先日、名古屋に行った際にジャズ喫茶「YURI」で昼食をとりました。街の喫茶店としても繁盛していて、ランチタイムにはほぼ満席になります。チキンライスのセットを頼みましたが、トリ肉や玉ねぎが大きめで量もたっぷりある優れモノでした。はじめにかかったレコードは、ウィントン・ケリーの「On Powertree」でしたが、オーディオ装置とお店の賑やかな雰囲気のせいで、よく聴こえたのには驚きました。「YURI」におけるレコードの選択は見事です。ケリーのリーダー作を。
WYNTON KELLY (ウィントン・ケリー)
WHISPER NOT (RIVERSIDE 1958年録音)
ウィントン・ケリーは大好きなピアニストですが、「On Powertree」(米国では「Last Trio Session」として発売)に関しては、自宅で聴くと、ケリー(p)もチェンバース(b)もあまり元気なく聴こえます。そこで、「On Powertree」より10年早い録音の「Whisper Not」を取り出してきて聴いてみました。
メンバーは、ウィントン・ケリー(p)、ケニー・バレル(g)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)。レコードでいうとA面の3曲はドラムス入りですが、B面の4曲はドラムス抜きのトリオによる録音です。フィリー・ジョー・ジョーンズが時間に遅れてやってきたので、やむなくトリオによる録音になったようです。今では遅刻するなどということは、考えられないですね。
曲は、ドラムス入りカルテットで、ベニー・ゴルソン作「Whisper Not」、ケリーの自作「Action」、ロシア民謡「Dark Eyes」(黒い瞳)、ドラムスに抜きのトリオで、オスカー・ブラウン・ジュニア作「Strong Man」、スタンダードの「Ill Wind」と「Don't Explain」、ケリーの自作「You Can't Get Away」の全9曲。
ケリー(P)のスイングするピアノには、ドラムスがあった方がいいと思い、A面をよく聴いていました。しかし、B面のエレガントな演奏も捨てがたい。タイトル曲の「Whisper Not」は、ケリー(p)、バレル(g)ともに哀愁と力強さを持ったソロをとっていて一番の聴きもの。「Dark Eyes」は、イントロも印象的ですが、続くテーマ部のケリーの右手の運び方が優雅でスイングしていて、息をのむほど。ドラムス抜きでは、「Strong Man」や「Don't Explain」がよく、全体にリラックスした演奏が詰まっています。
【YURI】
住所:愛知県名古屋市東区東桜1-10-40
電話: 052-951-7800
営業: 火~土 12:00~24:00、日・祝 12:00~22:00
定休日:月曜日
ウィントン・ケリー「On Powertree」のレコードジャケット
大型のスピーカー
オーディオ