後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

「狩猟の趣味の深さ」という連載記事を続けていると心が乱れる

2016年10月08日 | 日記・エッセイ・コラム
狩猟は自然界に生きている鳥や獣を罠や猟銃で獲ることです。
旧石器時代や縄文時代から人間の食物を得るために狩猟が行われて来ました。人間が生き延びるために行われて来たのです。
それが近代の欧米では趣味としても狩猟が発達して来ました。
その趣味としての銃猟が明治維新後に日本にも入って来たのです。
人間が生きる為に鳥獣を獲るのではなく猟犬を使ったスポーツとして発達して来たのが欧米の銃猟です。
日本の仏教では殺生を禁じています。ですから銃猟は仏教の教えに反しています。
その上、近年には動物愛護運動が世界的にさかんになって来ました。
たとえ食べるためでも野生の鳥獣を殺すのは残酷だから止めよという運動です。
その社会風潮のお陰て銃猟を趣味にする人が年々、減少しています。若い人が銃猟をしないので猟師は一層高齢化するばかりです。
従って日本から銃猟が消滅するのはそんなに遠い将来ではないと言われています。
それなのに何故、私は「狩猟の趣味の深さ」という連載記事を続けているのでしょうか?
理由はこの消えゆく狩猟文化を少しでも記録に残したいと思ったからです。
そして銃猟は本当に悪い趣味でしょうか?
鳥獣被害にあって困っている人々を助けているのです。
その上、この趣味は自然界を相手にして人間の勇気や忍耐力をみがくスポーツという側面を持っています。
宗教的に殺生はいけませんが、銃猟は止めるべきでしょうか?そんなに悪い趣味なのでしょうか?
私の心が乱れます。
ご意見を頂けたら嬉しく思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

でいしゅう著、「狩猟の趣味の深さ(4)猟銃の種類と狩猟文化」

2016年10月08日 | 日記・エッセイ・コラム
まえがき、
今日は猟銃のお話しです。でいしゅうさんの体験にもとづく猟銃や古銃にまつわる記事は大変面白いと思います。
しかし彼の文章を理解しやすくするために3種類の猟銃と狩猟には使わない古銃の概略をご説明いたします。
古銃は猟銃ではありませんが付録として付け足してあります。
 
猟銃銃の種類は法律で決まっています。ライフル銃、散弾銃、空気銃の3種類です。原則的にいずれも一定の長さがあることが基準で、基準値より短いものは認められません。長いものしか許可されない理由にはいろいろな理由があります。
ライフル銃
国内で許可される銃器の中で最も威力のある銃と言えます。銃身内はライフリングと呼ばれ、発射弾に回転を与えられるようにラセンが入っております。弾の種類およびそれを使用できる銃の口径の種類は世界的にも多種豊富にありますが、全てのライフル口径が日本で認められるわけではありません。ライフル銃の最大到達距離は4km以上とも言われ、威力と精度が優れていることから倍率のあるスコープを用いて200m以上の距離で多く使用されております。狩猟では主に、クマ、イノシシ、シカ等の大物猟に使用されます。
散弾銃
日本で狩猟に最も多く使われている銃です。ショットガンともいわれます。1発の弾薬に複数量の弾粒が詰められており、散り広がる装弾を発射できる銃が散弾銃にあたります。散弾銃規格は主に外装される弾の太さで番径規格が定められており、12番(12GA)と言われる規格が射撃、狩猟において圧倒的に使用割合を占めております。同一規格でも内装される弾粒の大きさには多種類あり、用途によって使い分けることができます。 散弾銃は全般的に狩猟では幅広く用いられ、散弾を用いて鳥類・小動物猟に使われます。
空気銃
その名の通り空気の力で発射される銃です。デパート等で売られている空気銃は威力もそれ程ないことから許可を受けずに購入・使用できる、いわゆる玩具として扱われており、ここで挙げる空気銃ではありません。
銃刀法上の空気銃は大変威力があり、殺傷力を持っている銃をいいますので、しっかりとした安全に対する知識・許可が必要となります。空気銃は散弾のように複数を同時に発射できるものはなく、1発での発射です。手軽に手の力でポンプするタイプや、炭酸ガスを使用するタイプ、最近では高圧の空気を注入するハイパワータイプが人気を集め、40m~50mで使用することも可能です。狩猟では主に鳥類・小動物猟に用いられます。
尚詳しくは、http://gun-net.com/main/public/gun_kind.htm をご覧下さい。
銃の構造の種類
銃の構造によっても種類を分けることがあります。例えば上下二連銃と言われている種類にも、散弾銃があればライフル銃もあります。日本に普及している代表的な種類のものは上下二連銃 と水平二連銃 です。
古銃
古銃とは火縄銃と雷管銃のことです。雷管銃は明治維新の時に大量に輸入された銃です。
これらは猟銃としては許可されていません。猟銃ではありませんが付録として紹介してあります。
それではでいしゅうさんの猟銃の話をお楽しみ下さい。
===でいしゅう著、「狩猟の趣味の深さ(4)猟銃の種類と狩猟文化」 ===

