映画「スポットライト 世紀のスクープ」を映画館で見てきました。
「スポットライト」は2015年度のアカデミー賞作品賞、脚本賞に輝く作品である。余計な先入観なく見に行った。神父による性的虐待事件の取材活動が進み、真実が暴かれていく姿に緊迫感を感じた。丹念にインタビュー重ねるだけでなく、あらゆる記録を調べていく。ミステリーのように予想外の結末でないのはわかっていることながらドキドキ感が高まっていく作品だった。
それにしても神父から子どもたちへの性的虐待はひどい。ここまでカトリック教会がハチャメチャになっているのを世の教会通いの信者さんたちは知っているのであろうか?教会だけでなく、学校の教師にも神父たちはいて、次から次へと色狂いがわかっていく。自分が無宗教で本当によかったと思わせる映画である。
2001年の夏、ボストン・グローブ紙に新しい編集局長のマーティ・バロン(リーヴ・シュレイバー)が着任する。
マイアミからやってきたアウトサイダーのバロンは、地元出身の誰もがタブー視するカトリック教会の権威にひるまず、ある神父による性的虐待事件を詳しく掘り下げる方針を打ち出す。その担当を命じられたのは、独自の極秘調査に基づく特集記事欄《スポットライト》を手がける4人の記者たち。デスクのウォルター"ロビー"ロビンソン(マイケル・キートン)をリーダーとするチームは、事件の被害者や弁護士らへの地道な取材を積み重ね、大勢の神父が同様の罪を犯しているおぞましい実態と、その背後に教会の隠蔽システムが存在する疑惑を探り当てる。
やがて9.11同時多発テロ発生による一時中断を余儀なくされながらも、チームは一丸となって教会の罪を暴くために闘い続けるのだった・・・。(作品情報より)
1.聖職者の独身
こういった神父からの性的虐待はボストンだけの問題ではないようだ。エンディングロールで示すように、今回の報道がきっかけで数多くの都市で同じような事件が繰り返されていたことがわかった。
でもこれって、カトリックの神父が結婚できないとこが大きな原因であることは間違いあるまい。聖職者の俗人化や聖職売買で一気に進んだ腐敗をなくすために、カノッサの屈辱で有名な教皇グレゴリウス7世がおこなった改革で聖職者が独身であるべきということになる。まさに11世紀から12世紀の中世の暗黒時代に定まったことがそのまま現在まで残っている。
一方でプロテスタントの聖職者は結婚ができる。宗教改革の先駆者マルティン・ルターは結婚しているし、カルヴァンも「キリスト教綱要」で独身制を否定している。これは私見だけど、ルターがサンピエトロ寺院建設のための免罪符による腐敗を訴えることが宗教改革のきっかけになったというのが世界史の教科書にあることだ。でも本当は聖職者が結婚できないことに不満だったことが改革を起こした原因だったりして。
東西両教会が歴史的面談をするような時代になったわけだから、少しは考え直した方がいいのでは??
2.米国新聞の取材
特集記事欄のチームということで精鋭が集められているという設定である。そのこと自体がはっきりと映像に示される。徹底的なインタビュー取材、ある仮説をたてるための分析とそこでピックアップされた人物への徹底取材、そして裁判記録の確認などなかなかすごいなあと思わせる新聞記者たちの動きである。議事録が削除されていることに疑問を感じて、カトリック教会から圧力があったことがわかりそれを懸命に追及する。そういう動きをかなりやってもすぐさま記事にしない。記者たちはものすごいフラストレーションを感じたと思うが、時期が来るのを待つ。この辺のもどかしさをこの映画では映像で示している。なかなかうまい。
3.近年アメリカ映画の俳優たちの名演
エンディングロールではマークラファロがクレジットトップである。マイケルキートンがリーダー役だっただけにちょっとこれは意外だ。マークラファロはここ数年いい作品にずいぶんと出ているが「フォックスキャッチャー」での殺されレスラー役が印象的だ。ここでも特ダネを持ってきたのに時期が来るまで待てとリーダーのマイケルキートンに言われ、激高して逆らうシーンの激しさが印象的だ。
マイケルキートンは前作「バードマン」でマイケル本人とかぶるような過去に栄光があった俳優を見事に演じあげた。「スポットライト」で二年連続でアカデミー賞にからみ、俳優としての地位を復活させているような気がする。
レイチェルマクアダムスも近年活躍がめだつ。個人的にはブライアンパルマ監督の「パッション」での悪女の演技が好きだ。
あとは編集長役のリーヴ・シュレイバーも近年の活躍が際立つ名優だ。「完全なるチェックメイト」でトビ―マクガイアのライバルである冷静沈着なチェスチャンピョン役が印象的だ。ここでも編集長役で肝心な場面で威厳のある言葉を語る。いい感じだ。
