「キング・オブ・ソウル」ことジェームス・ブラウンの伝記映画を長野市の千石劇場で見てきました。場面の切り替えの早さ、アップテンポ中心の迫力ある音楽と、最初から最後までスピードがあって、飽きることのない面白い映画でした。
(パンフレットの表紙)
ジェ—ムス・ブラウン(1933~2006年)は、1960年代、70年代に数多くのヒットを飛ばし、来日公演は15回を数えます。僕は彼の歌はほとんど聴きませんが、それでも「Papa's Got a Brand New Bag」、「I Got You」、「It's A Man's Man's World」あたりは知っていました。この映画では、ゴスペルからロックン・ロール、リズム&ブルース、ファンクといった彼の歩みもわかります。
サウンドは、ジェームス・ブラウン本人と彼のバンドのものが使われていて、この映画ではパリのオランピア劇場によるライブ場面がハイライトです。シャウトする歌に、豪華なバックバンドのタイトな演奏がからまって、グルーヴ感やリズムの躍動感は半端ではありません。バンド・メンバーには、アルフレッド・ピー・ウィ—・エリス、メイシオ・パーカー、メルヴィン・パーカー、フレッド・ウェズリーらがいます。
(バックバンドと。これは練習風景かな)
伝記的な部分では、極貧の子供の頃からヒットを重ねて成功するまでが描かれてます。時系列ではなくて、フラッシュバックを用いて、時代が飛びますが、それがうまくいっています。黒人の地位を高めるための活動も行いましたが、興行界において白人支配を打破しようとし、成功したことも描かれます。
(父母からは見捨てられて、親戚に預けられたようです。働いてお金をもらっているところ。)
(ジェームス・ブラウンとマネジャー。このマネジャーとはうまくいっていました。)
彼は、私生活ではかなり問題を起こし、そのあたりも赤裸々になっていて、一人の人間としての生き方も示されています。これは、制作陣(監督:テイト・テイラー)の姿勢がきちっとしているからでしょう。ローリング・ストーンズのミック・ジャガーがプロデューサーの一人となっているのも話題です。
ジェームス・ブラウン役を演じたチャドウィック・ボーズマンは、ブラウンになりきって演技や踊りをやっていて素晴らしい。ジェームス・ブラウンのショーは、歌だけでなく踊りも呼び物だったので、ボーズマンもたいへんだったろうと思います。映画を見るとわかりますが、ブラウンの踊りは、マイケル・ジャクソンに引き継がれています。
映画館ならではの迫力ある画面とサウンドで、ジェームス・ブラウンとバックバンドやダンサーが演ずる華麗なショーを見るだけでも価値があります。
(映画館に飾られていたポスター)