我々が所持できる銃は3種類あります。
装薬銃(散弾銃、ライフル銃)と空気銃です。ピストルとか機関銃も有りますが、関係ないし、よく知らないので書きません。
空気銃は以前子供の遊具とされ免許の無い時代も有ったそうですが、私は知りません。
現在はポンプ式の空気銃よりも圧縮空気(潜水用のボンベ)を利用した強力な物が出現しています。2メーターで撃つと猪さえ絶命します。
散弾銃は大きく分けて2連銃と単身半自動銃です。変わった設計の銃もあったり、散弾とライフルがセットになっている銃も有りますが、特殊な為に割愛します。
2連銃は上下2連と水平2連がほとんどです。上下2連は競技用と言われてきましたが、今では猟野でも使用されます。私はメルケルの水平2連銃(12#)を鳥猟に使用しています。
犬がいなくなって出番が減りました。ただサイドロックなので機関部の彫刻が楽しめます。

1番目の写真がメルケルの水平2連銃の機関部の彫刻の写真です。
80歳以上の方の中にはロンドンガンを持っておられるそうです。3000万円ぐらいの銃ですから拝見したいものです。○○宮様が所持していた銃、とも漏れ伺います。戦後のどさくさで売りだされた銃でしょう。
半自動は現在レミントンです。最初に所持したのがレミントン1100で、ベレッタなども所持しましたが、レミントンに帰ってきました。これで猪撃ちに行っています。やや重いのが玉に瑕ですが、慣れた鉄砲が一番です。

散弾銃の新品は20万円程度から3000万円程度、いやもっと高価な銃も有ります。機関部の彫刻が高価です。イタリア、ドイツ、イギリスと作風が違い、好みも多様です。

ライフル銃は散弾銃を所持して10年以上の経験が無いと所持できません。なぜ10年なのか理由は知りません。
ですから、50歳ぐらいでないと申請できなく、眼も弱ってくる頃ですから困ったものです。
ライフル銃は散弾銃と全く異なります。散弾銃で選手をされていた人ほど、ライフルには適せないとも言われています。

散弾銃は「思い切りよく撃つ」のが大切ですが、ライフル銃は狙いこんで引き金を5回に分けて慎重に撃てと教わりました。
猟銃の使い方には精進が大切です。そしてライフル銃では散弾銃ほど高価な物はありません。100万円程度です。つまりライフル銃は消耗品なのです。
ライフル銃はサコー75(ボルト式)を買いました。いろんな資料を読み、先輩の言に従いました。口径は北海道のエゾシカ猟のガイドさんのアドバイスで300winMagとしました。
頬宛て(チークピース)が嫌いなので(メルケルには附いています)購入前に削ってもらいました。

望遠鏡は銃本体よりも高価な物を付けなさいと言われていたので、ツアイスを乗せました。12倍までの品です。現在は6倍・単倍のツアイスです。理由は又お話します。
北海道のエゾシカ猟では失敗続きで勉強の毎日でした。
そう、ライフル銃の話でしたね。
他には半自動銃が有り、BAR(ブローニング・オートマチック・ライフル)も所持しました。これは北海道での害獣駆除用です。望遠鏡は付けてなく、100メーターまでの鹿を撃ちます。
ライフル銃のメーカーにはレミントン、ウインチェスター、等無数のメーカーが存在します。日本でもミロクが欧米のメーカー品を作っています。
それぞれに好みが有り、数値的に優劣は競えるが、所詮懐具合が決定打となるようです。
趣味のものですから、それでよいと思います。公道を走る車の性能に、レーシングカーの性能を求めるような事と思っています。

