峠うどん物語(上) | |
クリエーター情報なし | |
講談社 |
【一口紹介】
◆内容説明◆
市営斎場の前に建つ、一軒のうどん屋、『峠うどん』。
暖簾をくぐるのは、命の旅立ちを見届けたひとたち――。
中学二年生のよっちゃんは、祖父母が営むうどん屋『峠うどん』を手伝っていた。
『峠うどん』のお手伝いが、わたしは好きだ。
どこが。どんなふうに。
自分でも知りたいから、こんなに必死に、汗だくになってバス停まで走っているのだ。
おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん、お母さん。
そして『峠うどん』の暖簾(のれん)をくぐるたくさんの人たちが教えてくれる、命についてのこと――。
【読んだ理由】
重松 清作品。
【印象に残った一行】
「お葬式の良し悪しは、棺を車に収めて観音開きの扉を閉めるときにわかるらしい。
つらい亡くなり方をしたひとのときは、閉めるときに扉が重くなる。亡くなった人の未練のせいか、別れたくない、という見送るひとたちの思いのせいなのか、とにかくほんとうに扉が重くて、申し訳ありません、申し訳ありません、と謝りながら、目に見えない何かを断ち切るような感じで扉を閉めるのだという」
「ミヤちゃんが生まれて、元気に生きているっていう・・・あんたの命そのものに、ひいおばあちゃんや、ひいおじいちゃんや、おじいさんやおばあさんや、とにかくご先祖さまみんなの命がちょっとずつ入ってるんだから・・・」
【コメント】
久しぶりの重松ワールド、読後感は爽やかで、生きることの素晴らしさが伝わってくる。