今回のアルジェリア人質事件はいろいろな事を考えさせます。
アルジェリアはフランスの植民地です。第二次大戦後に熾烈なアルジェリア戦争に勝って1962年に独立した国です。ドゴール将軍が敗けてフランスへ、「凱旋」(?)しました。
昨日からその隣国のモロッコを舞台にして作られた映画、「カサブランカ」の事を考えています。第二次大戦中の仏領モロッコの首都、カサブランカはナチスと友好関係で出来たヴィッシー政権の支配下でした。ナチスの将校達も旅券を盗んだ犯人を追ってやって来ます。
そこでナイトクラブを経営しているアメリカ人のリーク(ハンフリー・ボガード)はナチスから逃れてリスボン経由でアメリカへ渡る人々を助けているのです。
そのカサブランカの警察はフランス人のルノオは表面的にはナチス将校の言うことを聞きますが最後はリークを助けるためにナチス将校を射殺するのです。
フランス領モロッコの第二次大戦中のナチス将校の考え方、ヴィッシー政権とフランス人の建前と本音、アメリカ人の正義感と活躍などが入り混じったモロッコの歴史のある瞬間を活写した傑作です。
勿論、主題はイングリット・バーグマン演ずるイルザとハンフリー・ボガード演ずるリークとの切ない恋愛物語です。実に巧妙に出来た感動的なラブロマンスです。不朽の名画です。
それを最近見たとき不思議なことに気が付いたのです。映画にはモロッコ人がほとんど出て来ないのです。植民地の人間を欧米人が重要視していないのです。私は義憤を感じました。
しかし戦後映画館で同じ映画を見たときはモロッコ人のことは気にもかけませんでした。
現在のアフリカや中近東における混乱の種はやっぱり欧米人の考え方に関係していると考えられるのです。
歴史は変えられません。しかし人類の未来を少しでも明るいものにする努力は出来ます。どんな民族にも優劣が無いのです。それを信じてお互いを尊敬し合う事が一番重要です。少なくとも私はそのように信じています。
それはそれとして、
今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)
真ん中がフランス人警察署長、その左がイングリット・バークマン、右端がハンフリー・ボガード
====映画、カサブランカのあらすじ=============
(http://movie.goo.ne.jp/contents/movies/MOVCSTD1037/story.html)
まだ独軍に占領されない仏領モロッコの都カサブランカは、暴虐なナチスの手を脱れて、リスボンを経由し、アメリカへ行くために、1度は通過しなければならぬ寄港地である。
この町にアメリカ人リークが経営しているナイト・クラブは、それら亡命者たちの溜り場だった。
独軍の将校シュトラッサアは、ドイツ側の飛脚を殺して旅券を奪った犯人を追って到着する。
旅券を盗んだウガルテという男は、リークに旅券の保管を頼む。リークはこれをピアノの中へ隠す。リークと奇妙な友情関係にあるフランス側の警察署長ルノオは、シュトラッサの命をうけてウガルテを逮捕した。
そのあとへ、反ナチ運動の首領ヴィクトル・ラスロと妻のイルザ・ラントが現れる。2人はウガルテの旅券を当てにしているのだが、イルザは、この店の経営者がリークであると知って驚く。
憂うつなリークは、店を閉めたあと、盃を傾けながら、彼女とのことを回想する。独軍侵入直前のパリで、彼はイルザと熱烈な恋に身を焦していた。が、いよいよ独軍が侵入して来たとき、2人は一緒に脱れることを約束した。が、彼女は、約束の時間に姿を現さず、そのまま消息を断ってしまったのだった。
こうした回想にふけっているとき、イルザが一人で訪れて来た。が、彼は素気ない言葉で彼女を立ち去らせる。ラズロは闇商人フェラリの口から問題の旅券はリークが持っているらしいと聞き、彼を訪れて懇請するが、リークは承諾しない。
2人の会見の模様を夫からきかされたイルザは、再びリークを訪れ、パリで彼と恋に陥ちたのは、夫ラズロが独軍に捕われ殺されたと信じ切っていたためであり、約束を破って姿を消したのは出発の直前、夫が無事であることが判明し、しかも病気で彼女の看護を求めていると知ったためである。と事情を語った。これでリークの心もとけ、2人の愛情は甦った。
翌日、リークは署長ルノオを訪れ、ラズロに旅券を渡すからそのとき彼を捕えろ、俺はイルザと逃げる、と語り、手はずを整えさせた。が、その夜、店へラズロとイルザが現れ、ルノオがこれを逮捕しようとしたとき、突然リークはルノオに拳銃をつきつけ、ラズロ夫妻の旅客機を手配するため、飛行場へ電話をかけるように命じた。
ルノオは、電話をシュトラッサアへつなぎ、暗に2人が出発しようとしていることを知らせた。飛行場へ赴いたリイクはラズロとイルザをリスボン行の旅客機に乗せてやる。一足違いで駆けつけたシュトラッサアは、これを阻止しようとして却ってリークに射殺された。
彼の死によって独軍及びヴイシイ政府の呪縛から逸したルノオは、リックと相携へてこのカサブランカを脱出し、反独戦線に加わることを誓うのだった。
左がヒットラーと握手しているフランス人のヴィッシー
上の2枚の写真の出典は、http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AB%E3%82%B5%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%AB_(%E6%98%A0%E7%94%BBです。