後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

お寺と日本の仏教(3)星信仰と仏教の混淆、妙見寺

2019年03月07日 | 日記・エッセイ・コラム
この記事を書いていて私の頭はクラクラして気が狂いそうになります。
北極星信仰と佛教と神道が混淆した日本独特の妙見信仰をご紹介しようとして心が迷い、困っています。混淆のあり方が複雑すぎて私にはどうしても理解出来ないのです。
自分で理解しないものを書くのですから皆様も頭がクラクラして気持が悪くなりそうになると思います。
そこで何故、私が理解出来ないか写真でご説明いたします。

1番目の写真は大阪や関西で有名な妙見山の入り口の写真です。妙見山は東京の高尾山と同じように参拝客やハイキングを楽しむ人々で賑わう所で大阪駅から阪急線の支線の能勢電鉄があり交通の便も良いのです。
妙見山霊場は正式には「無漏山眞如寺 境外仏堂 能勢妙見山」と言います。
私の頭がクラクラするのは妙見山霊場が佛教の日蓮宗なのか神社なのか道教の北極星信仰なのか理解出来ないためです。いくら考えても何がなんだか分からないのです。真剣に考えると気が狂いそうになるのです。

2番目の写真は妙見山の本堂です。ご本尊は道教の北極星信仰の妙見菩薩です。この本堂のことを「眞如寺 境外仏堂」と呼んでいるのです。境外仏堂とは妙見山を管理している眞如寺の境内から離れた場所にある仏堂だと言っているのです。そして眞如寺 は日蓮宗のお寺なのです。妙見山の本堂は元来道教の北極星信仰のためのお堂ですから仏教とは関係がありません。鳥居なんか作っていますが神道とも関係無いのです。元々関係の無いもを無理に一体化しているので私の頭がクラクラするのです。

3番目の写真は東京の稲城市にある妙見寺の山門の写真です。石の柱にこの妙見寺は天台宗のお寺だと明記してあります。しかし道教の北極星信仰は天台宗と何のかかわりもありません。どのように理解したら良いのでしょうか?私は困っています。

4番目の写真は稲城市にある妙見寺の本堂の写真です。ご本尊は阿弥陀如来さまです。
普通のお寺です。本堂から少し離れた場所に檀家のお墓が沢山並んだ広い墓地があります。

5番目の写真は妙見寺の奥の院の妙見宮のある山頂に登る入り口にある大鳥居の写真です。
妙見宮が神道のように祀ってあります。実は妙見宮は古くからあるもので妙見寺は後世に出来たお寺なのです。
参拝人はまず本堂の阿弥陀如来さまを拝み、それから山の階段を登り山頂の妙見菩薩を拝まないといけないのです。天台宗と北極星信仰の混淆とはそういうことなのです。

さて頭のクラクラを解消するためにここで宗教の混淆について整理整頓しましょう。
日本にはキリスト教や仏教や神道や中国の道教などさまざまな宗教が混然一体となって存在しています。そしてそれらは時代の推移にともなって変化して行きます。
妙見信仰をはじめ、風水や陰陽道や庚申塔信仰は仏教とは異質の道教起源の信仰です。
妙見信仰についての明快な説明は、「戸原氏のホームページ」
( http://www.y-tohara.com/ )にあります。
それによると妙見信仰とは道教の北極星(北辰)と北斗七星に対する信仰であり、日本では仏教と混淆し、北辰妙見菩薩に対する信仰に変化したのです。

この北極星信仰は、その動かない星が北の空にあって宇宙の全てを支配する最高神すなわち天帝として崇める宗教なのです。そして北斗七星は天帝の依頼を受けて人間の行状を監視し、その生死や禍福を支配しているのです。美しい信仰です。

この北極星と北斗七星の信仰は推古天皇のころ日本へ入ってきたと言われています。
奈良の飛鳥にある高松塚古墳の天井に北斗七星が描かれ、北壁には北極星の象徴である玄武像(カメと蛇が絡み合った像)が描かれていたのは日本へ北極星と北斗七星の信仰が入ってきた証拠と言われています。
正倉院の御物にも北斗七星が描かれているので奈良時代にも北辰信仰が入っていたと考えられています。
この北辰信仰が時代とともに仏教と混淆して、妙見信仰へと変化していったのです。

私的なことで恐縮ですが、私の祖父が住職をしていた兵庫県の曹洞宗の正林寺に行くために何度も乗った能勢電鉄の終点が能勢妙見さんでした。本尊さんは北辰妙見菩薩なのです。
その関係で能勢の妙見さんのことは昔から知っていた懐かしい場所なのです。
この妙見山霊場を管理する寺の眞如寺は能勢氏が1600年頃に建立したものです。そして能勢氏は日蓮宗の信者だったので法華経の守護神の北辰妙見菩薩をご本尊にしたのです。
この能勢の妙見さんは三大妙見の一つとして江戸時代中期頃から参拝者が増え、大いに賑わっていたのです。関西地方の名所の一つだったのです。

このように日本の宗教的な風土では仏教も道教も神道も混淆して、日本独自の信仰対象にしてしまうのです。日本の宗教は元来の教義や信仰の内容が時代とともに変化するのが特徴と思います。もちろん宗教の変化はどこの国でも起きますが、日本の変化の様子は非常に独特なものです。

頭をクラクラさせないためには単純に考えることです。
日本のあちこちにはお寺から離れた所に独立して薬師堂や観音堂が散在しています。
道端に庚申塔やお地蔵像さまが立っています。
妙見堂もそれらと同じです。宗教の混淆など面倒なことは考えないで祈れば良いのです。
貴方の愛する家族の健康と幸せを祈るのです。そして戦争が無いように祈ります。平和を祈ります。

それはそれとして、今日も皆様の心の平和とご健康をお祈り申し上げます。後藤和弘