フリードリヒ・グルダ著、田辺秀樹訳の「俺の人生まるごとスキャンダル」(ちくま文芸文庫)を読みました。
表紙
(帯裏に記載された本書の内容)
(感想など)
本書は、2023年3月発行の文庫本ですが、もとは、1993年に発行された『グルダの真実ークルト・ホーフマンとの対話』(洋泉社)です。入手困難本だっただけに、この文庫化は、ありがたいもので、僕も書店で見つけた時には、小躍りしました。
グルダは、言うこともいうが、やることもやるという言行一致の人だったと、本書を読んて改めて感じました。ジャズを習得するために、数年間、各地のクラブに出かけてジャムセッションに参加していますが、名声を得たあとなのに、徹底してやっていて、凄い。
クラシックの演奏家の評価や女性遍歴など、この本ならではの著述も多く、最後まで興味深く読めます。グルダの書いた曲がもっと聴かれるようになれば良いなと思いながら、訳者の田辺さんによる後書きを読みました。日本語訳がこなれていて、その点も素晴らしい。
(著者、訳者について)
筑摩書房のホームページ:『俺の人生まるごとスキャンダル』フリードリヒ・グルダ | 筑摩書房
(本書を読んで、改めて聴いたグルダのCD)
モーツァルト:ピアノソナタ第11番、13番、15番。ピアノ学習者なら、弾いたことのある曲ばかり収録されたCD(タワーレコード限定、アマデオ原盤)です。グルダの装飾音をつけた自由な解釈は、当時、賛否両論を巻き起こしたものです。日本の評論家吉田秀和さんは肯定的にとらえています。
シューベルト:即興曲集、楽興の時。グルダ最後の録音で、亡くなる1年前、自宅のスタジオで収録されたもの。彼は、最後には、ウィーンに還ったと感じたアルバムです。シューベルトの曲とともに自作曲も収録。