滋賀県の甲賀に滋賀サファリ博物館があります。
此処の館長さんは狩猟の為、世界中に行かれた方です。その成果を剥製で展示されています。この館長さんに質問しました。狩猟で命中の為、何が大切ですか?銃ですか?
答えは「近くへ行って撃つ事や」これで銃のカタログを読むことを止めました。
羆撃ちで有名な久保さんも5メーターか10メーターぐらいで撃つ、と言っています。

銃について書くつもりでしたが、普通のライフルマンですから、体験を基にした文になりました。もっと詳しい事が知りたかったら、専門書をお読みください。
一般に猟銃は美しい彫刻がついていたりするので持っているだけで楽しいものです。
そして狩猟の成果は猟銃の良し悪しよりの勇気をもって獲物を近くまで引き寄せて撃つことが重要なのです。

さてついでに古銃について少し書かせて下さい。
古銃は火縄銃と雷管銃です。雷管銃は明治維新の時に大量に輸入された銃です。

2番目の写真は雷管銃のストーム銃(アメリカ製)です。

前でも書きましたが、銃には散弾銃とライフル銃(装薬)があり、それぞれの用途で使用されています。
ところが、幕末の頃までは火縄銃が主流でした。戦国時代から約300年ガラパゴス化されて日本独自の進歩をしていました。

これに対し明治維新の戦いでは、欧米の廃棄銃がどっと流れ込みました。NHKドラマ八重の桜で登場したスペンサー銃(アメリカ製)もありました。アメリカの南北戦争終結で不要になった銃が何百倍もの価格により輸入されたのです。酷い場合は木製の台に鉄パイプを括りつけた、絶対安全の銃も有ったそうです。長崎のグラバーは濡れ手に粟のボロ儲けでした。
そして輸入する毎に最新式の銃となりました。初めは前装銃です。有名な銃にはゲーベル銃(オランダ製)とかエンフィールド銃(イギリス製)です。私も所蔵していたが改造され、元の形から変わっていたので手放した。これらの銃は明治維新後、国産銃が整備されたため、一般に払い下げた。このままでは重いので、先台などを切り猟用に改造されています。改造すると骨董的価値は無くなります。

マンソ―前装銃がある。歩兵銃で全長は約1300mm、3バンドである。比較的完全な形が残っているので、所持している。
火縄銃も所持している。なんとか整備して撃てるようにとしたが、銃口の中が錆びていて不可能であった。しかし、機関部は完動する。
この場合銃身をくり抜き、鉄パイプを挿入する者もいるらしいが、日本では違法である。海外では良く行われる改造と聞いている。

3番目の写真は自分が持っている堺銃です。農民が持っていたと思われます。短筒もあるが、銃身内の錆が酷い。しかし、火薬入れなどもついていて、コレクションとしては面白い。

横浜の銃砲店で完全なスペンサー銃を見せてもらった。これは古銃に分類されず、実銃なので簡単には所持できない。150年も前の銃がまだ生きているとは感動しました。
所荘吉著の「図解古銃事典」で勉強した。なんでも鑑定団に登場する時があるが、高価で手は出ない。蒐集を始めた頃は輸入銃に人気がなく安価で入手できたが、最近は洋古銃の人気も上がっている。

銃刀法に掛かるので「銃砲刀剣類登録証」が絶対に必要である。しかし所持する人間に資格試験はない。
もし天井裏などで発見されたら、正直に警察へ届けて欲しい。そして年数回行われる教育委員会の審査を経て、登録証が発行されて、天下御免となる。
ご先祖様がしまい込んだ古銃では絶対に逮捕されないし、没収もされない。刀剣も同様である。
火縄銃ならば絶対に所持できます。洋式銃も前装銃ならば大丈夫です。
後装銃で弾が金属薬莢の場合は没収の可能性があります。前期のスペンサー銃が該当します。
古銃の蒐集も趣味なのでつい書いてしまいました。猟銃から話がそれたことをお許し下さい。(続く)
最後に江戸時代の火縄銃の写真と現在の水平二連銃の写真と上下二連銃の写真を示します。