ウィーン・フィルの演奏(指揮は、フランツ・ヴェルザー=メスト)は1回だけしか聴いたことがありませんが、そのサウンドは印象的でした。新著の渋谷ゆう子著「ウィーン・フィルの哲学」を読んでみました。
表紙
(著者紹介)
(帯裏にある本書の紹介)
(感想など)
コロナ禍の中、2020年11月にウィーン・フィルが来日し、演奏会を開催しました。その時に、特別扱いではないかという論調が流れましたが、本書は、その経緯について記されています。同楽団からのオーストリア政府への働きかけや日本国とのやりとりなどを取材してあり、印象に残りました。
その中で、日本側との長期契約が同楽団の年金財政の礎になっており、その点で日本ツァーは特別で欠かせないという、裏事情があるとのことで、胸に落ちました。自主運営の組織なので、ビジネスも厳しいものがあるようです。
女性団員登用ついては記述がありますが、アジア人が採用されない点について書かれていません。芸術の領域なので、難しい点ですが、ウィーンフィルがどう考えているか知りたい部分です。巻末にある、同楽団関連の年表がわかりやすく出来ていて感心しました。
(巻末に掲載されているウィーンフィルの年表、1959年~2022年の部分)
2002年に小澤征爾がニューイヤー・コンサートを指揮したとの記載があります。今まで、ウィーンフィルに呼ばれて指揮したのは、岩城宏之さんと小沢征爾さんだけです。続く人が見当たらないのが、日本の音楽ファンとしては残念です。
せっかくなので、ウィーン・フィルの最近の演奏をCDで聴きました。
ウィーン・フィルにしては、珍しいアメリカン・プログラムで、サマーナイト・コンサート(2019年)ならではでしょうか。グスターボ・ドゥダメルの指揮、ユジャ・ワンのピアノによる「ラプソディ・イン・ブルー」などが演奏されました。