「スポットライト」は2015年度のアカデミー賞作品賞、脚本賞に輝く作品である。余計な先入観なく見に行った。神父による性的虐待事件の取材活動が進み、真実が暴かれていく姿に緊迫感を感じた。丹念にインタビュー重ねるだけでなく、あらゆる記録を調べていく。ミステリーのように予想外の結末でないのはわかっていることながらドキドキ感が高まっていく作品だった。
それにしても神父から子どもたちへの性的虐待はひどい。ここまでカトリック教会がハチャメチャになっているのを世の教会通いの信者さんたちは知っているのであろうか?教会だけでなく、学校の教師にも神父たちはいて、次から次へと色狂いがわかっていく。自分が無宗教で本当によかったと思わせる映画である。
2001年の夏、ボストン・グローブ紙に新しい編集局長のマーティ・バロン(リーヴ・シュレイバー)が着任する。
マイアミからやってきたアウトサイダーのバロンは、地元出身の誰もがタブー視するカトリック教会の権威にひるまず、ある神父による性的虐待事件を詳しく掘り下げる方針を打ち出す。その担当を命じられたのは、独自の極秘調査に基づく特集記事欄《スポットライト》を手がける4人の記者たち。デスクのウォルター"ロビー"ロビンソン(マイケル・キートン)をリーダーとするチームは、事件の被害者や弁護士らへの地道な取材を積み重ね、大勢の神父が同様の罪を犯しているおぞましい実態と、その背後に教会の隠蔽システムが存在する疑惑を探り当てる。
やがて9.11同時多発テロ発生による一時中断を余儀なくされながらも、チームは一丸となって教会の罪を暴くために闘い続けるのだった・・・。(作品情報より)
1.聖職者の独身
こういった神父からの性的虐待はボストンだけの問題ではないようだ。エンディングロールで示すように、今回の報道がきっかけで数多くの都市で同じような事件が繰り返されていたことがわかった。
でもこれって、カトリックの神父が結婚できないとこが大きな原因であることは間違いあるまい。聖職者の俗人化や聖職売買で一気に進んだ腐敗をなくすために、カノッサの屈辱で有名な教皇グレゴリウス7世がおこなった改革で聖職者が独身であるべきということになる。まさに11世紀から12世紀の中世の暗黒時代に定まったことがそのまま現在まで残っている。
一方でプロテスタントの聖職者は結婚ができる。宗教改革の先駆者マルティン・ルターは結婚しているし、カルヴァンも「キリスト教綱要」で独身制を否定している。これは私見だけど、ルターがサンピエトロ寺院建設のための免罪符による腐敗を訴えることが宗教改革のきっかけになったというのが世界史の教科書にあることだ。でも本当は聖職者が結婚できないことに不満だったことが改革を起こした原因だったりして。
東西両教会が歴史的面談をするような時代になったわけだから、少しは考え直した方がいいのでは??
2.米国新聞の取材
特集記事欄のチームということで精鋭が集められているという設定である。そのこと自体がはっきりと映像に示される。徹底的なインタビュー取材、ある仮説をたてるための分析とそこでピックアップされた人物への徹底取材、そして裁判記録の確認などなかなかすごいなあと思わせる新聞記者たちの動きである。議事録が削除されていることに疑問を感じて、カトリック教会から圧力があったことがわかりそれを懸命に追及する。そういう動きをかなりやってもすぐさま記事にしない。記者たちはものすごいフラストレーションを感じたと思うが、時期が来るのを待つ。この辺のもどかしさをこの映画では映像で示している。なかなかうまい。
3.近年アメリカ映画の俳優たちの名演
エンディングロールではマークラファロがクレジットトップである。マイケルキートンがリーダー役だっただけにちょっとこれは意外だ。マークラファロはここ数年いい作品にずいぶんと出ているが「フォックスキャッチャー」での殺されレスラー役が印象的だ。ここでも特ダネを持ってきたのに時期が来るまで待てとリーダーのマイケルキートンに言われ、激高して逆らうシーンの激しさが印象的だ。
マイケルキートンは前作「バードマン」でマイケル本人とかぶるような過去に栄光があった俳優を見事に演じあげた。「スポットライト」で二年連続でアカデミー賞にからみ、俳優としての地位を復活させているような気がする。
レイチェルマクアダムスも近年活躍がめだつ。個人的にはブライアンパルマ監督の「パッション」での悪女の演技が好きだ。
あとは編集長役のリーヴ・シュレイバーも近年の活躍が際立つ名優だ。「完全なるチェックメイト」でトビ―マクガイアのライバルである冷静沈着なチェスチャンピョン役が印象的だ。ここでも編集長役で肝心な場面で威厳のある言葉を語る。いい感じだ。