【原文】
子曰、不憤不啓、不ヒ*不發、擧一隅而示之、不以三隅反、則吾不復也、
【読み下し】
子の曰わく、憤(ふん)せずんば啓せず。ヒせずんば発せず。一隅を挙げてこれに示し、三隅を以て反えらざれば、則ち復たせざるなり。
【通釈】
先生が言われた、「[分かりそうで分からず]わくわくしているのでなければ、指導しない。[言えそうで言えず]口をもぐもぐさせているのでなければ、はっきり教えない。一つの隅を取り上げて示すとあとの三つの隅で答えるというほどでないと、繰り返すことをしない。」
【English】
The Master said, "I do not open up the truth to one who is not eager to get knowledge, nor help out any one who is not anxious to explain himself. When I have presented one corner of a subject to any one, and he cannot from it learn the other three, I do not repeat my lesson."
『論語』とは、読んで字の如く「論じ語る」、孔子と弟子達や要人達との間に交された対話録。
『論語』は私たちの生き方の原点を見つめた思索の宝庫であり、人間性を磨く叡智が凝縮した永遠の古典。
読めば読むほど胸に深く沁み込む簡潔な言葉の数々。
『孟子』『大学』『中庸』と併せて儒教における「四書」の一つに数えられる。
全20編(学而第一~堯曰第二十) 構成され、編の名称は各編の最初の二文字を採ったものであり内容上の意味はない。
したがって、学而第一から順に読む必要はなくどこから読んでもかまわない。