25:青楼七小町 扇屋内滝川
高く結い上げた黒髪に白い肌、涼しい目もとの瓜実顔に点じられた朱唇は、全体の渋い色調の中で匂うようだ。
遊女とはいえ一流の滝川、崩れようとしてようやく支えられたほのかな気品が、哀れに美しい。
寛政末期の作とされている。
当時喧伝された遊女篠原、多賀袖、明石、花紫、白露、嘉瀬川の七図の揃い物だが、ほかに歌麿は滝川を数枚描いている。
署名に「正銘」の文字がみえるが、歌麿の盛銘に模作が行われたものと思われる。
※喜多川歌麿
江戸時代の日本で活躍した浮世絵師の代表的な一人。
姓は北川、後に喜多川、幼名は市太郎、のち、勇助(または勇記)と改め、名は信美。
初号は豊章といい、歌麻呂、哥麿とも号す。
通常は「うたまろ」と読むが、秘画本には「うたまる」としているものもある。
俳諧では石要、木燕、燕岱斎、狂歌名は筆の綾丸、紫屋と号して、蔦屋重三郎とともに吉原連に属した。
国際的にもよく知られる浮世絵師として、葛飾北斎と並び称される。
繊細で優麗な描線を特徴とし、さまざまな姿態、表情の女性美を追求した美人画の大家である。
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