が見られるので、西部劇と同じような年代だと想像する。それでも人物同士の関係がよくわからんと思っていると、レオナルド・ディカプリオがクマに襲われるシーンが出てくるのだ。これが迫力ある。それで一気に映像に引き込まれる。
どうなっちゃんのだろうと映像に注目するうちに、次から次へと凄いシーンが続いていき、ようやくそういうことなのかとわかっていく。
余計な説明は一切ないが、究極のサバイバル物語だということがわかっていくのだ。
西部開拓時代のアメリカ、野生動物の狩猟をして毛皮を採取するハンターチームはネイティブアメリカンの一団に襲われ命からがら船で川を下る。チームのひとり、ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は息子、ホークとともにガイドとして同行していた。翌早朝、グラスは見回り中に子連れの熊に襲われ、瀕死の重傷を負う。チームは担架でグラスを運ぶが瀕死でもあることから、隊長のアンドリュー・ヘンリーが死ぬまで見届け埋葬する者を募ると、ホークとフィッツジェラルド(トム・ハーディ)、若いブリッジャー(ウィル・ポールター)が残ることになった。フィッツジェラルドは足手まといのグラスを殺そうとするところをホークに見つかり銃を向けられるが、返り討ちにしてしまう。フィッツジェラルドはブリッジャーを騙しグラスに土をかけその場を離れる。グラスはその一部始終を見ていたが、声は出ず身体は動けない。グラスは奇跡的に一命をとりとめ、息子を殺したフィッツジェラルドを追う。
1.レオナルド・ディカプリオ&トム・ハーディ
レオナルド・ディカプリオのこの映画での演技をみれば、誰もアカデミー賞主演男優賞受賞に異議を唱える人はいないであろう。熊に襲われるシーンで度肝を抜かれた後も、瀕死の重傷であえぐシーンや急流の川で流されていくシーン、追われて逃げた時に馬が転落死してしまいその馬の内臓を引っぱり出し、寒さに耐えるためにその中で寝るシーンなど見どころが満載だ。スタントを使っている時もあるだろうけど、川の中にいる魚を手づかみで捕り生のままで食べるシーンはCGのはずはない。ともかく凄いサバイバルシーンをよく演じたものだ。
トム・ハーディはここ近年でもっとも力をつけている俳優だろう。「ダークナイト・ライジング」における不死身の悪役を演じてから「マッドマックス」そして「レヴェナント」と話題作に連続して登場している。ここでは悪役に徹している。今回のアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたが、いくらなんでも今回は相手が強すぎ、「ブリッジオブスパイ」のマーク・ライランスや「クリード」のシルベスター・スターローンには勝てないよなあ。
2.監督 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
この監督の作品にハズレはない。今もっとも注目すべき監督だと思う。自分も「21グラム」で注目してから菊池直子の出演で日本でも注目を浴びた「バベル」、バビエルバルデム盤「生きる」とも言うべき「ビューティフル」などいい作品が続き「バードマン」でアカデミー賞を受賞、それに引き続くこの映画のレベルが半端じゃない。
極寒のロケ地を選ぶためのロケハンに成功することがこの映画成功の必要条件だと思う。一部セットもあると思うが、アメリカ、カナダ、アルゼンチン、メキシコとロケをしたそうだ。そのロケ地の選択とあわせて、エマニュアル・ルベツキの撮影が加われば鬼に金棒だ。そして先住民と闘いを交えたり、格闘をするシーンではかなり過酷な演技要求をしている。どこまでが本気なのかわからないが、それに配役のそれぞれが期待にこたえている。お見事としか言いようにない。
3.撮影 エマニュアル・ルベツキ
「ゼログラヴィティ」でサンドラブロックの優雅な宇宙遊泳を映しだし、「バードマン」では一筆書きのように1つの映画の中で連続性あふれる映像を描いた。手持ちカメラで劇場内における主人公を追いかけて行った映像が印象に残る。この2作でアカデミー賞撮影賞を連続で受賞した。まさしく当代きってのすばらしい撮影者だ。
自分はベンアフレック主演「トゥザワンダー」の映像で度肝を抜かれた。映像コンテの選択がうまく、5~7秒程度のカット割りの多い連続した映像のどれもこれもがすばらしい。この映画では当初の格闘部分で「バードマン」の時と同様の一筆書きのような映像が続き、「トゥザワンダー」のような美しい映像コンテが5~7秒程度次から次へと続くのと組み合わさる。CGを使ったものもあると思うが、いったいどうやって撮ったんだろうと思わせるシーンが続く。なんとすばらしい映像だろう。映画史上最強の撮影者だと思う。
4.音楽 坂本龍一
これもすばらしい。甲高くバックで音楽が鳴り響くというわけでない。それぞれの場面にあわせて、美しく同化している。音楽がある時間は決して多くはない。嫌味がなくそのどれもが心地良いものである。おそらくは監督と念入りに打合せをしたのであろう。映像にマッチするというのがここまでうまくいっている作品は少ない。
レオナルド・ディカプリオが念願のアカデミー賞主演男優賞を受賞した「レヴェナント」は、演技、ビジュアル、音響効果いずれもすぐれた総合的完成度が極めて高い近年まれにみる傑作だ。当然今年一番の作品と評価されることは間違いあるまい。上映時間は157分と長いが、途中飽きることなく次に何が起こるのかとドキドキしながらみていた。
