先日、甲府市で、喫茶店「ロッシュ」に初めて寄りました。店内には、BGMでジャズが小音量で流れ、照明は暗めで紫煙が薄く漂っていました。珈琲が美味しくて寛げました。そんな空間が似合うアルバム。
LEE MORGAN (リー・モーガン)
THE RAJAH (BLUE NOTE 1966年録音)
リー・モーガン(tp 1938~1972年)は、1963年12月録音の「The Sidewinder」で、大ヒットを飛ばし、その後は、そのジャズロック路線に加え、モーダルな方向へ向かいます。ところが、1966年11月録音の本作「The Rajah」では以前のスタイルに戻っていて、それがすぐ発表されなかった原因かもしれません。
メンバーは、リー・モーガン(tp)、ハンク・モブレイ(ts)、シダー・ウォルトン(p)、ポール・チェンバース(b)、ビリー・ヒギンズ(ds)。1966年11月の録音ですが、マイケル・カスクーナが、ブルーノートの倉庫からテープを発見し、1984年になって発表されたアルバムです。
曲目は次のとおり。
1 A Pilgrim's Funny Farm (Cal Massey)
2 The Rajah (Lee Morgan)
3 Is That So (Duke Pearson, Kim Simmonds)
4 Davisamba (Walter Davie, Jr.)
5 What Now My Love (Gilbert Becaud)
6 Once in a Lifetime (Leslie Bricusse, Anthony Newley)
カル・マッセイ作の「A Pilgrim's Funny Farm」(巡礼者のおかしな農園)は、意味不明。「What Now My Love」(そして今は)は、原曲がジルベール・ベコー作曲のシャンソン「Et Maintenant」です。
曲目の面白さに加え、豪華メンバーがソロをとる充実したアルバム。ファンキーな「The Rajah」やアート・ブレイキーのジャズ・メッセンジャーズ風で明るい「Once in a Lifetime」では、モーガン(tp)、モブレイ(ts)がストレートなハードバップ系演奏を繰り広げています。「What Now My Love」におけるモーガン(tp)のバラードプレイには心打つものがあり、「Is That So」におけるモーガンとモブレイ(ts)の応答も楽しい。全体に、シダー・ウォルトン(p)が清涼感のあるプレイで大貢献。