忍野八海は延暦19年から21年(800年から802年)の富士山の北斜面の割れ目噴火で、その下にあった宇津湖が山中湖と忍野湖に分かれてたのが始まりです。山中湖は残りましたが新しく出来た忍野湖は間もなく干上がってしまいました。そして露呈した昔の湖底の8つの泉から延々と水が湧き出すようになったのです。
昨日、初春の忍野八海をたずね、その清々しい水の写真を撮って来ました。
正月2日で家族連が沢山来ていました。祖父母と孫達の呼び合う声が湧水群のまわりに響いていました。下の写真をお楽しみ頂ければ嬉しく思います。
それはそれとして、
今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)
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忍野八海には富士山の雪解け水を多量に湧き出ている泉が8つあります。
少し想像力を働かせると川の流入が無い河口湖、西湖、精進湖、本栖湖もすべて湖底にこのような湧水口が沢山あると考えられます。山中湖は流入する川が無いのに桂川が流れ出ています。湖底に忍野八海のような湧水口があるに違いありません。ですからこそ富士五湖は常に透明な美しい雪解け水を湛えているのです。飲めば美味しそうに見える水です。(でも絶対に飲まないで下さい)
このように考えてみると北海道の摩周湖も屈斜路湖も阿寒湖も流入する川がほとんど無いのに紺青の水を湛えているのです。ですから湖水は雪解け水や雨水が周囲の溶岩に濾過されて湖底から湧き出て溜まっていると想像できます。
こんな想像をしながら高原の湖を眺めるとその悠久の美しさがまた一段と味わい深いものになります。
下に参考資料をつけました。合わせてお読み頂ければ嬉しく思います。(終わり)
======参考資料==================
富士山は8万年位前から3つの大きな火山爆発で出来た山です。ですから三つの山が重なって居ます。古富士火山は約8万年前~約1万年前.新富士火山は約1万年前以降に爆発しています。
富士山の溶岩には流れにくくするSiO2 の含有量が少ないので、溶岩がサラサラと麓まで流れて美しい流線型の山になりました。そして爆発後の陥没も非常に少ないのが特徴です。
日本には、このような条件をそなえた火山は非常に少ないのです。多くは箱根山のように陥没していまい複雑な形をしたカルデラ地形になっています。
下の写真の青色、ピンク、褐色の3つの色に塗り分けて示してあります。つくば市にある地質標本館で撮ってきました。
なお、隣の箱根はずうっと古く、16万年前の火山で出来ました。
富士山のように高い山でしたが、爆発のあと地下がガランドウになって山が陥没してしまい、カルデラ湖の芦の湖だけになったそうです。
富士山は3つの火山が重なっています。古富士火山は約8万年前~約1万年前.新富士火山は約1万年前以降に出来た山です。
しかしそれでは大雑把過ぎると思い、少し詳しくご報告します。
経済産業省の産業技術総合研究所の一部門の地質調査総合センターが「数値地質図」という題目でCDシリーズを販売しています。そのG-9は富士火山地質図です。
その中にはいろいろな写真や図表や研究論文が収録されています。主な研究者は津屋博士で、その他にいろいろな資料が入っています。
それによると富士山は781年以来、下に示すように9回も爆発しているのです。
781年 7月 噴火:降灰
800-802年 割れ目噴火:北山腹, スコリア降下, 溶岩流
864-866年 割れ目噴火:北西山腹, スコリア降下, 溶岩流(青木ヶ原溶岩),「せの海」を二分して精進湖と西湖を形成
937年 12月 18日 割れ目噴火:北山腹, スコリア降下, 溶岩流
1033年 1月 19日 割れ目噴火:北山腹, スコリア降下, 溶岩流
1083年 4月 17日 噴火
1435年 割れ目噴火:北山腹, スコリア降下, 溶岩流
1511年 8月 噴火
1707年 12月 16日から月末まで プリニー式噴火:南東山腹(宝永火口), 軽石 & スコリア降下。
以上の爆発を見ると全てが主火口からの爆発ではなく山腹からの割れ目噴火である事が分かります。
下に宝永火口が写っている写真を転載させて頂きました。