明日できること今日はせず
人形作家・写真家 石塚公昭の身辺雑記
 

一日  


朝起きて昨日のことが夢であれば、と思ったが夢ではなかった。渡辺温像の話である。昨日これは大変と制作を再開していたら、おそらく油汗をかくだけでロクなことはなかったろう。そこをあえてKさんと遅くまで飲んだおかげで、気分は新たになっている。 友人などとは、つい仕事の話になるが、最近、私の撮影現場によく立ち会ってるとはいえ、運送会社を定年まで勤め上げたKさんには興味がないだろうし(みごとに遠慮なく興味なさそうな顔をする)結局私がKさんの女性に関する身振り手振りを交えての話を聞くことに終始する。それも登場人物はだいたい決まっているし、ほとんど同じ話の繰り返しである。それなのにしょっちゅう顔を合わせ、今どうしてます、などと報告しあっている。これもKさんが常に楽しく愉快にしているものだから、こちらも愉快な気分に、ということであろう。

肝心の渡辺温だが、おかげで劇的に改善。渡辺温というと、このたび東京創元社から出た全集にも使われたカットが有名だそうだが、この人も様々な写り方をする。だからむしろそのカットとそれ以外は印象が違う。おそらく写真館で撮影したものだろうが、当時優秀な写真師は修正用の鉛筆一本で渡り歩けたというくらいだが、これがまた曲者で、夏目漱石の有名な写真の鼻筋に疑いを持ち、実はカギ鼻であって、危うく騙されずに済んだことは以前書いた。

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