明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



完成したはずの首を作り直したおかげで連休の間も制作を続け、本日ようやく撮影。前号のアダージョの森鴎外と同じく、屋上へ上がる踊り場で外光を使って撮影することにした。上がってみると、見覚えのある三脚が立てかけられていた。鴎外以来、2ヶ月間置き忘れていたことになる。 いつも背景に合わせて人形のポーズや構図を考えるが、今回は難航したぶん考える時間があったので、撮り方はすでに考えてあり、36枚撮りフィルムが1本。5分もかかったであろうか。そういえば鴎外の時は入稿日の撮影であったが、集中するため、フィルムは1本しか用意しなかったのを思い出した。食肉用を流用するのだろうが、フィルムも牛から取ったゼラチンが使われている。少ない本数で終るにこしたことはない。などと私がそんなことを気にすることはない。 同じマンションのYさんからお茶を飲みに来ないかと電話。現像を待つ間お邪魔して、大画面でハイビジョンの大相撲千秋楽を観る。観客の表情が隅々まで見えるのが実に面白い。物言いがついた一番。Yさんに今の相撲は?と訊かれるが、その瞬間の観客の表情に目がいってしまって勝負を見ていなかった。またもう一番物言い。今度もまた。カメラを意識していない観客の表情を鮮明に見ていると、弱い相撲を見ているよりよっぽど面白いのである。さすがに朝青龍・白鵬戦は集中して釘づけ。朝青龍、なぜそこで万歳をする。けっして嫌いではないが、土俵がモンゴルの野っぱらと違うことが、どうしても理解できないようである。横綱とチャンピオンとは大分違うのだが。 モンゴル人は、ほとんど日本人と見た目は変らないが、この二人は、独特の額の形をしている。特に朝青龍の額が描くアールは他には見たことがない。というわけで、ハイビジョンのおかげで人の形ばかりが目に付いてしまうが、子供の頃から、私はこの調子なので、シルエット・クイズが得意だったのは当然であろう。 現像を済ませ、スキャニングをして最後の合成作業。老婆は色を塗りなおし、明日撮りなおすことにしたが、主役は無事、画面に収まったのであった。

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