自分の声が他人の声のようである。まあ風邪自体はその程度であるが、問題は琴風の脚か、というくらい腫れ上がってしまった右脚である。熱さまシ一トを数箱貼りまくって安静にしていた。なにしろ立つだけで足の裏まで痛いので、外出というわけにもいかず。まったく予想していなかったトラブルである。風邪悪化中といえども寝ぼけてコケて、という年寄り臭い.ところが実に凹ませてくれる。 そういえば自分から役割も終わった、と終了を申し出た『タウン誌深川』のエッセイ“常連席にて日が暮れる”の最終回をまだ書いていなかった。慌てて書く。下町の居酒屋といっても様々であるが、河本といえば、煮込みと女将さんである。特に女将の真寿美さんによって、あらゆる年齢層の客達をすべて“10歳”にしてしまう店。といってよく、得難い店である。30数年前に引っ越して来た時ちらっと見えた真寿美さんの割烹着、あれでその後の道筋が決まってしまったとさえ思える。なにしろ大事な3冊目の出版を、人形と常連客だけで作ってしまったくらいである。 ここ一週間、飲んだのは缶ビル一本のみであった。本日ようやく脚を引きづりながら。カウンタ一で本を読む。 寺山修司は、私が知らないだけなのか、ジャン・コクト一のことをあまり書いていない気がする。どう考えても日本のコクト一になろうとした人だろう。コ一トの羽織り方なんて日活映画調だと本人はいっていたらしいがコクト一でしょう。作っていてそう思いました。
アートスケープ 展評『深川の人形作家 石塚公昭の世界』
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