エマニュエル・ルベツキが撮影監督なので、映像美を楽しめるだろうというくらいの個別情報最小限で見に行った作品だった。映画が始まってから、いつの時代なのかという説明は一切なく、野生動物に立ち向かう主人公たちとそれに対抗する先住民らしき集団との対決が見られるので、西部劇と同じような年代だと想像する。それでも人物同士の関係がよくわからんと思っていると、レオナルド・ディカプリオがクマに襲われるシーンが出てくるのだ。これが迫力ある。それで一気に映像に引き込まれる。
どうなっちゃんのだろうと映像に注目するうちに、次から次へと凄いシーンが続いていき、ようやくそういうことなのかとわかっていく。
余計な説明は一切ないが、究極のサバイバル物語だということがわかっていくのだ。
西部開拓時代のアメリカ、野生動物の狩猟をして毛皮を採取するハンターチームはネイティブアメリカンの一団に襲われ命からがら船で川を下る。チームのひとり、ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は息子、ホークとともにガイドとして同行していた。翌早朝、グラスは見回り中に子連れの熊に襲われ、瀕死の重傷を負う。チームは担架でグラスを運ぶが瀕死でもあることから、隊長のアンドリュー・ヘンリーが死ぬまで見届け埋葬する者を募ると、ホークとフィッツジェラルド(トム・ハーディ)、若いブリッジャー(ウィル・ポールター)が残ることになった。フィッツジェラルドは足手まといのグラスを殺そうとするところをホークに見つかり銃を向けられるが、返り討ちにしてしまう。フィッツジェラルドはブリッジャーを騙しグラスに土をかけその場を離れる。グラスはその一部始終を見ていたが、声は出ず身体は動けない。グラスは奇跡的に一命をとりとめ、息子を殺したフィッツジェラルドを追う。
1.レオナルド・ディカプリオ&トム・ハーディ
レオナルド・ディカプリオのこの映画での演技をみれば、誰もアカデミー賞主演男優賞受賞に異議を唱える人はいないであろう。熊に襲われるシーンで度肝を抜かれた後も、瀕死の重傷であえぐシーンや急流の川で流されていくシーン、追われて逃げた時に馬が転落死してしまいその馬の内臓を引っぱり出し、寒さに耐えるためにその中で寝るシーンなど見どころが満載だ。スタントを使っている時もあるだろうけど、川の中にいる魚を手づかみで捕り生のままで食べるシーンはCGのはずはない。ともかく凄いサバイバルシーンをよく演じたものだ。
トム・ハーディはここ近年でもっとも力をつけている俳優だろう。「ダークナイト・ライジング」における不死身の悪役を演じてから「マッドマックス」そして「レヴェナント」と話題作に連続して登場している。ここでは悪役に徹している。今回のアカデミー賞助演男優賞にノミネートされたが、いくらなんでも今回は相手が強すぎ、「ブリッジオブスパイ」のマーク・ライランスや「クリード」のシルベスター・スターローンには勝てないよなあ。
2.監督 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
この監督の作品にハズレはない。今もっとも注目すべき監督だと思う。自分も「21グラム」で注目してから菊池直子の出演で日本でも注目を浴びた「バベル」、バビエルバルデム盤「生きる」とも言うべき「ビューティフル」などいい作品が続き「バードマン」でアカデミー賞を受賞、それに引き続くこの映画のレベルが半端じゃない。
極寒のロケ地を選ぶためのロケハンに成功することがこの映画成功の必要条件だと思う。一部セットもあると思うが、アメリカ、カナダ、アルゼンチン、メキシコとロケをしたそうだ。そのロケ地の選択とあわせて、エマニュアル・ルベツキの撮影が加われば鬼に金棒だ。そして先住民と闘いを交えたり、格闘をするシーンではかなり過酷な演技要求をしている。どこまでが本気なのかわからないが、それに配役のそれぞれが期待にこたえている。お見事としか言いようにない。
3.撮影 エマニュアル・ルベツキ
「ゼログラヴィティ」でサンドラブロックの優雅な宇宙遊泳を映しだし、「バードマン」では一筆書きのように1つの映画の中で連続性あふれる映像を描いた。手持ちカメラで劇場内における主人公を追いかけて行った映像が印象に残る。この2作でアカデミー賞撮影賞を連続で受賞した。まさしく当代きってのすばらしい撮影者だ。
自分はベンアフレック主演「トゥザワンダー」の映像で度肝を抜かれた。映像コンテの選択がうまく、5~7秒程度のカット割りの多い連続した映像のどれもこれもがすばらしい。この映画では当初の格闘部分で「バードマン」の時と同様の一筆書きのような映像が続き、「トゥザワンダー」のような美しい映像コンテが5~7秒程度次から次へと続くのと組み合わさる。CGを使ったものもあると思うが、いったいどうやって撮ったんだろうと思わせるシーンが続く。なんとすばらしい映像だろう。映画史上最強の撮影者だと思う。
4.音楽 坂本龍一
これもすばらしい。甲高くバックで音楽が鳴り響くというわけでない。それぞれの場面にあわせて、美しく同化している。音楽がある時間は決して多くはない。嫌味がなくそのどれもが心地良いものである。おそらくは監督と念入りに打合せをしたのであろう。映像にマッチするというのがここまでうまくいっている作品は少ない。