近所のTUTAYAに出かけて、DVDを物色していたら、邦画の棚に、「昭和キネマ横丁」というコーナーが設けられていて、関連作品が陳列してありました。僕は、邦画の古いところをたまに見るので、こういう企画はありがたい。さっそく、岡本喜八監督の「暗黒街の顔役」を借りてきました。やくざ社会のアクションものですが、映画の中には、ジャズ喫茶(今でいうライブハウス)も登場し、コンボをバックに歌う場面も出てきます。日本のジャズを。
FUMIO ITABASHI (板橋文夫)
WATARASE (Nippon Columbia 1981年録音)
板橋文夫のソロアルバムです。ピアノ・ソロのアルバムはたくさんありますが、飽きさせずに最後までリスナーを惹きつけるものは数少ないと思いますが、板橋文夫のこれは、その数少ないうちに入るのではないでしょうか。LP時代に、再発されなくて、幻の名盤となっていたものですが、2005年にCDで再発され容易に手に入るようになりました。
ピアノの演奏とともに、「Watarase」や「Good Bye」など板橋文夫のオリジナル曲がよいことも特長として挙げられます。日本流の旋律、響きが聴こえているところもあります。全部通して聴くと、ジャズといってもいいし、クラシックだといってもおかしくない、そういうジャンル分けは無用だと思わせます。
曲は、「Someday My Prince Will Come」(いつか王子様が)、ダラー・ブランド作「Msunduza」、「I Can't Get Started」(言い出しかねて)、あとは板橋の自作で、「Tone」、「Watarase」、「Miss Cann」、「Good Bye」の全7曲。彼は映画音楽も手がけていて、「Good Bye」は、柳町光男監督の「19歳の地図」のために書いた曲です。
マッコイ・タイナーの影響も垣間見える剛腕ピアニストといったイメージがある板橋文夫ですが、このアルバムでは詩的抒情に満ち、しかも甘さに流れないプレイを行っています。「Msunduza」ではビートに乗って左手も含めて力強いプレイを展開していますが、「Tone」、「Watarase」、そして「Good Bye」と、それぞれの情景あるいは背景も想像できるようなピアノの響きは、美しく、儚げに訴えかけてきます。トレモロ、右手の細かい下降フレーズ、グリッサンドなどを駆使して自在な表現をしています。
【岡本喜八監督 暗黒街の顔役】
鶴田浩二と宝田明が出演しています。この映画は、テンポがよくて緊張感が持続していきます。また、歌手の一人として「中島そのみ」が出演し、歌う場面もあります。
左は、ツタヤで配布されている小冊子「昭和キネマ横丁」。作品の紹介などがあって、見ているだけで楽しく、参考になります。右は、最近買って読んでみた、日本映画史110年(四方田犬彦著 集英社新書)です。僕のような映画初心者にもってこいの映画史で、読みやすいよい本です。
アーリー60’ポップ・ガール・シリーズの一枚。中島そのみの歌が18曲収録されているCDです。はじめは、ウェスタンの歌手として活動しましたが、女優として多くの映画に出演しています。