始めから私事で申し訳ありません。けれども最初に書いておいた方が以下の話を信じて頂けれると思います。私は27年間国家公務員をしていました。国立大学の教官として働いていました。
その国家公務員の経験から、公務員の行動規範が理解できました。民間会社では売上高を増大させ、利潤を大きくするのが行動規範の基礎になります。国家公務員は自分の所属している部局のみの予算の増大と権限の拡大に努力しなければいけないのです。それが厳しい行動規範となっています。それを怠った人は出世できません。
先日、政府の発展途上国への援助予算、すなわちODA予算が19省庁にまたがって分散されていることを説明しました。これはまさしく予算争奪戦の結果起きた現象です。自分の部局の日本国内における権限拡大になるように予算を使用します。支援相手国の貧困層の支援は眼中に無いのが普通です。と、書きましたところ、強い賛成のコメントを頂きました。
何故、小沢さんにとってこの大切な時期に秘書さんが逮捕されたのでしょうか?その理由を想像して書いてみます。もとより一介の老人が何の証拠も無く書く推論です。これが真実であると主張するつもりは毛頭ありません。
検察庁も裁判所の国家機関で、そこで働いている人々は皆、国家公務員です。従って自分の役所の予算と定員枠を増大するのが行動規範です。しかし法律の専門家ですから醜い予算争奪戦は出来かねます。そこで一番無難なのは法律の許す範囲で政権担当与党の喜びそうな行動をとる。これが行動規範であり、ある場合には国策捜査とも呼ばれる行動です。
これは政府や与党が命令して行うものでも無く、またその必要もないのです。国家公務員の行動規範の遺伝子の中に組み込まれているようなものです。
小沢さんはこのことはを百もご承知だったに違いありません。それをあたかも政府が命令した国策捜査を暗示するような発言をしていました。国民は小沢さんへ同情したくなります。
検察庁や裁判所はかなり公平な専門家集団です。その名誉のため言えば彼らは厳正な法律の運用をします。検事や裁判官の数が圧倒的に少なく、激務が続いています。その精勤ぶりには頭が下がります。しかし政権与党の関係する事案についてはどうしても与党に有利になる方向になりがちです。国家公務員である限り当然です。
日本は三権分立です。決して与党が検察庁や裁判所へ命令など出す筈はありません。しかし残念ながら国家公務員に代表される官僚文化があまりにも強く根付いているのです。官僚文化は公務員に限りません。じつは日本の民間会社、とくに大企業のなかにも根付いているのです。その話はいずれ続編でいたしたいと思います。(続く)