明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

骨灰  


薄井憲二先生から、スイス在住のポーランド人コレクターのものだという、バレエをテーマにした陶製の像、いわゆるノベルティの写真を送っていただいた。庭園美術館でも、バレエ・リュスをテーマにしたノベルティが何体か展示してあったが、それらはオークションなどでも、たまに出品されているのを見るが、これは見たことのないものばかりで、たいそう品のあるコレクションである。 子供の頃縁日で、安物の動物をかたどったノベルティを買ってもらったものである。買うのは常にリアルな造形のものばかりであった。リアルさが面白かったのはもちろんだが、一番惹かれたのは、裸電球の下でオジサンがつぶやく、この中には骨の粉が雑ぜてあるという言葉であった。この二十面相が変装したかのようなオジサンは、私の猟奇趣味を見抜いていたことは間違いなく、きまって両親の足元にしゃがむ、私だけに聞こえるように秘密めかしてささやくのであった。 十年後、陶磁器の専門学校に入り、ごく当たり前の材料として、骨灰というものが使われることを知ったのであった。

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