長野駅前の書店であちこちの棚を見ていたら、雑誌「男の隠れ家」12月号の特集が「いまこそアナログ盤」というものだったので、購入しました。内容は、アナログ盤を堪能できる店、関東・関西の中古レコード店巡り、レコードジャケット展覧会、初心者のためのレコード環境の整え方といったものです。ジャズばかりではありませんが、レコードの音を聴ける喫茶店や中古レコード店が紹介されていて、都会に行った際の参考になります。名盤をアナログで聴きました。
CANNONBALL ADDERLEY (キャノンボール・アダレイ)
KNOW WHAT I MEAN? (RIVERSIDE 1961年録音)
僕はオリジナル盤指向は強くなく、内容が同じであれば国内盤でいいと思ってきました。ヴォーカルのオリジナルはいくらかありますが、購入時点で国内盤レコードやCDで復刻されていないものが中心です。インストのものはほとんどありませんが、音を聴いてみると、国内盤やCDよりも一皮むけたように音質がよく、オリジナルに拘る方がいるのもよくわかります。中にアダレイとエヴァンスの共演盤があったので取り出しました。
いまさらですが、メンバーは、キャノンボール・アダレイ(as)、ビル・エヴァンス(p)、パーシー・ヒース(b)、コニー・ケイ(ds)。エヴァンスは2曲提供すると同時にコ・リーダーとして参加しています。エヴァンスの「Waltz for Debby」はスコット・ラファロとのものが圧倒的ですが、こちらのセッションのものも悪くありません。昔から不思議なのが、このアルバムのジャケットで、アダレイの写真はわかるのですが、脚の彫刻などを配したイラストが未だに理解できません。
曲は、ジャズオリジナルとスタンダードです。ビル・エヴァンス作「Waltz for Debby」と「Know What I Mean?」、ゴードン・ジェンキンス作「Goodbye」、ジョン・ルイス作「Venice」、クリフォード・ジョーダン作「Toy」、アール・ジンダース作「Elsa」、スタンダードが「Who Cares?」と「Nancy」で、全8曲。アダレイのイメージとはちょっと異なる、バラード系のリリカルな曲が目立ちます。
エヴァンス(p)がムードを設定し、アダレイ(as)がプリティとも形容できるような音色でメロディーを吹いています。オーバーにならずアダレイがプレイをしていて、彼の別の一面が出ています。「Waltz for Debby」、「Goodbye」、「Venice」あたりは、サックスによりテーマがきっちりと吹かれ、エヴァンスの端正なプレイもあって、クラシックなどを好んでいる方にもよさそうな感じです。やや早いテンポの「Toy」におけるアダレイの軽快な吹奏も楽しい。それにしても、「Waltz for Debby」におけるエヴァンスの前奏の見事さは息を呑むほどです。
【雑誌「男の隠れ家」12月号】
発行は、三栄書房。