ツタヤで映画の発掘良品コーナーを見ていたら、フランソワーズ・サガンの「ブラームスはお好き」を原作とした映画「さよならをもう一度」があったので、借りてきました。イングリッド・バーグマン主演のメロドラマですが、ブラームスの「交響曲第3番第3楽章」のメロディが、様々なアレンジで流れています。その中に、ダイアン・キャロルがクラブシンガーの役で出演して、歌うシーンがありました。今夜はダイアン・キャロルを。
DIAHANN CARROLL (ダイアン・キャロル)
DIAHANN CARROLL AND ANDRE PREVIN (United Artists 1960年頃録音)
ダイアン・キャロルは、映画やテレビへの出演が多く女優として知名度が高いです。もっとも、元々歌手で、ミュージカルに出演しているので、歌は余技ではありません。彼女のアルバムは5~6枚持っていますが、アンドレ・プレヴィン(p)トリオが伴奏したこのアルバム(現行CDでは「The Magic of Diahann Carroll」に収録)が代表的だと思います。
メンバーは、ダイアン・キャロル(vo)、アンドレ・プレヴィン(p)、レッド・ミッチェル(b)、フランク・キャップ(ds)。アンドレ・プレヴィンは、ジャズのアルバムも残していますが、指揮者や作曲家としてクラシック畑で活躍しているので、ご存知の方が多いと思います。また、ここでは編曲もプレヴィンが担当しています。
曲はスタンダードとアンドレ・プレヴィンの自作です。スタンダードが、「The Party's Over」、「Spring is Here」、「But Not for Me」、「Glad to be Unhappy」、「It's All Right with Me」、「I Should Care」、「Nobody's Heart」、「Why Can't You Behave」、「Where Are You」、「In Love in Vain」、プレヴィン作が「Change of Heart」と「Gingerbread Joy」で、全12曲。
ダイアン・キャロルは、声量が豊かな上に、言葉がはっきりしていて、しかも力強く、さすがに一流のシンガーです。歌に加えレッド・ミッチェル(b)のランニングベースも気持ちのいい「But Not for Me」や「It's All Right with Me」、語りかけるようにしみじみ歌い、プレヴィン(p)の伴奏も美しい「Glad to be Unhappy」、「Where Are You」、「In Love in Vain」などが特に印象深いです。伴奏陣は、その道の熟達者だけに申し分がなく、特に歌に寄り添うプレヴィン(p)の磨き抜かれたタッチと強弱の付け方にはうなりました。
【映画「さよならをもう一度」】
1961年公開のフランス・アメリカ合作映画。監督は、アナトール・リトヴァク。出演はイングリッド・バーグマン、イヴ・モンタン、アンソニー・パーキンスなど。音楽は、ジョルジュ・オーリックが担当。
イングリッド・バーグマンとサル・プレイエル(コンサートホールの名称)でブラームスが演奏されるとの告知ポスター。
ナイトクラブのシーン。歌詞をつけたブラームスの交響曲第3番第3楽章のメロディをダイアン・キャロルが歌っています。
手前で机に腕をついているのが、アンソニー・パーキンス。
本棚の奥から取り出しました。フランソワーズ・サガンの小説「ブラームスはお好き」(新潮文庫)。