映画「二郎は鮨の夢を見る」
すごいドキュメンタリーである。
銀座の名店すきやばし次郎を撮った映画の存在は知っていたが、こんなレベルまで達しているとは思わなかった。
1度ならず2度見てしまった。いやもっと見てみたいと思わせるすばらしい作品だ。
東京・銀座の地下にあるたった10席ほどの鮨店・すきやばし次郎の店主・小野二郎。88歳の今でも職と技に対するこだわりを持つ彼が握る鮨は、「ミシュランガイド東京」で7年連続で最高の三つ星の評価を受け、フランス料理最高シェフのジョエル・ロブションや、ハリウッドセレブなど、世界中の食通たちをうならせてきた。
そんな彼の作り上げていく鮨の味に驚嘆し、職人としての技や生き様に魅了された、アメリカ人監督のデヴィッド・ゲルブ。あのメトロポリタンオペラの総帥、ピーター・ゲルブ氏の息子でもある彼は、来日中に「すきやばし次郎」の鮨と出会い、その芸術性に感動して映画制作を決意。約3ヵ月にわたり東京、静岡と密着取材を敢行した。
(作品情報より)
おまかせ握り3万円也の銀座ならではの店、オバマ大統領が来日で寄ったことで一段と有名になっている。
何せ88歳にして現役ということ自体が凄すぎる。ここにきて予約の取りにくさが異常になっているらしい。
でもこの映画はその小野二郎さんだけを映し出しているわけではない。
実質本店店長の長男、六本木店の店長の二男の目に見えない葛藤を映しだすだけでなく、築地市場や下ごしらえをする職人たちにもカメラを向ける。それがいい。
1.築地のセリ
長男が自転車に乗って築地魚市場に向かう。まぐろ、えびそれぞれに最高の食材を次郎に提供する仲買人から仕入れる。そしてセリの場面が映し出される。かつてこんなに緊迫感のある映像で場内を映しだしたことってあるだろうか?少なくとも自分は見たことがない。何を言っているのかわからないセリ用語を発する築地のお兄さんの粋の良さはさすがである。
2.若い衆の手際の良さ
4人いる若い衆が分担して手際よく、下ごしらえをして焼き物などをつくっている。仕入れてきた活きの良い食材を捌いていく姿に驚く。アナゴにしろ単純にご飯にのっけて出すわけではない。若い衆がきっちりとした包丁さばきでつくったものを最終的に二郎さんが絶妙の手さばきでお客に出す。こういう助手たちの仕事ぶりにも感動した。
単なる個人プレイではなく、チームプレイだということに気づいた。
3.美しい握り
映像で美しい握りを映しだす。しなやかな二郎さんの手からお客の前に出されるその手つきも美しい。
人間国宝と言ってもいい二郎さんの姿を映し出すこの映像はずっと語り継がれるだろう。
4.水谷のおやじ
銀座の「水谷」と言えば、泣く子も黙る有名頑固おやじだ。その彼が以前次郎に修行していたとは知らなかった。水谷のオヤジが映画の中でインタビューを受けている。これがなかなかいい感じだ。さすがミシュラン三ッ星の銀座の老舗である。
5.昭和48年発行の「新東京うまい店」(柴田書店)
亡き父が所有していた40年前のグルメ本だ。團伊久磨や三井家の人をはじめとしてそうそうたるメンバーが共同で書いている。まさに口の肥えた人ばかりだ。そこに次郎のことが書いてある。(以下引用)
「久兵衛」「なか田」「与志乃」の三軒が銀座の、すなわち東京のうまい寿司屋の御三家というのが定評である。すぐそれに続く店が何軒かあるが、この「次郎」もその一つである。元来「与志乃」の数寄屋橋支店だったのが独立したのだから、御三家並みなのに不思議はない。
この店の気持ちのいいのは、清潔で明るく、若いモンの動作に一つのリズムがあり、気合いが漲っていることで、これは主人小野二郎君の人柄なのであろう。
そのルーツは知らなかった。昭和40年に独立と伝えられているから、昭和48年当時ではまだまだ開店してから歴も少ないはずだ。それでも評価が高い。今どき「君」付けで呼ぶ人はいないと思うけど。。。
「味は一流で、値段が二流のところが気に入っているんだ」と言って小野君を苦笑いさせている
