映画「ピアソラ 永遠のリベルタンゴ」が、長野県東筑摩郡山形村のアイシティシネマで上映されていたので、観に行ってきました。踊る音楽から鑑賞される音楽へと、タンゴに革新をもたらしたアストル・ピアソラについての、生涯と音楽を描いたドキュメンタリー映画です。
監督は、ダニエル・ローゼンフェルドで、アストル・ピアソラの息子のダニエルからの依頼により、4年をかけて映像など資料収集を行い、ダニエルや娘のディアナのインタビューも収録して作ってあります。ピアソラは、離婚や再婚をしているので、そのへんにはあまり触れず、ピアソラの音楽面を中心とした一生を浮き彫りにしたものです。
監督のダニエル・ローゼンフェルド
最初から最後まで画面と音楽に釘付けになった緊張感を伴う面白い映画でした。ピアソラの生涯そのものが闘いの連続でスリリングなのに加え、彼の演奏するバンドネオンの響きが切なさと妖しさを醸し出していて映像を引き立てていました。「ロコへのバラード」、「リベルタンゴ」、「アディオス・ノニーノ」といった名曲を映画館の暗がりで聴くと格別です。
4歳の時に両親とニューヨークに移住し、貧しい暮らしの中、父が8歳の時にバンドネオンを買い与え、息子を天才だと信じたことがそもそもの始まりですが、この父親も壮絶な人生を送っていて、それだけでもドラマができそうです。18歳でピアソラは、アニバル・トロイロ楽団に入り、それだけでもすごいのですが、そこからの挑戦が、ストーリー的にはクライマックスでした。
ピアソラは、作曲家のヒナステーラにつきクラシックを勉強し、パリ留学時はナディア・ブーランジュについたりと、タンゴの枠を超えて様々なものを吸収しています。ピアソラについて、ブーランジュ本人がインタビューを受けている映像が出てきたのには驚き、感激しました。ブーランジュにはジジ・グライス、ドナルド・バード、キース・ジャレットなどジャズ・ミュージシャンも師事していて、ジャズファンにも知られている名前です。
クラシックやジャズの要素をタンゴに持ち込んだピアソラですが、インタビューの中で、『リズムは変えていない』と明確に話していた(パンフレットには言及がなく僕の記憶だけですが。)のが、僕にはとりわけ印象的でした。最後の方に出てくる、コロン劇場でのコンチェルトの演奏シーンは、胸に迫るものがありました。
パンフレットには、バイオグラフィー(年表)がうまく整理されて掲載されています。
【アイシティシネマ】
住所:
ホームページ:inouedp.co.jp/icity/cinema
百貨店の井上(本店は松本駅前)が、かなり昔、山形村に作ったショッピングセンターです。その時は、長くもてばいいなと思いましたが、立派に続いています。車移動だと、商圏が広く、塩尻市北部、松本市、安曇野市、もちろん朝日村、山形村などから出かけやすいのがよいのでしょう。
映画館です。6つのスクリーンがあって、スクリーンが大きめで、座席も広く、鑑賞に非常に具合がよいです。僕は今回初めて入りましたが、安曇野市にいる時を中心に、この映画館に来ようと思いました。
14日(月、祝日)の午前11時20分ごろです。
ショッピングセンターのエスカレーターを上がったところ。
飲食店
衣料品店などももちろんありますが、本屋もあったので、便利そうです。