温像の立ち姿に着手しながら、まだ眉のことを考えている。写真の中で特に眉が太く濃く見えるのが3カット。一つは十代と思しき、写真館で和服で撮影した物。あとの2つは映画の撮影所に取材に訪れた時のものである。屋外の光線でたまたま影ができ、と思いたいところだが、それならば鼻の下に影がないのはおかしいことになる。 他の写真、中でも特に渡辺温といえばかならず使われる、有名な写真の眉は、どちらかというとあっさりしていて、濃い眉といえない。つまり眉を濃くしたら、多くの人には妙にみえてしまう、ということである。しかし温の妹滋子の証言によれば、温は俳優のメル・ファーラーに似ていたという。メル・ファーラーはどちらかといえばくっきりとした眉の持ち主である。 温は二十歳の時にパーマをかけ母親に叱られている。シルクハットをかぶり通勤したお洒落なモダニスト渡辺温は、眉をいじっていた可能性があるのではないか。なくはないだろうが、それはちょっと、という気もする。 これも写真館で撮影された坊主頭の子供時代の写真がある。これはほとんど眉が飛んでしまっている。あるとしたらむしろ足していたのかもしれない。結論としては太くはあるが、光線によっては飛んでしまう程度に濃くはない。 もう良いだろう・・・。
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