私が写真を撮り始めたころは、モノクロが当たり前でありカラーは高嶺の花であった。朝 から晩まで暗室に籠もり、現像液の濃度がどうの、温度がどうのこうのとやっていたもの です。それが今ではデジカメでパチリ、パソコンで修正、プリンターで印刷、隔世の感が有 ります。
昔会社の同僚の結婚式の写真を、スライドで披露宴の席で紹介しようとしました。その 間の時間は一時間程、近くの友人の暗室へ持ち込み、現像⇒定着⇒乾燥⇒密着反転⇒ 現像⇒定着⇒乾燥⇒マウント⇒披露宴席へ駆け戻り、やっと間に合ったと思ったら、密着 反転する時に裏表反対にしてしまった、などと言う事がありました。
モノクロームの世界は、昼間の世界を夜の闇の世界を通して見る表現です。カラー写真 は、そのものズバリ見たがままの世界を表現していますが、モノクロ写真は、見る者の感 性と言うフイルターを通しての表現です。外灯の無い夜道、蝋燭や石油ランプでの夕餉を 経験した事の無い世代には、色彩の無い影の世界の向こう側を想像する事は難しいかも 知れません。