後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

国家公務員の厳しい掟(1)何故小沢さんの秘書が逮捕されたか?

2009年03月14日 | うんちく・小ネタ

始めから私事で申し訳ありません。けれども最初に書いておいた方が以下の話を信じて頂けれると思います。私は27年間国家公務員をしていました。国立大学の教官として働いていました。

その国家公務員の経験から、公務員の行動規範が理解できました。民間会社では売上高を増大させ、利潤を大きくするのが行動規範の基礎になります。国家公務員は自分の所属している部局のみの予算の増大と権限の拡大に努力しなければいけないのです。それが厳しい行動規範となっています。それを怠った人は出世できません。

先日、政府の発展途上国への援助予算、すなわちODA予算が19省庁にまたがって分散されていることを説明しました。これはまさしく予算争奪戦の結果起きた現象です。自分の部局の日本国内における権限拡大になるように予算を使用します。支援相手国の貧困層の支援は眼中に無いのが普通です。と、書きましたところ、強い賛成のコメントを頂きました。

何故、小沢さんにとってこの大切な時期に秘書さんが逮捕されたのでしょうか?その理由を想像して書いてみます。もとより一介の老人が何の証拠も無く書く推論です。これが真実であると主張するつもりは毛頭ありません。

検察庁も裁判所の国家機関で、そこで働いている人々は皆、国家公務員です。従って自分の役所の予算と定員枠を増大するのが行動規範です。しかし法律の専門家ですから醜い予算争奪戦は出来かねます。そこで一番無難なのは法律の許す範囲で政権担当与党の喜びそうな行動をとる。これが行動規範であり、ある場合には国策捜査とも呼ばれる行動です。

これは政府や与党が命令して行うものでも無く、またその必要もないのです。国家公務員の行動規範の遺伝子の中に組み込まれているようなものです。

小沢さんはこのことはを百もご承知だったに違いありません。それをあたかも政府が命令した国策捜査を暗示するような発言をしていました。国民は小沢さんへ同情したくなります。

検察庁や裁判所はかなり公平な専門家集団です。その名誉のため言えば彼らは厳正な法律の運用をします。検事や裁判官の数が圧倒的に少なく、激務が続いています。その精勤ぶりには頭が下がります。しかし政権与党の関係する事案についてはどうしても与党に有利になる方向になりがちです。国家公務員である限り当然です。

日本は三権分立です。決して与党が検察庁や裁判所へ命令など出す筈はありません。しかし残念ながら国家公務員に代表される官僚文化があまりにも強く根付いているのです。官僚文化は公務員に限りません。じつは日本の民間会社、とくに大企業のなかにも根付いているのです。その話はいずれ続編でいたしたいと思います。(続く)


團伊玖磨「パイプのけむり」-八丈島

2009年03月14日 | 日記・エッセイ・コラム

随筆はこれまでに、いろいろ読みました。寺田寅彦、中谷宇吉郎、團伊玖磨などのものは長年愛読してきました。團伊玖磨の「パイプのけむり」はアサヒグラフに連載されていました。1963年に八丈島の樫立に別荘を作った翌年から2001年に亡くなる直前まで40年近く続いた随筆です。朝日新聞社から27巻の本として出版されていますので、お読みになった方々も多いと思います。

外国で仕事をしながら忙しく書いたものや、葉山の自宅や八丈島でゆっくり書いたものなど変化があって飽きさせません。世界の珍しい風物や人情、そして八丈島の自然、人々・植物のことなどが軽妙洒脱な筆致で活き活きと描いてあります。話題は多岐ですが、いずれも上品な書き方で、文章の裏に人間愛が流れています。読後の爽快感が忘れられません。

八丈島では團伊玖磨氏を誇りにしています。2002年の没後一周忌に團さんの別荘を公開し、遺品や著作を展示しました。島に昭和6年から続いている地方新聞、「南海タイムス」の2002年5月31日の掲載写真を示します。別荘内の書斎や著作の展示の写真です。尚、一番上の八丈島の風景写真は1月25日に私が撮影したものです。

今日も皆さまのご健康と平和をお祈り致します。    藤山杜人

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上の写真2枚の出典は、http://www.nankaitimes.com/ です。