「ラスト・タンゴ・イン・パリ」や「ラストエンペラー」で知られるベルナルド・ベルトルッチ監督の「暗殺のオペラ」が長野市の映画館で上映されたので、観に行ってきました。この映画は1970年の作品で、デジタルリマスターされて、今回、日本で上映されたものです。
ホルヘ・ルイス・ボルヘスの「裏切り者と英雄のテーマ」から着想を得て映像化されたものです。粗筋ですが、レジスタンスの闘士として活躍しファシストの手で暗殺された父を持つ男が、父の愛人から犯人を突き止めてほしいと頼まれて北イタリアの小さな町にやってきて、真相究明を行っていくものです。
現在と過去を頻繁に行き来させ、男は記憶の世界に引きずり込まれてしまう不条理な終わり方をしていますが、こういった描き方は映画だからこその表現かもしれません。父は、裏切りをした虚構の英雄であったのですが、ムッソリー二を崇拝する女性も登場させ、当時のイタリアで、レジスタンスの組織が成り立つ余地があったのか疑問になりました。
撮影は、ヴィットリオ・ストラーロで、繊細な色彩を映し出して映像が美しいのも印象的です。音楽は、ヴェルディのオペラからの曲が用いられ、「アッティラ」、「リゴレット」、「トロヴァトーレ」、「仮面舞踏会」などの曲が使われています。主演のジュリオ・ブロージが一人二役で、父と息子を演じていますが、その区別も曖昧になってくるような演技でした。
シリアスなドラマで、一般的な娯楽作品ではありませんが、映画ならではの仕掛けの面白さに惹かれ、最後まで目が離せませんでした。
【映画館で売っていた冊子「シネマ・ヴァレリア」】
特集は、この映画の上映に合わせて、ベルナルド・ベルトルッチです。この冊子は、初めて見ました。
ベルトルッチの写真
この冊子の目次です。内容は、突っ込んだ解説や論考で、専門的なところも多々あり、参考にはなりますが、僕にはやや難しいものでした。