映画とライフデザイン

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スミス都へ行く  ジェームス・スチュアート

2011-07-17 16:27:43 | 映画(洋画 69年以前)
「スミス都へ行く」はフランク・キャプラ監督の1939年の古典的名作だ。政治を題材に汚職と戦う議員を描く。その後ヒッチコック映画でも活躍するジェームススチュアートの姿がまだ若々しく、強烈な迫力を見せる。

ある州の上院議員が突如亡くなる。後任候補は自薦他薦数多くいたが、指名を受けたのは少年団のリーダースミスことジェームススチュアートだ。少年たちには人気者だった。そんな彼をクロードレインズ演じる上院議員をはじめとした権力者たちが受け入れた。それは地元利権を握るテイラーの計画するダムの法案を通すため、政治に疎い者が望ましいという理由からだった。
田舎者のスミスは初めてのワシントンに戸惑った。変な誘惑も多かった。そのスミスは、少年キャンプ法案を提出した。ところが、その予定地こそ地元有力者テイラーたちの計画するダム建設予定地であった。ところが推進しようとして、逆にスミスが汚職の汚名を着せられる。そして上院から追放されそうになる。彼は失望し、リンカーン記念堂の中で、故郷に戻ろうと考えていた。そのとき、女性秘書があらわれ慰められるのであるが。。。。


巨匠フランクキャプラ監督らしい道徳的な正義感の色彩が強い作品だ。そののち汚職摘発の社会派映画は増えていくが、これはそのはしりだ。「素晴らしきかな人生」同様主人公を谷底までおとしめる。そこからの復活が見モノではある。何はともあれジェームススチュアートの強烈な激情に感動させられる。ありえないように思える話とも思えるが、彼のセリフが持つパワーが凄い。機関銃のようだ。のちの紳士風演技から比較すると彼の動きの若々しさに驚く。

その彼が対決するのがクロードレインズだ。「カサブランカ」の浪花節警察署長、「汚名」の陰謀含みの首謀者、「アラビアのロレンス」の老軍師など味のある演技を見せる彼がここでも活躍する。嫌味な役柄だ。土壇場の逆転は意外な感じだ。

大恐慌から徐々に回復に向かおうとする30年代アメリカの話だけに、ダムがテーマになる。少年のころはニューディール政策は素晴らしいと社会の時間に習ったものだ。ここでのダムが本当にダメなものなのかはわからない。でも経済活動はすべて悪と決め付けるような言論があることも事実だ。水戸黄門の話に悪代官と悪徳商人の結託がくりかえし出てくる。そんな話にすべて片付けてしまうのもどうか。
そういえばさいたま市を選挙区に持つ某官房長官の選挙ポスターには「腐敗は許さない」と書いてあったものだ。そんな正義感を持つ政治家であっても、権力をもつとただの人だ。原発を悪代官と悪徳商人の結託のように語ってもらったら困る。経済音痴を地で行くような発言も目立ち、脱原発を掲げて日本を廃墟に導こうとしているのが映画を見ながら急に連想された。

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