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函館にある高田屋嘉兵衛像
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【一口紹介】
出版社/著者からの内容紹介
江戸後期、ロシアと日本の間で数奇な運命を辿った北海の快男児・高田屋嘉兵衛を描いた名作が、大きな活字の新装版で一挙大登場!
内容(「BOOK」データベースより)
江戸後期、淡路島の貧家に生れた高田屋嘉兵衛は、悲惨な境遇から海の男として身を起し、ついには北辺の蝦夷・千島の海で活躍する偉大な商人に成長してゆく…。沸騰する商品経済を内包しつつも頑なに国をとざし続ける日本と、南下する大国ロシアとのはざまで数奇な運命を生き抜いた快男児の生涯を雄大な構想で描く。
【読んだ理由】
「播磨灘物語」に続いての司馬遼太郎作品。
【印象に残った一行】
『縁談も婚礼もない。娘のもとに若者が通ってきて、やがてみもごると自然に夫婦になるのである。若者が単数であることことのほうがむしろめずらしい。一人の娘に、何人かの若者が通うが、みごもった時は、その子の父となる者に対する氏名権は娘がもつ。娘は、自分が好きな、あるいはやや打算的に考えて生涯を託する上で無難な若者を指名する。指名された若者が、逃げるということは、まずなかった。たとえ多少好まない、と思っても、指名の背後に神でも存在するかのような神聖な感情をもって、それに服するのである。むろん生物学的に自分の子でないことが十分ありうる。がそのことが問われることは、西日本の浦々に残るこの古俗のなかでは、まずなかった。このことのなかには、・・一村の子は一村のもの。という潜在的な原理が働いている。あるいは逆に、このことがあればこそ、そういう潜在的原理ができ、生きつづけてきたのかもしれない。さらに余談ながら、一つの在所の結束の強さも、右のことと無縁でない。』
【コメント】
題名にある「菜の花」について、これは菜種油にするため、六甲山麓の芦屋川等の急流を利用した水車式の搾油業が発生し、その大量生産技術が価格的に有利となった事や、酒造業の発展により、兵庫の海運業が栄えたという歴史的な背景がある。
主人公の高田屋嘉兵衛が生まれた対岸の淡路では多くの菜の花が栽培されたという。つまり、淡路で取れた菜の花が、現在の神戸市東灘区に送られ、その加工品である油を兵庫より北前船で諸国に送り取引をするという当時の廻船業のシンボルを表したタイトルとのこと。
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