![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/5f/063bd6d9cce3b030d3c3b5b19912fc82.jpg)
(バリ島・ウブド郊外には気持ちのいい田園風景がひろがります。鳥追いの竹を打つカラン・コロンという音などを耳にしながら、椰子のあぜ道を散歩するのが楽しみのひとつです。)
インドネシア・バリ島から今朝帰国しました。
バリの芸能・芸術の中心地ウブドで、12年前に訪れたときの記憶を追いながら、郊外田園のジャラン・ジャラン(散歩)とレゴンやケチャといった民族舞踊、ワヤン・クリッ(影絵芝居)、ガムラン(青銅楽器)やジュゴク(竹楽器)の演奏などを楽しんできました。
ウブドは、西洋人芸術家が持ち込んだ絵画がローカルな地場産業として定着した変わった街でもあります。
街の中心街にはたくさんのギャラリー(きちんとしたものから、観光土産用の絵画屋さんまで)が軒を連ね、郊外の田んぼのあぜ道にも、外国人を狙った絵画屋さんがポツンとあったりします。
田んぼの真ん中で絵を売っているというのは、世界中でもウブドぐらいではないでしょうか。
恐らく職業統計をとると、絵描きやギャラリー従事といった人の数が、相当上位にランクされるのでは・・・と思われるぐらいです。
夜毎に村の集会所や王宮などあちこちで観光客相手にパフォーマンスを披露する村単位で組織された舞踏・芸能グループ、街にあふれる絵画産業など、外国人観光を前提にした特殊構造の街でもあります。
それだけでは、いかにもあざといイメージになりますが、そうしたあざとさを中和してあまりあるのが、生活の隅々まで行き渡ったバリ・ヒンズーの影響です。
民家でも、商店でも、女達はチャルとかチャナンと呼ばれる神様へのお供え物をつくるのに1日の多くの時間を費やしています。
男達は村の宗教的な行事・お祭りを生きがいにしているようにも見えます。
車で遠出すれば、お祭りの行列に必ずと言っていいぐらいに出くわします。
街や田んぼのあそこそこに、魔よけの黒と白のチェック・クロスの布を巻いた石像や神棚に出会います。
舞踏・芸能の収益も、村のお祭りなどの費用にあてられることもあるようです。
観光と伝統・宗教の融和した不思議な生活空間がバリ・ウブドの魅力です。
バリに限った話ではありませんが、チャーターした車のドライバーなど現地の人と話をしていて、「日本まで旅行にお金はいくらかかるのか?」といった話題になります。
彼等が普段手にする金額とは恐らく桁違いの金額でしょう。
いつも答えをためらい「とても高いね」と、適当にごまかします。
もちろん、生活の豊かさをはかる尺度が決して金銭だけでないことは、バリの人々の暮らしぶりを見ていれば理解できるのですが、一方で、ウブドもすっかり車社会に変わったように、そうした社会変化に伴って現金収入を求めて苦労している面があることも事実です。
今回のバリでもそうでしたが、車のドライバーなどは、家族を田舎に残して町で単身で働いているというケースが珍しくありません。
彼等がなかなか手に出来ない金額をわずか数日の物見遊山に使ってしまうということ、恐らく彼等は外の世界など見ることなく人生を送るのであろうこと・・・そうしたことを考えると、容易に超えられないものも感じてしまいます。
考えすぎなのかもしれませんが。