さすがにこれは今は違うよね。
すごいドキュメンタリーである。
銀座の名店すきやばし次郎を撮った映画の存在は知っていたが、こんなレベルまで達しているとは思わなかった。
1度ならず2度見てしまった。いやもっと見てみたいと思わせるすばらしい作品だ。
東京・銀座の地下にあるたった10席ほどの鮨店・すきやばし次郎の店主・小野二郎。88歳の今でも職と技に対するこだわりを持つ彼が握る鮨は、「ミシュランガイド東京」で7年連続で最高の三つ星の評価を受け、フランス料理最高シェフのジョエル・ロブションや、ハリウッドセレブなど、世界中の食通たちをうならせてきた。
そんな彼の作り上げていく鮨の味に驚嘆し、職人としての技や生き様に魅了された、アメリカ人監督のデヴィッド・ゲルブ。あのメトロポリタンオペラの総帥、ピーター・ゲルブ氏の息子でもある彼は、来日中に「すきやばし次郎」の鮨と出会い、その芸術性に感動して映画制作を決意。約3ヵ月にわたり東京、静岡と密着取材を敢行した。
(作品情報より)
おまかせ握り3万円也の銀座ならではの店、オバマ大統領が来日で寄ったことで一段と有名になっている。
何せ88歳にして現役ということ自体が凄すぎる。ここにきて予約の取りにくさが異常になっているらしい。
でもこの映画はその小野二郎さんだけを映し出しているわけではない。
実質本店店長の長男、六本木店の店長の二男の目に見えない葛藤を映しだすだけでなく、築地市場や下ごしらえをする職人たちにもカメラを向ける。それがいい。
1.築地のセリ
長男が自転車に乗って築地魚市場に向かう。まぐろ、えびそれぞれに最高の食材を次郎に提供する仲買人から仕入れる。そしてセリの場面が映し出される。かつてこんなに緊迫感のある映像で場内を映しだしたことってあるだろうか?少なくとも自分は見たことがない。何を言っているのかわからないセリ用語を発する築地のお兄さんの粋の良さはさすがである。
2.若い衆の手際の良さ
4人いる若い衆が分担して手際よく、下ごしらえをして焼き物などをつくっている。仕入れてきた活きの良い食材を捌いていく姿に驚く。アナゴにしろ単純にご飯にのっけて出すわけではない。若い衆がきっちりとした包丁さばきでつくったものを最終的に二郎さんが絶妙の手さばきでお客に出す。こういう助手たちの仕事ぶりにも感動した。
単なる個人プレイではなく、チームプレイだということに気づいた。
3.美しい握り
映像で美しい握りを映しだす。しなやかな二郎さんの手からお客の前に出されるその手つきも美しい。
人間国宝と言ってもいい二郎さんの姿を映し出すこの映像はずっと語り継がれるだろう。
4.水谷のおやじ
銀座の「水谷」と言えば、泣く子も黙る有名頑固おやじだ。その彼が以前次郎に修行していたとは知らなかった。水谷のオヤジが映画の中でインタビューを受けている。これがなかなかいい感じだ。さすがミシュラン三ッ星の銀座の老舗である。
5.昭和48年発行の「新東京うまい店」(柴田書店)
亡き父が所有していた40年前のグルメ本だ。團伊久磨や三井家の人をはじめとしてそうそうたるメンバーが共同で書いている。まさに口の肥えた人ばかりだ。そこに次郎のことが書いてある。(以下引用)
「久兵衛」「なか田」「与志乃」の三軒が銀座の、すなわち東京のうまい寿司屋の御三家というのが定評である。すぐそれに続く店が何軒かあるが、この「次郎」もその一つである。元来「与志乃」の数寄屋橋支店だったのが独立したのだから、御三家並みなのに不思議はない。
この店の気持ちのいいのは、清潔で明るく、若いモンの動作に一つのリズムがあり、気合いが漲っていることで、これは主人小野二郎君の人柄なのであろう。
そのルーツは知らなかった。昭和40年に独立と伝えられているから、昭和48年当時ではまだまだ開店してから歴も少ないはずだ。それでも評価が高い。今どき「君」付けで呼ぶ人はいないと思うけど。。。
「味は一流で、値段が二流のところが気に入っているんだ」と言って小野君を苦笑いさせている
さすがにこれは今は違うよね。