明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 



今回のアダージョ用の人物は、アダージョで扱った人物でも1、2を争う難航ぶりであった。今度の連休くらいは休もうとスタートを早めたのだが、すべて無駄になった。 この人物は長命だったこともあるが、齢とともに面相が随分と変化し、写真資料が集まり難かったこともプラスして、顔形を掴むのに苦労した。立体は作ってしまえば何処からでも撮れる。写真に残されていない、誰も知らない角度からも撮れる。そこが良いところなのだが、あまりにもな難産に、この角度からだけなら、その人物に見える。使う写真は1カット。それでいいことにしよう、ともう少しで妥協するところであった。それでは立体作品ならではの利点を放棄することになる。写る所だけしか作らないとか、極端にパースを着けてということは良くあるが、それは制作時間や写真的効果を考えての積極的な方法である。 などといえるのも、結果的に満足のいく顔になったからこそである。たった5、6センチの首に数週間もかけ、辛いだけで楽しいことなど一つもない作業だが、首さえ完成してしまえば、後にあるのは至福の時間である。締め切りを考えつつも、ご馳走を目の前に、自分を焦らして一人喜んでいる。いつかも書いたが、創作によるストレスは創作で晴らすしか方法はない。“さあ行け進軍、敵は我がものぞ”いよいよ鬱憤を晴らす時が来たのだ。 さてその前にK本で一杯。

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