安曇野ジャズファンの雑記帳

信州に暮らすジャズファンが、聴いたCDやLPの感想、ジャズ喫茶、登山、旅行などについて綴っています。

フィル・スチュアート MELODIOUS DRUM

2018-03-14 20:04:43 | ベース・ドラムス

ジャズが登場するコミック「坂道のアポロン」が映画化されて、この3月10日から全国で公開されています。映画公開の一足先に、ノベライズされて文庫本(小学館刊)となって書店にあったので、まだ映画は見ていませんが読みました。原作は小玉ユキ、映画の脚本は高橋泉、ノベライズは豊田美加と3人の名前が表紙に記されています。ジャズが演奏される場面が出てきますが、それを含め映画を観たくなりました。ドラムが活躍している小説(映画)なので、ドラマーのCDを聴いてみます。

PHIL STEWART (フィル・スチュワート)
MELODIOUS DRUM (CELLAR LIVE 2017年録音)

   

フィル・スチュアート(ドラムス)は、ニューヨークを中心として活躍するドラマーで、今まで30作ほどサイドメンとしての録音があったようですが、今回初めてリーダー作を録音しました。先月、ジャズ東京で試聴したところ、ディジー・ガレスピー作曲の「Manteca」をはじめビ・バップ、ハードバップ系統の音楽をやっていて、気に入り即購入しました。

メンバーは、Sacha Perry(p)、Paul Sikive(b)、フィル・スチュアート(ds)、曲によりジョー・マグナレリ(tp)、グラント・スチュアート(as,ts)、Chris Byars(ts)が加わります。フィルは、ヴァ―ネル・フォーニアやジミー・コブ、ジョー・モレロ、ジョー・ファンズワースに師事し、現在は兄のグラント・スチュアートのグループで演奏するなど活躍中です。

曲は、ディジー・ガレスピー作「Manteca」、バド・パウエル作「Dance of The Infidels」、J.Benkoという人が書いた「The Sumo」、ゴードン・ジェンキンス作「This is All I Ask」、ジョージ・コールマン作「Apache」、セロニアス・モンク作「Eronel」、参加メンバーのSacha Perry作「Far Sure」、「Erratic」と「Livin with Hobson」、同じくC.Byars作「The Doctor is In」の全10曲。ジャズ・スタンダードの「Manteca」や「Dance of The Infidels」がお馴染みですが、オリジナルも印象的な曲が並びました。

フィル・スチュアート(ds)は、派手なドラミングというよりも、アルバムのタイトルどおり「Melodious」(メロディアス)で繊細な演奏をしています。師匠にヴァ―ネル・フォーニアの名前があり、影響を受けているのでしょう。フィル・スチュアート(ds)のイントロからスタートし、マグナレリ(tp)がメロディをとる「Manteca」が楽しく、続く「Dance of The Infidels」では、二人のテナー・サックス奏者も加わり、モダンジャズらしいソロがリレーされます。バラードの「This is All I Ask」は、グラント・スチュアートのソロが胸に響いてきます。参加ミュージシャンのオリジナルでは、Sacha Perry(p)の「Far Sure」や「Livin with Hobson」が面白い曲想を持っていて、彼の音数が少なめな演奏とともに注目されます。

【PHIL STEWART ホームページ】

Philstewartdrums.com

【坂道のアポロン(小説)】