書店で文庫本の棚を見ていたら、創元推理文庫の「ヴァイオリン職人の探求と推理」という本が、音楽絡みもあって、面白そうだったので、たまには推理小説を読もうと購入。
表紙。東京創元社が創立70周年だそうです。そのフェアの一つで、人気漫画家の描き下ろしカバーがかかった文庫本が発刊されています。本作は、オノ・ナツメさんによるもの。
東京創元社のホームページ:ミステリ・SF・ファンタジー・ホラー|東京創元社
(帯裏にある本書の紹介)
(感想など)
推理小説もいろいろな主人公が登場しますが、ヴァイオリン職人というのは極めて珍しく、それだけで興味をそそられました。著者は、ヴァイオリンの歴史や製作者、製造工程、さらには音楽全般に詳しく、それらに関した記述が多く、その点だけでも、かなり面白く読みました。
主人公とその友人の警察官は、殺人事件の犯人探しに加え、消えたヴァイオリンの行方も探していて、やや複雑に物語は進行します。残念ながら、僕は犯人が誰だか最後までわかりませんでした。舞台はイタリアやイギリスですが、クレモナやミラノ、ヴェネチアが登場し、旅行気分が味わえます。
主人公の親友(ヴァイオリン職人で、被害者)の娘さんのリサイタル場面は、感動的で、謎解きと離れても、よい小説だと思わされました。読み終わったら、ヴァイオリンソナタか協奏曲など何か聴きたくなりました。
(著者の紹介)
(手元にあったCDで、シューマンのヴァイオリンソナタ聴きました)
本作に登場するのは、ベートーヴェンのソナタ「春」やバッハの無伴奏パルティータなど、主として古典派までの楽曲ですが、パガニーニやサラサーテの名前も出ていました。手元にあった、シューマンのソナタのCDをかけてみました。
シューマンの室内楽全集(CD7枚組 Brilliant Classics)から、7枚目の「Violin Sonatas」(3曲)をかけました。演奏は、アリ・マリキアン(violin)、セロウジ・クラジアン(p)で、1988年録音(Hanssler原盤)です。