日本政府は2007年に7800億円のOfficial Development Assistance (ODA)を開発途上国の為に提供した。それが相手国の貧困層の救済に使われていないという。貧困層を救うのは現地へ人を派遣している人道的なボランティア団体と考えられている。
ODAを使って、中国の河北省、保定市に「技術移転センター」を作る努力を2年間した経験がある。結果は失敗に終わった。1995年頃の個人的な狭い体験なので、ODAの全体像の批判にはならないが、この体験で得た感じ方も交えて簡単に記す。その折会った人々は、北京にある日本大使館の一等書記官、東京の大商社のODA担当者、渋谷にあったJICA本部の中国担当者、ある重工大手会社の顧問をしていた有名な元在中国大使などであった。これらの方々は中国奥地の貧しい農民の救済へ関心が無かった。日本のODAはそのような目的では運用されていないのです。その理由を思いつくままに以下に記します。
(1)ODAの予算は外務省にあるだけでなく、19省庁に分散してあり、省庁は自分の組織の権益拡大に役に立つように使用する。自分の権限だけ拡大しようとする日本の官僚制の縮図がODA運用に出てくる。
(2)日本のODAの総額は世界でもトップクラスながら、多くの割合が相手国の土木建設を日本の大手ゼネコンが請け負うという条件で支払われている(タイド援助)。日本の大手ゼネコンの利潤の為に使われているので、相手国の貧困層の救済にならない。
(3)海外の大型土木工事はODA専門のある大きなコンサルティングが相手国首脳と相談しながら決める。それをゼネコンや日本政府の19の省庁へ繋ぎ、調整をするのは日本の大手商社である。
(4)JICA職員の良心的、献身的働きを抜きにすれば、ODAに関与する人々は自分の権益拡大と利潤追及を目的としているので、相手国の貧困層は視野に入らない。
(5)政治家はODAで利潤を得た会社からの政治献金を期待してる。
以上は大雑把過ぎますが、当たらずといえども遠からずと思います。読者の方々のご意見を頂ければ幸いです。(続く)