明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



世田谷文学館の『向田邦子展』の会場に、向田邦子が書いていた当時の、『銀座百点』が数冊展示してあった、風間完の表紙絵が素晴らしかったが、とくに、上半身裸の少女の表紙が印象に残った。焦点が定まっていないような眼差しで、両腕を左右に開きぎみなこともあり、ラリッているかのようである。というわけで入手。“銀座の草分けマダム”という座談会が面白い。林忠彦撮影の太宰治の写真で有名な『ルパン』は泉鏡花もひいきだったと知る。キセルを一服吸い、「カクテルくれ」氷が嫌いな鏡花に氷を使わないで作ったそうで、さすがの鏡花も、カクテルを熱燗でとは言わなかったようだ。水上瀧太郎がそれを聞いて、先生をビルディングにお連れしてと怒ったそうである。ビルディング嫌いな鏡花。食べ物の好き嫌いの多い男は、何かと面倒である。 谷崎潤一郎命名の『サンスーシー』は、杉山吉良撮影の内部のグラビア写真もある。私もここにはいずれと思っていたことがあったが、バブルで有頂天の、洟タレサラリーマンのせいで、すっかり冷めてしまった。 向田邦子は『お八つの交響楽』。こんな小冊子で読む向田邦子というのも、なかなかオツなものである。

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