日本列島は太平洋の底がユーラシア大陸にぶつかって盛り上がって出来ました。その後、桜島火山や、姶良(あいら)火山や阿蘇山や大山や富士山や浅間山が何回も噴火して火山灰を降り注ぎました。
水成岩(堆積岩)が盛り上がっで出来た険しい山々に降り注いだ火山灰は雨や雪に流されて平野に広がりました。
多くの人は平野に住んでいます。何層にも積もった火山灰の上に家を作って、住んでいるのです。
その何層にも積もった火山灰の様子は下の写真にあります。
伊豆の大島の火山が何回も噴火して作った大島の地層が見える場所です。舗装道路を作るために削ったのでこのように見えるのです。
(出典:http://www.s-yamaga.jp/nanimono/chikyu/oshima-chiso.jpg)
ところで今日はあまり馴染みの無い鹿児島の姶良(あいら)火山の大噴火について簡単にご紹介したいと思います。
下の写真は桜島を真ん中にした鹿児島湾(錦江湾)の写真です。この桜島の北側にあった姶良火山が29000年前に大爆発をして全国に火山灰を降り注いだのです。姶良火山のあった所は陥没して海なったのす。姶良火山は無くなりましたが姶良市は鹿児島湾の北に存在しています。
(出典;http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A7%B6%E8%89%AF%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%83%87%E3%83%A9)
私がこの29000年前の姶良火山の大噴火に興味を持つのはその火山灰層が全国の地層の年代を解明するカギになっているからです。
姶良火山の灰は大量に噴出したので、全国に厚く層状に堆積しているのです。そしてこの姶良層の成分を分析をすれば全国同じなのです。
考古学の研究で地面を慎重に掘っていくとこの姶良火山灰層にぶつかります。
その姶良層より下から石器が出てきたら29000年以上前の後期旧石器時代の石器の可能性があるのです。
この様に考古学的研究のための地層の年代が明確に分かっている地層を「鍵層」と言います。阿蘇山や大山や富士山や浅間山などの噴火の時期が確定できている火山灰層は「鍵層」として役に立っているそうです。
このようにして石器の出て来た地層からその石器の大体の古さが分かるのです。
しかし地層は静かに平らに整然と層状を成しているとは限りません。地滑りや洪水で乱れてしまいます。ですから石器が出てきても時代が分からない石器も多いと思います。
ところがどの博物館に行っても石器の年代が必ず書いてあります。私はそれを信用しません。年代不明の石器が陳列されていないから信用出来ないのです。
年代推定の誤差の範囲も書いていないのです。実に非科学的な展示です。
ついでに言えば放射性炭素の年代測定の誤差についても説明が無い場合が多いのです。
科学には誤差が付きものです。その事を子供のころから教えるのが正しい教育ではないでしょうか?まあ、お正月ですから、そんな細かい事は言わないことにします。
そして悠久の昔を想像し、雄大な気分になるのは心地良いものです。
悠々たる気分で、今年のお正月も終わって行きます。
それはそれとして、
今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)
====参考資料=======================
姶良Tn火山灰http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A7%B6%E8%89%AFTn%E7%81%AB%E5%B1%B1%E7%81%B0
姶良Tn火山灰(あいらてぃーえぬかざんばい)は、約2万9千年前~2万6千年前に姶良カルデラの巨大噴火で噴出した大量の火山灰である。(以前は約2万5000年前~2万年と考えられていた)Tnは丹沢を示す。この大噴火で噴出した火砕流が陸上を流れて堆積したものが入戸火砕流で、「シラス」の通称でよく知られている。同時に噴出した火山灰のうち、空中高く吹き上げられ、偏西風に乗って東方へ飛んでから地上に降下したものが姶良Tn火山灰(AT)となった。
名称の由来は、当初は丹沢山地に分布していることから丹沢軽石(丹沢パミス)と名付けられ、その後1970年代に姶良カルデラが起源であることがわかり姶良丹沢火山灰と呼ばれるようになった。
姶良Tn火山灰は、九州から関東地方まで、直径2000キロにおよぶ卵形の地域に分布する。地層の年代決定における鍵層の一つになっている。地質学ではしばしばATの記号で表される。
火山灰に覆われた面積は約4百万km2、火砕流堆積物を除いた火山灰の全体積は約150km3にもなる。この地層を境にして植物の種類が大きく変化しており、寒冷化の原因になったとも考えられている。
火山灰層の厚さ
- 50cm以上: 九州南部、高知県西部
- 80cm以上: 鳥取県の大山付近
- 40cm以上: 京都市
- 25cm以上: 琵琶湖
- 20cm以上: 九州北部、四国、中国地方、近畿地方
- 10cm以上: 中部地方、関東地方
- ミリの単位: 千葉県銚子
- 5cm以上: 東北地方南部
- 東北地方北部や朝鮮半島でも確認されている。
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鍵層の例 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%8D%B5%E5%B1%A4
鍵層は主に、成因が特定できる軽石や凝灰岩層や特定の化石や元素などが産出する地層が用いられる。分布が広く連続性があり、岩質が特徴的で、他の岩石とたやすく区別されるような地層。軽石・凝灰岩のほかに、石炭層、チャート、石灰岩等がある。
軽石、凝灰岩層
火山の噴火による火山灰は、周辺または広域に降り注ぐ。この噴出物(例えば軽石や凝灰岩)は、噴火ごとに成分が変化することから、同じ火山により生成されたものでも、噴火時代の判定を行うことが可能である。この性質を利用して同一火山噴出物を同定し、これが同一の時代であることから、堆積場所が異なっていたとしても、時代の比較が可能となる。
日本における代表的な鍵層は、過去に大噴火を起こし北海道にまで広く火山灰を降らせた姶良カルデラや阿蘇山、大山、浅間山、富士山の噴火による広域テフラがある。